はい、この質問は非常に良いですね。チアシードのオメガ3について疑問を持つ人は多いです。詳しく説明しますね。
チアシードのオメガ3:含有量は高いが、「変換」能力には限界あり
まず結論からお話しし、その後詳しく解説します:
- 含有量は? 非常に高い! チアシードは植物性食品の中で最高レベルのオメガ3含有量を誇ります。
- 体内変換効率は? 非常に低い! 摂取した後、人体がより必要とするタイプのオメガ3へ変換される割合はごくわずかです。
以下、その理由を詳しく説明します。
驚異の含有量:植物界の「オメガ3の小さな巨人」
チアシードに含まれるオメガ3のほとんどは α-リノレン酸(ALA) です。これは植物性オメガ3脂肪酸で、人体に必須でありながら体内で生成できないため、食物から摂取する必要があります。
その含有量はどの程度か?
- 重量あたり: チアシード100g中に、約 18~20g のALAが含まれます。
- 摂取量あたり: 一般的な摂取量である大さじ2杯(約28g)で、約 5g のALAを摂取できます。この量は、多くの栄養ガイドラインが推奨する1日摂取量を既に上回っています。
したがって、「含有量」という観点だけを見れば、チアシードはALA補給の優秀な選択肢と言えるでしょう。
核心の問題:摂取したALA、体内でどれだけ活用されるのか?
これが最も重要なポイントです。脳・目・心臓の健康に良いとされるオメガ3とは、主に別の二種類、EPAとDHAという「海洋性オメガ3」を指します。
この3つの関係は以下のように考えられます:
- ALA(チアシード由来): ”原材料”
- EPA と DHA(魚油などに含まれる): ”完成品”
私たちの体は、原材料であるALAを一連の複雑な工程を経て”加工”し、完成品のEPAやDHAに変換することができます。しかし、問題はこの”工場”の効率が非常に悪いことです。
変換効率は実際どれほど低いのか?
- ALAからEPAへの変換: 効率は低く、通常 5%~10% の範囲です。つまり摂取したALA100単位のうち、EPAに変わるのは5~10単位程度。女性は男性よりもやや変換率が高い傾向があります。
- ALAからDHAへの変換: 効率はさらに低く、通常 1%未満 で、0.5%程度とする研究もあり、ほぼ無視できるほど低いと言われています。
なぜ変換率がこんなに低いのか?
ここには興味深い理由があります:「作業員の取り合い(競争による利用)」 です。
体内でALAを変換する担当の”作業員”(特定の酵素)は、同時にもう一つの脂肪酸——オメガ6(ひまわり油やコーン油など各種植物油に豊富)の処理も担当しています。現代人の食事では、オメガ6の摂取量がオメガ3をはるかに上回っています。
これはまるで、A製品(EPA/DHA)と同時にB製品(オメガ6由来物質)も作らねばならない生産ラインのようです。B製品の原材料は山積みで、作業員は皆Bの生産に駆り出され、A製品に割り当てられる生産能力はほんのわずかしか残っていない状態なのです。
要点まとめ:チアシードのオメガ3をどう捉えるべきか?
総合的に考えると、以下のように理解するべきです:
- チアシード自体は優秀な食品: ALA、食物繊維、植物性タンパク質を補給する優れた供給源です。ALA自体にも、正常なコレステロールレベル維持を助けるなど、一定の健康効果があります。
- EPA/DHA摂取の”魔法の薬”だと思わない: チアシードを食べただけで脳や心臓の特別なニーズを満たす十分なEPAやDHAが得られるとは期待しないでください。変換率が低すぎるからです。
- 賢く組み合わせる:
- チアシードは、基礎的なALAと豊富な食物繊維を提供してくれる、健康な食生活の一部と捉えましょう。
- EPAとDHAの摂取が特に必要な場合(医師の勧めや、脳・目の健康を重点的にケアしたい場合など)は、最も直接かつ効果的な方法として以下の選択肢があります:
- 脂肪の多い魚を食べる: サーモン、マグロ、サバ、イワシなど。
- 魚油・オキアミ油のサプリメントを摂取する。
- ベジタリアン・ヴィーガンの方は藻油を選択: 藻類はDHAの元々の生産者であり、藻油は植物性のDHA摂取に最適です。
これでご理解いただけたでしょうか!総じて、チアシードは食べる価値は十分にありますが、その効果については正しい期待を持つことが大切です。