評論家は、世界は「フラット」ではなく「スパイキー」であり、富、イノベーション、権力が少数の中心都市に高度に集中していると指摘しています。この見方についてどう思われますか?
作成日時: 8/15/2025更新日時: 8/18/2025
回答 (1)
こんにちは。この問題はとても興味深く、ここ十数年ずっと議論されているテーマです。一方で『フラット化する世界』が世界中で話題になる一方、私たちは大都市で「内巻き(インヴォリューション)」が激化し、住宅価格が法外に高くなる一方、確かにチャンスも多い現実を目の当たりにしています。
分かりやすい言葉で私の考えを述べさせてください。
### 「尖がっている」が「平ら」より現実に近いと思うが、真実はもっと複雑かもしれない
この二つの見方は完全な「二者択一」の対立関係ではなく、同じグローバル化プロセスの異なる側面を描いています。
#### まず、「世界がフラット化した」は間違いか?
完全な間違いとは言えません。トーマス・フリードマンが2005年に提唱したこの考え方の核心は、**インターネットとグローバル化**が情報、資本、人材の移動障壁を取り除いたという点にありました。
これはある程度までは正しいです。例えば:
* **知識取得の平準化**: 以前は何かを学ぶには大都市の図書館や名門大学に行く必要がありました。今では、貴州省の山間部の子どもでも、インターネットさえあればハーバード大学の公開講座を見られます。
* **ビジネス参入障壁の低下**: 職人は、北京・王府井に実店舗を構えなくても、淘宝(タオバオ)や抖音(ティックトック)で自分の作品を世界中に販売できます。
* **コラボレーションの容易化**: アメリカ企業がソフトウェア開発をインドのチームに委託し、コールセンターをフィリピンに設け、ネットを通じてリアルタイムで共同作業することも可能です。
この「世界を平らにする」力は実在しており、かつて周縁部にいた人々や地域に、グローバル競争に参加する機会を与えました。
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#### では、なぜ世界は「尖がっている」とも言えるのか?
「平らにする」プロセスは均等ではなく、むしろ一部の地域が養分の大部分を「吸い上げ」、異常に「鋭く」なる結果を招いたからです。砂山を平らに均したと思っても、風が吹けば必ず高い砂丘がいくつかできるのと似ています。
「尖がった世界」は主に以下の点に現れています:
**1. 人材と創造性の「集積効果」**
これは非常に理解しやすい現象です。飲食店がグルメストリートに集まりたがるのと同じで、客が多く、同業者が集まり、交流も容易だからです。イノベーションも同じ理屈です。
* **優秀な人材は優秀な人材と集まる**: トップクラスの金融人材はニューヨークのウォール街やロンドンの金融街(シティ)に集まり、トップクラスのプログラマーや起業家はシリコンバレーや北京の中関村(中關村)に集結します。人々が一か所に集まって互いに刺激し合うことで、新しいアイデアや企業が生まれるのです。
* **企業は人材を追って動く**: グーグルやアップルが本社をシリコンバレーに置くのはなぜか?そこには世界最高峰の技術者が集まっているからです。人材がいる場所に大企業が集まり、チャンスが生まれます。これが**好循環**となり、強者の一層の強化へと繋がります。
**2. 資本の「マタイ効果」(重点集中効果)**
資本には「嗅覚」があります。最も安全でリターンの高い場所へ流れます。
* 投資家が、経験豊富なシリコンバレーのスタートアップチームと、無名の町の創業会社と、どちらに投資するでしょうか?おそらく前者です。大都市には成熟したサプライチェーン、市場、退出(エグジット)メカニズムがあり、投資リスクが小さいからです。
* この結果、資本は少数の金融センターやイノベーションセンターへ**過度に集中**します。それらは巨大な吸い上げポンプのように、世界の資金を集めてしまいます。
**3. 権力とインフラの「堀(護城河)」効果**
大都市は金と人材だけでなく、最高水準のインフラと政治的リソースも有しています。
* **ハード面**: 最高の空港、最速のネットワーク、最高峰の大学や病院。
* **ソフト面**: 政府の政策支援、整った法務サービス、国際的な文化環境。
これらは地方都市が短期間で追いつけるものではなく、これらの中心都市の地位をより強固にする深い**「城の堀」(参入障壁/優位性の維持)** を形成しています。
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### 私の結論:世界は「平らに均される」プロセスの中で、いくつかの「尖峰(ピーク)」を隆起させた
ですから、私にとって最も適切な比喩はこうです:
**グローバル化とインターネットは、巨大なブルドーザーのように、地表全体をゆっくりと平らに均し、多くの場所がより参入しやすくしました。しかし同時に、特定の場所(人材、資本、権力など)はその地質的優位性ゆえに、この力によってさらに高く押し上げられ、険しい山の峰を形成したのです。**
最終的に世界は、**大部分が平原でありながら、数少ない超高峰が屹立する**という特異な地形になりました。
* **個人にとって**: これはネットワークを活用して「平原」で「スモール・イズ・ビューティフル(小さくとも美しい)」な生活を送る道も選べますが、激しい競争が待つあの「高峰」へ挑戦し、より高いリターンを得る可能性もある選択肢があることを意味します。
* **社会にとって**: これは大きな課題、主に**地域間格差**と**所得格差**をもたらします。「高峰」にあるリソースを、広大な「平原」へ少しでも流すにはどうすべきかは、全ての国家が直面する難題です。例えば現在盛んに議論される「リモートワーク」は、「高峰」を少し平らにし、「平原」を少し盛り上げようとする試みかもしれません。
総じて、「世界は尖がっている」という見方は、「世界は平らである」という見方に対する極めて重要で、より現実に即した補足です。それがグローバル化の機会と同時に、それによって悪化した不平等をも直視するよう促してくれます。
作成日時: 08-15 04:04:50更新日時: 08-15 08:42:33