ああ、それは本当に良い質問ですね。タロットに触れる人なら誰もが抱く疑問と言えるでしょう。
はっきり言えます。いいえ、タロットカードの絵柄に絶対的に固定された意味はありません。
新しい言語を学ぶようなものだと考えてみてください。
1. カードの意味は「単語」
「愚者」が始まりや無邪気さを、「恋人」が選択や関係性を表すように、本やネットで調べられる各カードの「意味」は、この言語における一つ一つの「単語」のようなものです。これは基礎であり、骨格であり、あなたとカードがコミュニケーションを取るための共通言語です。これらの単語が何を意味するかを知って初めて、「読む」ことができます。例えば、「リンゴ」が何か、「食べる」が何かを知っているようなものです。
2. スプレッドと質問は「文法と文脈」
しかし、単語だけではコミュニケーションはできません。一つの単語でも、文脈によって意味が大きく異なることがあります。
- 何について尋ねるか: 同じ「ソードの3」(3本の剣が心臓に刺さった絵柄で、通常は悲しみを表す)でも、恋愛について尋ねれば、別れや失恋を意味するかもしれませんし、仕事について尋ねれば、プロジェクトの失敗や同僚からの裏切りを意味するかもしれません。文脈が全く異なります。
- どこに出るか: カード展開(スプレッド)の中で、このカードが「過去」の位置に出るのか、「未来」の位置に出るのか?「あなたの考え」を表すのか、「外部からの障害」を表すのか?位置が異なれば、解釈の重点も全く変わってきます。通常はポジティブな意味を持つ「太陽」のカードが「障害」の位置に出た場合、それはあなたが楽観的すぎるとか、目標が輝きすぎて足元が見えていない、といったことを意味するかもしれません。
3. カード同士の相互作用は「連詞成句(文を構成する)」
タロット占いは、一枚のカードだけを見ることはほとんどありません。複数のカードが並べられたとき、それらは「会話」を始めます。
例えば、「塔」(突然の変化、災難)と「太陽」(光、成功)を引いたとします。もし個々の単語の意味だけを見れば、「終わった、でも良くなった」となるでしょうか?これは奇妙です。しかし、経験豊富な読み手はそれらを一つの物語として繋げます。これは「突然の予期せぬ変化は、苦痛を伴うかもしれないが、最終的にはあなたに新たな始まりと明確な状況をもたらす」という意味かもしれません。つまり、「破壊なくして創造なし」というわけです。ほら、これで二つの孤立した「単語」ではなく、意味のある「文章」になったでしょう?
4. あなたの直感は「点睛之筆(仕上げの妙)」
これは最も重要で、最も興味深い点です。時々、カードを見て、本に書かれている意味は理解しているのに、なぜかカードの絵柄の小さな細部に目が引きつけられることがあります。例えば、「ワンドの4」に描かれた花輪を振る二人を見て、彼らが祝っているのではなく、別れを告げているように突然感じたとします。この直感こそが、その占いの最も核となる情報であることが多いのです。
タロットカードの絵柄は象徴的なシンボルに満ちており、あなたの連想や直感を刺激するためにデザインされています。ですから、あなたの個人的な感覚は非常に重要です。それは単なる辞書を引くような退屈なゲームではなく、あなたとカード、そしてあなたの問いかけとの間の対話なのです。
まとめると:
タロットを標準的な答えが書かれたマニュアルではなく、ツールボックスだと考えてください。本に書かれているカードの意味はあなたのツール(ハンマー、ドライバー)ですが、これらのツールを使ってあなたの「問題」をどのように「修理」するか(ネジを締めるのか、釘を打つのか)は、現場の状況(あなたの質問、スプレッド、他のカード)とあなた自身の判断(直感)に基づいて決める必要があります。
ですから、「間違って解釈した」と恐れる必要はありません。たくさん見て、たくさん考え、カードを見たときの第一感を信じてください。それが、カードがあなたに伝えたいことであることが多いのです。