バラエティ番組における「CP」(カップリング)はどのように作られるのか?視聴者はなぜこれほどまでに「真情」を込めて没入するのか?

作成日時: 8/6/2025更新日時: 8/18/2025
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こんにちは!核心を突く質問ですね。バラエティ番組愛好家かつ「カップリング推し」の最前線に立つ者として、経験が溢れ出て、語らずにはいられません。分かりやすい言葉で、番組の中の「恋愛マジック」のカラクリについてお話ししましょう。


Part 1: カップリングはどう「製造」される?—— 緻密に計画された「ロマンチックな陰謀」

番組で見る甘いやり取りがすべて自然発生の恋の火花だと思っていませんか?うーん…時にはそうかもしれませんが、ほとんどの場合、それは素材選びから盛り付けまで「計算尽く」の、手の込んだ料理のようなものです。

1. キャスティング:すべては「目が合う」ことから始まる

これが第一歩、そして最も重要なステップです。番組スタッフの選考は、会社の人事が採用するようなものですが、見ているのはKPIではなく「カップリング感」です。

  • 見た目のマッチング: 基本中の基本。二人が並んで映えて、視覚的なインパクトがあること。
  • 性格の相補性/類似性: 「ワンマン社長×天然ドジっ娘」型、「ケンカ好きな仲良し」型、「ソウルメイト」型など。スタッフは事前にゲストの性格や過去のインタビューを研究し、どの性格同士を組み合わせれば化学反応が起きるかを予測します。
  • 知名度と話題性: 二人の人気タレントをカップリング?それは間違いなくトレンド入り確定です。ベテランが新人を引っ張る?後輩育成にもなり、「育成系」の見せ場も生まれます。

2. シナリオ:台本ではなく、「ストーリーライン」

「シナリオ」と聞くと偽物っぽく感じる人が多いですが、バラエティ番組のシナリオは台詞を読ませるものではなく、「ストーリーの大筋」や「タスクガイド」のようなものです。

  • 二人きりの空間作り: スタッフは意図的に、ある二人に一緒にタスクを遂行させます。例えば「二人で市場に買い物に行ってください」、「このゲームは二人三脚で」など。これで物理的に交流する機会を作り出すのです!
  • 「ときめきタスク」の設計: 恋愛番組なら「30秒間見つめ合い」、「相手への手紙」、「目隠しで誰かを当てる」といった定番のシチュエーション。これらのタスク自体が、曖昧さを生み、距離を縮める性質を持っています。
  • 「伏線」を張る: 例えば、ゲストAがインタビューで「ギターが弾ける男性が好き」と言ったら、後日スタッフはゲストBがちょうどギターの腕前を披露する場面を仕込むかもしれません。視聴者から見れば「わあ!運命!?」となるわけです。

3. 編集:無から有を生む「神の手」

これまでの作業が準備段階だとすれば、編集こそが真の「魔法」をかける瞬間です。優秀な編集技師は、ただの水を甘く芳醇なカプチーノに変えてしまいます。

  • 素材の再構成: ゲストAが窓の外をぼんやり見ているシーンと、別のシーンでゲストBが笑っているシーン。編集技師がこの二つのカットをつなぎ、叙情的なBGMを添えると、「想い」というストーリーが生まれます。実際には、Aは夕食のことを考えていて、Bはただ面白い話を聞いただけかもしれません。
  • BGMと効果音の魔力: これが最も重要な要素です!二人が目を合わせた瞬間、ロマンチックな韓流ドラマのOSTが流れ出す。何気ない触れ合いに「ドキッ」という効果音が入る。音楽と音は感情を直接揺さぶるスイッチで、「ほら!ここに甘いシーンがあるよ!甘くない?」と絶えず心理的に暗示をかけ続けるのです。
  • スローモーションとクローズアップ: 一瞬の眼差し、微表情、指が触れた瞬間を、スローモーションやクローズアップで拡大することで、あらゆる細部に特別な意味が付与されます。
  • 「テロップ」による誘導: 画面に浮かぶピンクの泡やハート、あるいは「空気が急に甘くなる」「この笑顔、めっちゃ溺愛してる」といった文字。これは番組スタッフが公式に「ここがポイントですよ」と教え、「カップリングの推し方」を手取り足取り指南しているようなものです。

4. 番組外の連携:全方位立体型の「盛り上げ」

番組放送はほんの一部に過ぎません。真のカップリングプロモーションは立体的です。

  • SNSでの交流: 番組放送期間中、ゲストたちはSNS(例:Weibo)で、偶然のように見えて実は暗示に満ちた交流をすることがあります。例えば同じスタンプを使ったり、コメント欄で冗談を言い合ったり。
  • 宣伝素材: 公式ポスターやメイキング映像も、カップリング感満載の内容を意図的に公開し、カップリングファンの注目を集めます。

まとめ: 番組スタッフは、キャスティング(基礎固め) -> シナリオ(骨組み作り) -> 編集(仕上げ) -> 宣伝(集客) という一連の流れ作業を通じて、視聴者に「推したくなる」カップリングを次々と「生産」することに成功しているのです。


Part 2: なぜ視聴者は「本気」になるのか?—— 私たちが推しているのはカップリングではなく、理想と感情の投影

さて、これが「お決まりのパターン」だと知っていながら、なぜ私たちは喜んでその罠に飛び込み、時には当の本人たち以上に盛り上がるのでしょうか?

