「ii-V-I」コード進行とは何ですか?なぜジャズにおいてこれほど重要なのでしょうか?
友よ、いい質問だ!このii-V-Iという進行こそ、ジャズ界の「成功のカギ」と言える。一度理解すれば、無数のジャズの扉を開けられる万能鍵を手に入れたも同然だ。
日常のことばで分かりやすく説明しよう。
では、「ii-V-I」ってなんだ?
ローマ数字にびっくりするな。これはただの記号で、調性の中での和音の位置を示している。チームメンバーに1番、2番、3番…と番号を振るのと同じさ。
“準備→移動→帰宅"するミニストーリーだと思えばいい。
シンプルなCメジャーキーを例にしよう。Cメジャーの音階はC-D-E-F-G-A-B
だ。
- Ⅰ(1度の和音):最初の音
C
をルートに作る和音、つまりC△7(シーメジャーセブンス)。これが俺たちの「家」。めちゃくちゃ安定して気持ちいい、ストーリーの到達点だ。 - Ⅱ(2度の和音):2番目の音
D
をルートに作る和音、つまりDm7(ディーマイナーセブンス)。ここは「準備」ステージ。柔らかく穏やかで、どこかへ向かう雰囲気があるけどまだ確定しない。次のクライマックスへの布石だ。 - Ⅴ(5度の和音):5番目の音
G
をルートに作る和音、つまりG7(ジーセブンス)。これこそ「移動/クライマックス」!全進行中の核となる最重要パート。**緊張感(Tension)**に満ちあふれ、すごく不安定!椅子を後ろに傾けて、もうすぐ倒れそうな一瞬の状態だ。強烈に、切迫して「家」(Ⅰの和音)に帰りたがっているんだ。
つまり、Cメジャーでのii-V-I(ツー・ファイブ・ワン)は、次の和音順を指す:
Dm7(準備)→ G7(緊張感/クライマックス)→ C△7(解決/帰宅)
ピアノやギターでこの3つの和音を弾いて、じっくり聴いてみろ。Dm7で始まり、G7で絶頂に達し、最後にC△7で完璧に着地する流れをはっきり感じられるはずだ。この「緊張感と解決」の感覚こそ、音楽を心地よく、論理的に聴かせる原動力なんだ。
なぜジャズでこんなに「幅を利かせてる」んだ?
ポップスのコード進行が真っ直ぐな大通りを歩くなら、ジャズは路地裏を縫いながら進むのが好きだ。で、ii-V-Iこそが、それら路地を繋ぐ最重要な「交通ハブ」なんだ。
-
ジャズの“文法”だ 『Autumn Leaves』『Blue Bossa』『All The Things You Are』などのクラシック・ジャズスタンダード曲は、ほぼすべてがii-V-Iであふれている。まるで話す時の「主語-述語-目的語」みたいに、ジャズの“文”を成り立たせる基礎なんだ。プレイヤーはこれを見た瞬間、次に何がくるか分かる。息ぴったりにセッションできるわけだ。
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インプロの“完璧な滑走路”だ ジャズの魂は即興(インプロ)だ。ii-V-Iの進行は、演奏者に論理的で、色彩豊かな「滑走路」を提供してくれる。
- 明確な目標:プレイヤーは
Dm7
の上で弾く時、「G7
へ向けて準備しよう」と考え、G7
で緊張感を演出する時は「もうすぐC△7
に帰れる」と考える。即興のメロディラインに方向性が生まれ、散り散りにならないんだ。 - 豊かな色彩感:この3つの和音(マイナーセブンス、ドミナントセブンス、メジャーセブンス)は、それぞれが異なるスケールとサウンドカラーに対応する。上級者は
Ⅴ
の和音(つまりG7)で、もっと緊張感を増す音(変化音)を加えるなど、様々な技を駆使する。「帰宅」したい気持ちを強めておいて、Ⅰ
の和音で解決した時、聴衆は大きな満足感を感じるんだ。
- 明確な目標:プレイヤーは
-
複雑な和声への“踏み台”だ ジャズプレイヤーは和声を“いじる”のが大好きだ。基本のii-V-Iをベースに、例えば
Ⅴ
の和音をトリトーンサブ(三全音代理)のようなクールな和音に置き換えたり、前にもっと多くの和音を追加して導線を作ったりする。でも、どれほど変えようと、根本にある「Ⅰ
度に向かう推進力」は変わらない。つまり、ii-V-Iをモノにすれば、重量級ジャズ和声を理解するための土台が整うんだ。
こんな風にイメージしよう:
-
物語で例えると…:
ii
:「昔々ある村に…」 (伏線)Ⅴ
:「突然、悪いドラゴンが現れた!」 (衝突/クライマックス)Ⅰ
:「英雄が現れて倒し、村に平和が戻った」 (解決/結末)
-
会話で例えると…:
ii
:「あの…ちょっと聞いてもいいかな…」 (切り出す準備)Ⅴ
:「今夜、空いてる?」 (質問して、返答待ち)Ⅰ
:「いいね、一緒にご飯行こうよ!」 (納得の答えを得る)
まとめ:
ii-V-I は、準備(ii) → 緊張(V) → 解決(I) という和音流れだ。 完璧な「緊張→解決」の流れを生み出し、インプロの理想的な枠組みとなるため、ジャズにおいて最も基本となり、最重要で、どこにでも存在する和声言語となった。
さあ、好きなジャズを聴いてみて、「帰る」ようなサウンドの流れを捕まえられるか挑戦してみろ。それが聴き取れたなら、君は既にジャズの“内部言語”を理解し始めている証だ!