姿勢の変化:なぜ米国防総省(ペンタゴン)は近年、過去の否定的な姿勢から、UAP動画の信憑性を公に認め、専門の調査機関(AARO)を設立するに至ったのでしょうか?
舞 花子
舞 花子
Amateur astronomer and lifelong enthusiast of alien theories and space exploration.
はい、この話題についてお話ししましょう。ペンタゴンのここ数年の姿勢の変化は確かに大きく、以前の「絶対に話さない」から現在の「よし、これが何なのか見てみよう」へと変わりました。その背景にはいくつかの理由があり、一つずつ分析していきましょう。
核心的な理由:もはや隠しきれなくなり、しかもその火は非常に危険かもしれない
この変化は、情報漏洩 → パイロットの証言 → 議会の圧力という三段階のプロセスとして捉えることができます。
1. 「隠しきれなくなった」:重要なビデオとファイルの漏洩
この件の引き金となったのは、2017年の『ニューヨーク・タイムズ』紙の衝撃的な報道でした。
- 「水も漏らさぬ」壁に亀裂が入った:以前、この種の情報は極秘扱いでした。しかし、その記事は米海軍の戦闘機が撮影した3本の赤外線ビデオ(後に「ジンバル」、「ゴーファスト」、「ティックタック」として知られるもの)を直接公開しました。
- ビデオの衝撃:これらは民間の愛好家が撮影したぼやけた映像ではなく、F/A-18「スーパーホーネット」戦闘機のような最高級の軍事装備から得られたものです。ビデオに映る物体は、既存の航空技術をはるかに超える飛行挙動(例えば、瞬間的な加速、目に見える推進装置なしでのホバリングなど)を見せていました。
- 公式の承認:最も重要なのは、ペンタゴンが後にこれらのビデオが本物であることを認めざるを得なかったことです。これらは軍のネットワークから漏洩したものでした。これは、これらの「未確認航空現象」(UAP)の実際の存在を公式に初めて公に確認したことになります。一度認めてしまえば、「気象観測気球」や「視覚的な錯覚」でごまかすことはできなくなりました。
2. 「最も信頼できる目撃者」:エースパイロットが立ち上がった
ビデオだけでは不十分で、人的要因がより重要です。
- 「狂人」から「英雄」へ:以前、もしパイロットがUFOを目撃したと報告すれば、仲間から嘲笑され、上官からは心理評価のために飛行停止にされ、キャリアが台無しになる可能性がありました。そのため、目撃してもほとんどの人が口を閉ざすことを選びました。
- トップパイロットの証言:ビデオの公開に伴い、これらのビデオを撮影したパイロット、例えば元海軍司令官のデビッド・フレイバー氏やライアン・グレイブス氏らが公の場に姿を現し始め、主要メディアのインタビューに応じ、さらには議会で証言するまでになりました。
- 証言の重み:これらの人々は普通ではありません。彼らは非常に経験豊富なエースパイロットであり、米軍システムの中で最も冷静で、最もプロフェッショナルで、最も信頼できる人々です。彼らが自身のキャリアと名誉をかけて、「私は物理法則を無視する、説明できないものをこの目で見た」と証言したとき、その重みは全く異なるものになりました。これにより、「UFO」は周縁的な話題から、真剣な目撃事件へと変わったのです。
3. 「解明しなければならない」:国家安全保障と議会の圧力
これは、ペンタゴンが公式オフィス(AARO)を設立する最も直接的で根本的な原動力となりました。
- 問題の性質が変わった:軍の最先端の戦闘機が、軍事訓練空域で自らの性能をはるかに超える未確認物体に頻繁に遭遇するようになったとき、これはもはや「宇宙人はいるのか」という科学探求の問題ではなく、差し迫った国家安全保障上の問題となりました。
- これは誰のものか? ペンタゴンがまず排除しなければならないのは、これがロシアや中国の秘密のハイテク飛行体ではないかということです。もしそうであれば、それはアメリカの技術がはるかに遅れをとっていることを意味し、これは絶対に受け入れられません。
- 飛行の安全:これらのUAPは軍事訓練区域に頻繁に出現し、パイロットにとって深刻な航空安全上の脅威となっています。「ニアミス」の事例もすでに発生しています。
- 議会の介入:議員たち(特に情報委員会や軍事委員会の議員)が、その背後にある潜在的な国家安全保障上のリスクを認識した後、彼らは軍と情報機関に圧力をかけ始めました。彼らは立法措置を通じて、ペンタゴンに以下のことを強制しました。
- パイロットが報復を恐れることなくUAP目撃事件を安全に報告できる、公式で統一された報告チャネルを確立すること。
- すべての軍種と情報機関のデータを体系的に収集・分析するための専門オフィス(AARO)を設立すること。
- 定期的に議会に非機密報告書を提出し、調査結果の一部を公衆に開示すること。
まとめると
したがって、ペンタゴンの姿勢の変化は、突然宇宙人の存在を信じるようになったからではなく、非常に現実的な変化なのです。
- 受動から能動へ:情報が漏洩やメディアの報道を通じて広まるのを許すよりも、自ら積極的に公式チャネルを確立し、情報の公開と調査を管理する方が良い。
- 隠蔽から研究へ:見て見ぬふりをするよりも、この現象に正面から向き合い、真剣な国家安全保障上の問題として研究する方が良い。これらのものが一体何で、どこから来て、アメリカにとってどのような脅威となるのかを解明するのです。
- 核心的な原動力は「脅威評価」:AAROの設立は、本質的にUAPを「超自然的なもの」というレッテルから、「未知の潜在的脅威」というレッテルへと移行させるものです。これは冷戦時代に未確認潜水艦を追跡していたのと同じで、それが何であれ、自分の領域に現れた以上、その正体を突き止めなければならないのです。
簡単に言えば、「それが何なのかは分からないが、私の家のすぐそばをうろついていて、しかも私のスポーツカーよりも速い。一体どういうことなのか、解明しなければならない。」 これがペンタゴンがAAROを設立した根本的な論理です。