1. 没入感と感情の投影

これが最も核心的な心理的理由です。私たちの現実生活では、恋愛がうまくいっていなかったり、生活が平凡だったり、理想の愛情はあっても実現が難しかったりします。

  • 理想の恋愛の代用品: カップリングは「理想の恋愛の見本」を提供してくれます。彼らは見た目が良く、交流が甘く、私たちの完璧な恋愛に対するあらゆる想像を満たしてくれます。カップリングを推すことは、自分が主役の恋愛映画を見ているようなもので、彼らの甘い瞬間は、まるで自分自身が体験しているかのように感じられます。
  • 感情の「安全な」発散: 自分で恋愛すると傷つくかもしれませんが、カップリングを推すのは安全です。あなたはただその良さを享受するだけで、いかなるリスクも負う必要がありません。カップリングが成立すれば嬉しいし、成立しなくても悲しいけれど、現実生活には何の影響もありません。

2. 「探偵ごっこ」の快感

カップリングを推す過程は、国民参加型の「謎解きゲーム」のようなものです。視聴者は「顕微鏡女子/男子」と化し、どんな小さな手がかりも見逃しません。

  • 「証拠」探し: 同じスマホケース、写真に写り込んだぼやけた背景、インタビューでの何気ない一言さえも、カップリングファンの目には「決定的証拠」となります。こうして「真実」を発見し続ける過程自体が、楽しさと達成感に満ちています。
  • 妄想の楽しみ: 公式が提供する甘いシーンには限りがあります。それ以上の楽しみは「妄想」にあります。ファンは番組内の交流をもとに、無数の二次創作(小説、動画、漫画)を生み出します。この二次創作の過程が、ファンの参加意識と感情的な没入感を大きく深めるのです。

3. 社交性と帰属意識

一人で甘いシーンを推すのは楽しいですが、大勢で推せばそれは狂騒です。

  • 同好の士を見つける: Weiboのスーパートピック、豆瓣グループ、Bilibili(B站)などでは、何千、何万もの「姉妹(推し仲間)」をすぐに見つけることができます。みんなで議論し、分析し、カップリングの甘い瞬間に一緒にキャーキャー騒ぎます。この「私だけじゃなかったんだ」という帰属意識は、非常に強力です。
  • 文化圏の形成: カップリングファンには独自の「隠語」(例:「szd」=本当、「kswl」=推しすぎて死にそう)があり、共通の「敵」(例えば「推しメン(個々のタレントだけを推すファン)」やライバルカップリングのファン)がおり、共通の目標(カップリングが本当になることを願う)があります。このコミュニティ文化により、カップリングを推す行為は個人の娯楽から、一種の社交活動へと変わるのです。

4. 「現実」と「虚構」の曖昧な境界線

バラエティ番組のカップリングの最も魅力的な点は、その「半現実・半虚構」なところにあります。ドラマのように、俳優がただ演技しているだけだと分かっているものとは違います。バラエティ番組は「リアリティショー」を掲げているため、つい考えてしまうのです:

「この二人、本当に付き合うんじゃないか?」

この不確実性は、まるでシュレーディンガーの猫のように、致命的な魅力を秘めています。あなたは永遠に推測し、期待し続け、このサスペンス感がやめられなくさせるのです。

総括

結局のところ、バラエティ番組のカップリングとは、番組スタッフが緻密に構築した「美しいおとぎ話」視聴者が自ら飛び込んだ「感情のよりどころ」 が共同で作用した結果なのです。

番組スタッフは十分に魅力的な「餌」(素材)を提供し、私たち視聴者は、喜んでその餌に食いつく「魚」の群れです。私たちが享受しているのは、その甘さだけではなく、この過程で得られる代理満足、謎解きの快感、コミュニティの温かさなのです。

だから、次にあなたがカップリングに涙を流したり、笑いが止まらなくなったりしても、恥ずかしく思う必要はありません。私たちはただ、入念に作り上げられたパラレルワールドの中で、ほんの一時、美しい夢を見ているだけなのですから。そして夢を見ること自体が、とても幸せなことじゃないですか?

作成日時: 08-08 21:21:31更新日時: 08-10 01:59:09