ああ、この質問はとても良いですね。タロットカードを始めたばかりの多くの友人がこの疑問を抱いています。なぜ「1」からではないのでしょうか?
このように考えてみてください。大アルカナカード(名前のある22枚のカードのことです)は、実は一人の人間の成長の旅という、一つの完全な物語を語っています。そして「愚者」こそが、この物語の主人公なのです。
1. 0は「無限の可能性」を表し、「何もない」わけではありません
数字の世界では、1は始まりであり、最初の行動です。では0は?0はすべての行動が始まる前の、混沌としていながらも潜在力に満ちた状態です。それは始まりも終わりもない円のようです。
- ある場面を想像してみてください。 長い旅に出る準備をしています。家を出る(最初の一歩を踏み出す、つまり「1」)前に、あなたは玄関に立ち、荷物を背負い、目の前には未知の世界が広がっています。この瞬間、あなたは期待に満ち、少しの緊張を感じ、無限の可能性があなたを待っています。この瞬間こそが、「0」番のカード「愚者」の状態なのです。
- あるいはゲームのように: 新しいキャラクターを作成し、レベルは0で、まだ何もクエストを始めていません。彼はどんな職業にもなれ、どんなルートも選べます。彼の未来は白紙であり、無限の可能性に満ちています。
したがって、愚者は0番のカードであり、まだいかなる経験、規則、あるいは身分によっても定義されていないことを表します。彼はすべての始まりであり、純粋な潜在力なのです。
2. 「愚者の旅」のストーリーライン
先ほど言ったように、大アルカナは一つの物語です。この物語こそが「愚者の旅」(The Fool's Journey)です。
- 0番の愚者、この無邪気な旅人は、崖っぷちから最初の一歩を踏み出します。
- そして彼は1番の魔術師に出会い、自分の意志と道具の使い方を学びます。
- 2番の女教皇に出会い、内なる直感に耳を傾けることを学びます。
- 3番の女帝と4番の皇帝に出会い、創造、慈愛、そして秩序、権威を理解します……
彼は旅を続け、愛、戦車、力、隠者の孤独、運命の輪などを経験します……そして最後の**21番の「世界」**のカードにたどり着きます。「世界」のカードでは、彼は旅全体を終え、知恵と円満を獲得し、世界全体と一体となります。
ですから、愚者を0番に置き、物語全体の始まりとすることは、非常に理にかなっていると思いませんか?彼は物語の主人公であり、まさに1から21までのすべての教訓を経験しようとしているのです。
3. 愚者の特別な位置
彼が0であるからこそ、彼は少し「超然とした」存在です。いくつかの古いタロットカードの体系では、愚者カードには番号すらなく、デッキのどこにでも置くことができました。彼を一番前に置いて旅の始まりを表すこともできますし、一番後ろ(21番の世界の後)に置いて、一つの旅の終わりがまた新しい旅の始まりであることを表し、生命の循環を象徴することもできます。
まとめると:
「愚者」が0番のカードであるのは、旅が始まる前の無限の潜在力を表し、「愚者の旅」という壮大な物語の主人公であり出発点だからです。彼は1から21までのシーケンスには含まれません。なぜなら、彼自身がこれからすべてを経験する「魂」だからです。
ですから、次に愚者カードを引いたとき、彼が崖から落ちそうな「愚かさ」だけを見るのではなく、その束縛されない、未知へと勇敢に踏み出す自由と無限の可能性を見てください。これこそが0番のカードの真の魅力なのです。