もしロボットが創造性を持った場合、その芸術作品は著作権によって保護されるべきでしょうか?

陽一 和也
陽一 和也

はい、この非常に興味深いテーマについてお話ししましょう。


ロボットが描いた絵の著作権は誰のものになるべきか?

これは現在、世界中の弁護士、アーティスト、プログラマーが激しく議論している問題であり、まだ統一された答えが出ていません。なぜなら、これは法律だけでなく、「創造性」や「作者」という概念に対する私たちの理解をも問い直すものだからです。

この問題については、いくつかの異なる視点から見ることができます。

視点一:ロボットは単なる高度なツールである

  • 類推: 現在のAIを、超高性能なカメラやPhotoshopソフトウェアのようなものだと想像してみてください。
  • 論理: カメラ自体は創作できません。写真家が構図を決め、絞りを調整し、シャッターを切ることで初めて写真作品が生まれるので、著作権は写真家に帰属します。同様に、絵がAIによって生成されたとしても、多くの場合、人間がAIに指示(私たちはそれを「呪文」や「プロンプト」と呼びます)を与えています。例えば、「宇宙服を着た猫が月でチーズを食べている絵を描いて」といった具合です。このアイデアや指示は人間が与えたものであり、AIは単にそれを実行するツールに過ぎません。
  • 結論: このような状況では、多くの人が著作権はAIを「使用した」人に帰属すべきだと考えています。なぜなら、彼の指示やその後の調整に創造性が表れているからです。現在、これも多くの国(例えばアメリカ)の著作権局が採用する傾向にある見解です。つまり、十分な「人間の創造的介入」を証明する必要があり、単にボタンを押すだけでは不十分だということです。

視点二:ロボットは「作者」なのか?

  • 前提: この問題はよりSF的であり、ロボットが本当に自己意識と独立した創造性を持っていると仮定しています。それは命令を実行しているのではなく、「感情に突き動かされて」創作しているのです。
  • 論理: もしロボットが人間アーティストのように、自身の「感情」、「思考」、そして「経験」(たとえそれが仮想のものであっても)に基づいて創作できるのであれば、それはもはやツールではありません。それ自体が創作者となるのです。
  • 課題: 法律上の「作者」は通常、「人」(法人または自然人)を指します。機械は法律上の身分を持たず、財産を所有することも、契約を締結することもできません。では、著作権を機械に与えたとして、どのように「保有」するのでしょうか?その所有者(製造者)に与えるのか?それともそのロボット「自身」に与えるのか?これは、多くの哲学的・法的難題を引き起こします。

視点三:いっそのこと著作権なし!

  • 論理: 一部の人々は、著作権法が人間の創作者を保護するためのものである以上、機械が創作したものは著作権保護の対象とすべきではないと考えています。
  • 方法: AIが純粋に独立して生成したすべての作品は、直接「パブリックドメイン」(Public Domain)に入るべきだというものです。
  • 利点: 誰でもこれらの作品を無料で利用、修正、配布できるようになります。これは、私たちが今日ベートーヴェンの音楽やシェイクスピアの戯曲を自由に利用できるのと同じように、文化や創造性の再創作を大いに促進する可能性があります。
  • 欠点: もし巨額の投資をして開発された創作型AIの作品が商業的な利益をもたらさないとしたら、誰がその開発に投資しようとするでしょうか?これはイノベーションへの意欲を削ぐ可能性があります。

まとめ

現在の主流の見解は、視点一に傾いています。

AIは強力なツールであり、著作権は創作過程において十分な知的労働と創造的な選択を行ったその人に帰属する。

しかし、技術の発展に伴い、AIの「創造性」がますます高まり、構想から実行までを独立して行えるようになった場合、既存の法体系は間違いなく大きな課題に直面するでしょう。

したがって、この問題には単純な「はい」か「いいえ」の答えはありません。それはむしろ、将来の社会が「創造」、「価値」、そして「権利」といった基本的な概念を再考する必要があることを示唆する風見鶏のようなものです。この話は、まだ始まったばかりです。