月面の「海」と「高地」はどのように形成されたのか?それらは本当に海なのか?

作成日時: 8/12/2025更新日時: 8/18/2025
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こんにちは、この質問はとても素晴らしいですね!初めて望遠鏡で月を見た多くの人が同じ疑問を持ちます。月のあの暗い模様は、本当に地球の海にそっくりですから!

ここではわかりやすく説明しながら、月の「地質学的な歴史」を整理してみましょう。


まず、最も直接的な答え:月の海には一滴の水もありません。本当の海ではないのです。

「月の海」と呼ばれるのは、完全に歴史的な名残りです。数百年前、ガリレオが初めて望遠鏡で月を観測した時、月面には広大な平坦で暗い領域があり、周囲の明るく起伏に富んだ地域と鮮やかな対照をなしていました。当時の人々は地球の経験を基に、これらの暗い部分を海だと考え、イタリア語で「海」を意味する「Mare(マーレ)」と名付けました。この名前がそのまま定着したのです。

実際には、これらのいわゆる「海」は、巨大で平坦な火山性溶岩平原です。


では、「高地」と「月の海」は一体どうやってできたのでしょうか?

その形成過程は、月の「思春期」と「大人の時期」という二つの段階に例えられます。

段階1:「高地」の形成 ― 月の古い皮膚

「高地」(Lunar Highlands / Terrae)は、月面上の明るく、クレーターが多く、標高が高い領域です。これらは月で最も古い地殻であり、月の「オリジナルの皮膚」と言えます。

  1. マグマオーシャン時代:約45億年前、月が形成されたばかりの頃、それは高温の溶けた岩石でできた球体(科学者が「マグマオーシャン」と呼ぶもの)でした。
  2. 「クリーム」の浮上:この巨大なマグマの鍋の中で、より軽い鉱物(主に斜長石)が、牛乳のクリームのようにゆっくりと表面に「浮き上がり」ました。
  3. 冷却と地殻形成:これらの軽い鉱物は表面で冷えて固まり、月の最初の地殻を形成しました。この地殻が今日私たちが見る「月の高地」です。主に明るい色の斜長岩で構成されているため、非常に明るく見えます。
  4. 風雪に耐えて:高地は月で最も古い部分であるため、過去数十億年の間に無数の小惑星や彗星の衝突にさらされ、表面は無数の穴(クレーター)で覆われ、複雑な地形に見えるのです。

高地のまとめ:月の最も原始的で古い、明るい色の外殻です。存在期間が最も長いため、衝突の被害を最も多く受けています。

段階2:「月の海」の形成 ― 月の「巨大な傷跡」と「溶岩の継ぎ当て」

「月の海」(Lunar Maria)は、暗く、平坦で、標高が低い領域です。その形成は高地よりずっと後で、過程も劇的でした。

  1. 超巨大衝突:高地が形成された後、約39億年前頃、太陽系は「後期重爆撃期」と呼ばれる非常に不安定な時期にありました。この時、直径数十キロメートルから時には百キロメートルを超える巨大天体が月に激突したのです。
  2. 盆地の形成:これらの壊滅的な衝突は、高地という「古い皮膚」に巨大で深い盆地(まるでコンクリートに大きな穴を開けたように)を叩き込みました。例えば、雨の海(Mare Imbrium)を形成した衝突の威力は想像に難くありません。
  3. マグマの湧出:衝突は激しかったものの、溶岩がすぐに流れ出たわけではありません。数億年後、月内部の放射性元素の崩壊が持続的に熱を生み出し、月の深部(マントル)の岩石を溶かしました。この溶けたマグマは、以前の衝突でできた地殻の弱い部分や割れ目に沿って、ゆっくりと「グツグツ」と湧き上がってきたのです。
  4. 巨大な穴を埋める:この高温のマグマ(主に玄武岩質で、地球上のハワイの火山溶岩と成分が似ています)は流動性が高く、洪水のように流れ出て、巨大な衝突盆地を埋め尽くしました。
  5. 冷却して「海」に:溶岩は最終的に冷えて固まり、広大で平坦な暗い平原を形成しました。玄武岩は暗い色をしているため、これらの領域は暗く見えます。これが「月の海」の正体です。

月の海のまとめ:後期の巨大衝突が古い高地に開けた巨大な穴を、月内部から湧き出た暗い溶岩が埋め、固まってできたものです。高地よりずっと若いため、受けた衝突の回数が少なく、クレーターもまばらで、非常に平坦に見えます。


理解のための簡単なたとえ

月の形成過程を、少し失敗したピザ作りに例えてみましょう:

  1. 高地:明るい色の生地をこねて平らに伸ばします。これが月の原始的な高地です。表面はあまり平らではないかもしれません。
  2. 巨大衝突:スプーンで生地に力を込めて大きな穴をいくつか掘ります。これが衝突盆地です。
  3. 月の海:次に、その穴に暗いトマトソース(またはブラックオリーブペースト)を注ぎ込みます。ソースが流れ広がって穴を埋めます。この冷えて固まったソースが月の海です。
  4. 後から来た小さな隕石:最後に、ピザ全体にゴマを少しだけ振りかけます。これが後からポツポツと落ちてきた衝突クレーターです。暗いソースの領域の「ゴマ」は、明るい生地の領域よりもずっと少ないことに気づくでしょう。ソースは後から塗られたからです。

この説明で、月の「見た目」についてより明確なイメージを持っていただけたでしょうか?次に月を見上げる時には、どこが古い「皮膚」で、どこが新しい「継ぎ当て」なのか、見分けられるはずです。

作成日時: 08-12 11:01:57更新日時: 08-12 12:22:01