タロットカード一式を、内容豊かな「人生の書」と想像してみてください。この78枚のカードは、まさにその本の78の章であり、私たちの人生で遭遇しうるあらゆる状況を描き出すのに過不足ない数です。
この78枚のカードは、実は大きく二つの部分に分かれています。この二つの部分を理解すれば、なぜこの数字なのかがわかるでしょう。
第一部:小アルカナ(Minor Arcana)、全56枚
この部分は、私たちが普段遊ぶトランプカードに似ており、私たちの日常生活における具体的な出来事、感情、そして課題に焦点を当てています。これも四つの「スート」(Suits)に分かれており、それぞれが人生の四つの基本的な側面を表しています。
- ワンド(Wands): 行動、創造性、情熱、エネルギーを表します。
- カップ(Cups): 感情、人間関係、直感、愛を表します。
- ソード(Swords): 思考、課題、対立、知恵を表します。
- ペンタクル(Pentacles): 物質、金銭、仕事、現実世界を表します。
各「スート」には14枚のカードがあります。1(エース)から10までの数字カードに加え、四枚のコートカード(ペイジ、ナイト、クイーン、キング)です。これを計算すると、4つのスート × 14枚のカード = 56枚 となります。
つまり、この56枚のカードは、私たちの生活の中で日々繰り広げられる「小さな物語」を描いているのです。
第二部:大アルカナ(Major Arcana)、全22枚
この22枚のカードは、タロットカードの「切り札」あるいは「魂」とも言える部分です。スートによる区別はなく、一枚一枚が重要な人生の課題、原型、あるいは転換点を表しています。これらを人生の旅における「大きな出来事」や「節目」と考えることができます。
例えば、無限の可能性を表す**0番「愚者」(The Fool)から始まり、旅の終着点と円満を表す21番「世界」(The World)**で終わるまで、この22枚のカードは、人が無知な状態から最終的に自己統合と円満を達成するまでの、完全な心の成長物語、つまり有名な「愚者の旅」を紡ぎます。
これには、「恋人」(The Lovers)、「力」(Strength)、「死神」(Death、通常は文字通りの死ではなく、終わりと再生を表す)、「塔」(The Tower)といった象徴的な意味に満ちたカードが含まれています。これらは、私たちの人生におけるより深遠で哲学的な「大きな教訓」を明らかにします。
まとめ:
したがって、78枚のカードの構造は非常に精巧です。
- 22枚の大アルカナ は、人生の壮大なテーマと精神的な青写真(「なぜそれが起こるのか」)を描き出します。
- 56枚の小アルカナ は、日常生活の具体的な詳細と場面(「何が起こったのか」)を埋めます。
この二つが組み合わさることで、マクロな人生の軌跡を洞察し、ミクロな日常の出来事を分析できる、完全な象徴体系が構築されます。この枚数は、その後の使用者によって、複雑で変化に富む人生のあらゆる側面を反映し、解釈するのに過不足ないことが証明されています。