人型ロボットは、絵画、音楽、文学などの芸術創作活動を行うアーティストになれるでしょうか?

陽一 和也
陽一 和也

ロボットはゴッホのような芸術家になれるのか?AIの絵筆と五線譜について語ろう

この問いは非常に興味深く、友人との会話ではいつも白熱した議論になります。私の考えを端的に言えば、なれる、しかしなれない。

矛盾しているように聞こえるでしょう?慌てないでください、いくつかの側面から見ていきましょう。


ロボットはどのように「創作」するのか?

まず、現在のロボット(あるいはその背後にある人工知能AI)がどのように絵を描き、歌を作るのかを理解する必要があります。

血肉のある人間が絵筆を持って考えている姿を想像してはいけません。それはむしろ超優秀な学生のようなものですが、この学生は少し「偏り」があります。

  1. 膨大な「学習データ」:研究者は、人類の歴史上何万もの絵画、楽譜、文章をAIに「与えて」学習させます。例えば、絵を描かせたいなら、ゴッホの『星月夜』、ピカソのキュビスム作品、中国の山水画などを見せます。
  2. 「パターン」の学習:AIは私たちのように絵画に感動することはありません。数学的な手法を用いて、これらの作品のスタイル、筆致、色彩の組み合わせ、構図の法則を分析します。まるで音楽学生が感情を感じるのではなく、ベートーヴェンの和音進行やリズムパターンを分析するかのようです。
  3. 「応用」:これらの「パターン」を学習し終えると、例えば「ゴッホのスタイルで宇宙にいる猫を描いて」といった指示を与えれば、AIは与えられた「猫」と学習した「ゴッホスタイル」を組み合わせて、全く新しい絵を生成します。

したがって、技術的に言えば、ロボットは絵画、音楽、文学の創作を行うことができます。現在、多くのAI絵画ツール(Midjourneyなど)やAI音楽生成器があり、それらの作品は時に本物と見分けがつかないほどで、驚くべきものさえあります。

(このようにAIが生成した画像は、すでに非常に驚くべき効果を発揮しています)


では、なぜ「なれない」とも言えるのでしょうか?

これは芸術創作の核心である、創造性と感情について語る必要があります。

私たちはなぜ一つの芸術作品に心を動かされるのでしょうか?

  • ゴッホが『星月夜』を描いた時の内面の葛藤や宇宙への幻想を感じ取れるからです。
  • ベートーヴェンの『運命交響曲』に、運命の喉元を掴むような力強さを聴き取れるからです。
  • 杜甫が「安得広厦千万間」と詠んだ時の、国を憂い民を思う心情を読み取れるからです。

これらのものはすべて、創作者の人生経験、個人的な感情、世界に対する独自の思考と感覚に由来します。ある画家は失恋によって悲しい青を描き出すかもしれませんし、ある音楽家は子供の誕生によって喜びのメロディーを紡ぎ出すかもしれません。

そして、これこそがロボットに現在欠けているものです。

  • 「なぜ」がない:AIは悲しそうに見える絵を生成できますが、それ自体が悲しみとは何かを知っているわけではありません。それは単に、人間が悲しみを表現する際によく使う青い色調や垂れ下がった線などの要素を模倣しているだけです。AIには創作の内的な動機がありません。
  • 人生経験がない:ロボットには幼少期がなく、夢もなく、愛憎もありません。その創作は、生命や世界に対する真の洞察に基づいているのではなく、冷たいデータとアルゴリズムに基づいているに過ぎません。
  • 「高度なツール」に近い:現状では、AIはむしろ人間の芸術家が持つ「魔法の筆」のようなものです。最終的なアイデア、発想、そして作品を選別する審美眼は、やはり人間の手に委ねられています。AIに何を描くべきかを指示するのもあなたであり、生成された結果のどれが良いかを判断するのもあなたなのです。

結論:「職人」か「巨匠」か?

したがって、最初の問いに戻りましょう。人型ロボットは芸術家になれるのでしょうか?

  • もし「芸術家」の定義が、熟練した技術を駆使し、特定のスタイルや美的基準に合致する作品を創作できる者であるならば、それらはなれます。そして、非常に効率的で、熟練した「芸術の職人」となり得るでしょう。

  • しかし、「芸術家」の定義が、作品を通じて独自の思想を表現し、真の感情を伝え、そしてオリジナリティへの衝動を持つ「芸術の巨匠」であるならば、それらは現状ではなれません

私は、このことで恐れる必要はないと思います。カメラの登場が画家を失業させることはなく、むしろ写真という新しい芸術を生み出しました。AIの登場も、人間の芸術家を置き換えるのではなく、強力な新しいツールとなり、人間が芸術のさらなる可能性を探求するのを助けるでしょう。

おそらく未来の芸術は、人間と機械が共に完成させるものになるでしょう。