抹茶が基礎代謝率の向上に寄与するという科学的根拠はありますか?

Mohammed Wilkinson
Mohammed Wilkinson
Food scientist with 10 years superfood research.

抹茶と新陳代謝:科学的根拠があるのか、それとも「不必要なお金」なのか?

こんにちは、このトピックに興味を持っていただきありがとうございます!確かにここ数年、抹茶は大人気で、「ダイエット効果がある」「新陳代謝を上げる」と言われることが多いです。では、その背景に科学的な根拠はあるのでしょうか?

一言で答えると:あります。ただし、その効果はあまりにも劇的ではありません。

以下で、詳しく分解して説明していきましょう。

抹茶が新陳代謝に影響を与える理由

これを理解するためには、抹茶に含まれる2つの「主役」成分を知る必要があります:

  1. カフェイン (Caffeine)
  2. カテキン (Catechins):特にその中でも強力なEGCG(エピガロカテキンガレート)。

この2つは「黄金コンビ」のようなものだと考えてください。

  • カフェイン:コーヒーやコーラにも含まれているので、お馴染みですね。これは刺激物の一種で、中枢神経系を刺激し、心拍数をわずかに上昇させ、短期的に身体のエネルギー消費量を少し増やします。まるで身体の「スロットルを軽く踏む」ようなものです。
  • EGCG (エピガロカテキンガレート):名前は少し複雑ですが、覚える必要はありません。緑茶に含まれる非常に強力な抗酸化物質であり、抹茶が新陳代謝を活性化する鍵となる成分だということだけ理解しておいてください。

この「黄金コンビ」はどう働くのか?

私たちの体内には「ノルアドレナリン」というホルモンがあります。これは脂肪細胞に「脂肪を分解してエネルギーを放出せよ!」と指令を伝える働きをします。

しかし、体内にはこの「伝達役」(ノルアドレナリン)をすばやく分解し、指令がいつまでも続かないようにする「監視役」(カテコール-O-メチルトランスフェラーゼという酵素)が存在します。

EGCGの役割は、この監視役の働きを一時的に「妨害」して、その効率を落とすことです。

ここでカフェインが登場します。カフェインは、体内により多くの伝達役(ノルアドレナリン)を放出させるよう刺激します。

つまり、一方(カフェイン)が伝達役を増やし、もう一方(EGCG)が伝達役が長く留まるようにすることで、相乗効果を発揮し、脂肪燃焼の信号をより強力に、より持続的にするのです。 これは科学的に「熱産生効果」(Thermogenesis)と呼ばれ、体内がより多くの熱を生産し、それによってより多くのカロリーを燃焼させる仕組みです。

科学的根拠はどう言っているのか?

理論だけでは不十分なので、研究結果を見てみましょう。

EGCGとカフェインを豊富に含む緑茶抽出物が、基礎代謝量と脂肪酸化を向上させることを支持する研究は確かに複数存在します。

  • どの程度の効果? 一部の研究では、緑茶抽出物を摂取した後、24時間のエネルギー消費量が3%~4%増加すると示しており、さらに高い数値を示す研究もあります。
  • 例を挙げると:1日の自然な消費カロリーが2000kcalの人がいた場合、4%の向上は追加で80kcalの消費増加となります。これは、およそ10分間のジョギングに相当するカロリー消費量です。

しかし、重要なポイントですので必ずお読みください(必読!):

  1. 効果は穏やか:1日に80kcal多く消費されるのは良いことですが、これだけで月に5kgも痩せることを期待するのは非現実的です。あくまでも「補助的な役割(ブースター)」に過ぎず、「主役(エンジン)」にはなりえません。
  2. 効果には個人差がある:遺伝子、体重、普段のカフェイン摂取習慣により、人によって反応は異なります。普段ほとんどコーヒーやお茶を飲まない人の方が、効果がより顕著に現れる可能性があります。
  3. 研究の限界:多くの研究は高濃度の「緑茶抽出物」を使用しています。普段飲む一杯の抹茶に含まれるEGCGやカフェインの量は、実験で使われた量ほど多くない可能性があります。
  4. 抹茶 ≠ 普通の緑茶:これは抹茶にとって有利な点です。抹茶は茶葉を丸ごと粉末にして飲むため、一般的なお湯で抽出したあと茶葉を捨てる普通の緑茶を飲む場合に比べると、理論上、摂取するEGCGとカフェインの量ははるかに多くなります。

結論と生活上のアドバイス

したがって、最初の質問に戻りましょう:抹茶には基礎代謝量を高める科学的根拠はありますか?

その答えは、科学的根拠は確かにありますが、ダイエットの「特効薬」ではない、ということです。

抹茶は、健康的なライフスタイルをさらに豊かにする「追加要素」 と捉えるのが良いでしょう。

私からのアドバイス:

  • 健康的習慣の一つとして:手持ちの砂糖入り飲料やミルクティーの代わりに、無糖の抹茶を一杯飲むようにするのは、間違いなく大きな進歩です!糖分摂取を減らせるだけでなく、代謝促進の効果や豊富な抗酸化物質を得ることができます。
  • 砂糖を入れないで!×3:市販の「抹茶ラテ」や「抹茶フラペチーノ」の多くは、味を良くするために大量の砂糖とクリームが加えられており、代謝促進のわずかなメリットは、余分なカロリーに完全に打ち消されてしまいます。健康効果を得たいなら、ぜひ純粋な抹茶(水か少量の無糖ミルクで割る)を飲むことをおすすめします
  • 運動と健康的な食生活との組み合わせを:減量や新陳代謝の向上を目指すなら、運動とバランスの取れた食事は常に最も重要です。抹茶はこの基礎があってこそ、少しの補助的な効果を提供します。抹茶は、皆さんの健康的な道のりの「小さな味方」だと考えてください。

この説明がお役に立てば幸いです!抹茶を神格化せず、完全に否定もせず、理性的に見ることが大切ですね。