クコ警部がもう少し謙虚で、同僚の直感を早く信じていたり、あのコーヒーをこぼさなかったりしたら、どれだけ早く真実を見抜けたでしょうか?結末は変わっていたでしょうか?
作成日時: 8/6/2025更新日時: 8/18/2025
回答 (1)
はあ、この質問は核心を突いていますね!『ユージュアル・サスペクツ』が傑作と称されるのは、クジャン警部と「ヴァーバル」キントの心理戦が大きく寄与しています。この古典的な"what if"について考えてみましょう。
もしも...彼が真実を見抜けたとしたら、どれくらい早かったか?
これはどの"もしも"が起きたかによります。シナリオ別に検証します:
1. もしコーヒーカップを倒さなかったら
- 結論:おそらく数分遅れるか、ほぼ変わらない カップが決定的と思われがちですが、あれは単なる"劇的な引き金"に過ぎません。たとえカップを倒さなくても、病院から送られてくるカイザー・ソゼのスケッチは遅かれ早かれ彼の手に渡ったはずです。 コーヒーカップを倒したことで杯底の「小林製陶」ロゴに気づき、これが壁の情報(地名・人名)と「ヴァーバル」の話を数分早く結びつけるきっかけになりました。この偶然がなくても、ファックスを受け取ってスケッチと壁の情報を見比べるうちに悟ったでしょう。 つまりコーヒーカップは"気づき"を早めただけで、「ヴァーバル」が警察署を出るタイミングには影響しません。
2. もし同僚の直感を早く信じていたら
- 結論:数時間早まるか、その場で看破できた可能性 ここが興味深い点です。FBIのジャック・ベアー捜査官を覚えていますか?彼は最初から「ヴァーバル」の話を疑っていました。物証と生存者の証言を重視し、ハンガリー人生存者が語る"恐怖の帝王"カイザー・ソゼと、眼前の足を引きずる小心者の「ヴァーバル」に矛盾を感じていたのです。 もしクジャンが自尊心を捨ててベアーの助言を受け入れれば:
- 取調べ戦略の変更:クジャンの独演ではなく、ベアーの疑念を武器に「ヴァーバル」の話の矛盾点を追及
- 情報の即時検証:取調べと並行して「ヴァーバル」が挙げた人名・地名を確認。途中で「"レッドフット"という密輸業者は実在しない」と気づく可能性
- 時間稼ぎ:「ヴァーバル」に疑念を持ち、重要なファックスが届くまで拘束を継続 この場合、「ヴァーバル」の作り話は編集中に崩壊し、数時間での逃走は不可能だったでしょう。
3. そもそも慢心がなかったら
- 結論:ゲーム成立せず、1時間で正体が露見 これが最も本質的な点です。この映画の真髄は、「ヴァーバル」キントがクジャン警部の"聞きたい話"を語ったことにあります。 クジャンの慢心とは?彼が長年追ってきたディーン・キートンこそ黒幕だという確信です。だから「ヴァーバル」が全ての証拠をキートンに結びつけ、カイザー・ソゼに脅された悲劇の梟雄として描くと、クジャンは鵜呑みにしました。自身の予想を完璧に裏付け、「やはりキートンが鍵だ」という自尊心を満たしたからです。 慢心のない冷静な警部なら: 「ヴァーバル」の話があまりに出来すぎていると感じるでしょう。「無名の小物が、どうして大物たちの心理を詳細に知っている?」と初期段階で疑い、主導権を握って「ヴァーバル」の想定外の質問を投げかけたはずです。 「ヴァーバル」の騙しは、特定の鍵穴(クジャンの慢心)に合わせた鍵のようなもの。鍵穴が変われば、この鍵はまったく機能しません。
結末は変わったか?
はい、根本的に変わります この映画の結末が衝撃的なのは、「ヴァーバル」キントが全員の眼前で、障害を持つ臆病者から伝説の魔王カイザー・ソゼへ変貌し、人混みに消えるからです。
- いずれかの"もしも"が実現すれば、カイザー・ソゼはその場で逮捕されていたでしょう 手錠をかけられ、ファックスのスケッチと本人の顔が一致します。彼が築いた"神話"は瞬時に崩壊し、"史上最恐の魔王"は警察署で正体を暴かれた犯罪者に過ぎなかったと判明するのです。 あの有名な台詞——「悪魔の最も優れたトリックは、自分が存在しないと信じ込ませることだ」——も力を失います。この仮定世界では、悪魔が存在することを知り、その逮捕を目撃するからです。 つまりクジャン警部の慢心は単なる性格の欠陥ではなく、物語成立の基盤なのです。彼が"勝たねばならない"という執念がカイザー・ソゼに逆転の機会を与え、この偉大な映画を生んだのです。
作成日時: 08-09 03:24:27更新日時: 08-10 03:01:34