こんにちは!この質問を読んで、まるでカフェで友達とおしゃべりしているみたいで、とても面白いなと思いました。普段から「スーパーフード」の宣伝をよく耳にしますよね。ケールやチアシード、ブルーベリーとか、「食べれば生まれ変わる」みたいな。でも現実は、あなたに効果があるものが、私には全く効かなかったり、むしろ気分が悪くなったりするんです。この裏にある「秘密」は、私たち一人ひとりの個人差にあるんです。
ここでは分かりやすく、皆さんが気になる代謝と遺伝子に絡めてお話しします。
一、代謝の速さが「スーパーフード」への反応を決める
私たちの体は車に例えられます。新陳代謝はそのエンジンです。持って生まれたエンジンが「スポーツカー仕様」(代謝が速い)の人もいれば、「低燃費タイプ」(代謝が遅い)の人もいます。この2種類のエンジンに同じ「プレミアム燃料」(スーパーフード)を入れても、効果はきっと違います。
例1: カフェイン(例:コーヒー、抹茶)
コーヒーを頭をスッキリさせる「スーパードリンク」と思う人は多いですよね。でもこんな違いを感じたことはありませんか?
- Aさん: 一杯飲むとたちまち元気百倍、午後飲んでもぐっすり眠れる。
- Bさん: 一杯で朝から心臓がドキドキ、手が震える。午後に口にしたら、夜中まで羊の数を数える羽目に。
これが典型的な代謝の差の現れです。
私たちの体内にはCYP1A2
という遺伝子があります。この遺伝子は、カフェインを分解する「作業員」(酵素)をつくる責任者です。ある人たちのこの遺伝子は「ハイスペック」で、効率よく大量の「作業員」をつくり出し、カフェインを素早く分解します。これがAさん(代謝が速い人)です。一方、Bさんの遺伝子は「のんびり屋さん」タイプで、「作業員」の生産が遅く、カフェインが体内に長くとどまるため、副作用が出てしまうのです(代謝が遅い人)。
つまり、カフェイン代謝が速い人にとってコーヒーは「スーパーフード」ですが、遅い人にとっては「不安増幅装置」になりえるわけです。
例2: 炭水化物(例:キヌア、オーツ麦)
キヌアやオーツ麦は血糖値を安定させる「良質な炭水化物」としてよく推奨されます。でもこれも人によって異なります。
- ある人(インスリン感受性が高い)はこれらを食べると、血糖値が穏やかに上昇・下降し、数時間にわたって安定したエネルギーを感じられて調子がいい。
- 別の人(インスリン抵抗性のある傾向など)は、たとえ「良質」な炭水化物を食べても、血糖値がジェットコースターのように急上昇・急降下し、すぐにお腹がすいたり眠くなったりする可能性がある。
あなたの基礎代謝率と糖分処理能力によって、これらの「スーパー穀物」はあなたにとって「持続型バッテリー」になるか、あるいは「使い捨てライター」になるかが決まるのです。
二、あなたの遺伝子は、体の「工場出荷時設定」
代謝がエンジンの運転状態だとすると、遺伝子はその車の**「取扱説明書」** であり、「工場出荷時の仕様」 そのものです。身体の多くの基本的な動作を規定していて、中には「ロックされている」ものさえあります。
例1: 葉物野菜と葉酸(例:ほうれん草、ケール)
葉物野菜には健康に不可欠な葉酸が豊富に含まれています。ただし、食べ物に含まれる葉酸(Folate)は、体内で変換されて初めてそのまま使える「活性型葉酸(活性葉酸)」になります。
この変換プロセスは、MTHFR
という遺伝子が司っています。統計によると、かなりの割合の人にこの遺伝子に「小さな不具合」(変異)があり、変換効率がとても低いのです。
- 遺伝子が「通常」の人: ほうれん草やブロッコリーをたくさん食べれば、葉酸を効率よく補給できる。
- 遺伝子に「小さな不具合」がある人: どれだけ葉物野菜を食べても、体はそれでも「在庫不足」に陥っている可能性がある。彼らには、直接「活性型葉酸」をサプリなどで補うこと、またはレバーのように活性型葉酸を自然に豊富に含む食物を取ることが必要な可能性がある。
だから、ある人にとってケールは「栄養の宝庫」でも、他の人にとっては「効率の良い食物繊維」に過ぎないこともあるのです。
例2: アブラナ科野菜の「苦み」(例:ブロッコリー、キャベツ)
こんな経験はありませんか?ブロッコリーやケールが苦くて食べづらく感じるのに、友達は美味しそうに食べている、という光景。
決して好き嫌いのせいだと思わないでください!これは遺伝子が関係している可能性が高いんです。TAS2R38
という遺伝子は、特定の苦み成分に対する感受性を決めています。
- 「スーパーテイスター」: この遺伝子が特に敏感で、普通の人が感じない苦みを味わえる。彼らにとっては、これらの「スーパー野菜」の味は「不味飯(まずめし)」に等しい。
- 「普通の味覚の人」: 普通の味で、その風味を楽しめる。
ほら、遺伝子はそのスーパーフードを「受け入れられる」かどうかも直接決めるのです。スーパーテイスターに、本人が激マズに感じるものを無理に食べさせても、健康法どころか拷問に近いですね。
三、まとめ: 私たちはどうしたらいいの?
これまでお話ししたのは、自分の遺伝子や代謝を心配させたいためではなく、本当の核となるメッセージをお伝えしたかったんです:「絶対的な『スーパーフード』なんて存在しない。ただ、『自分に合う』食物があるだけだ。」
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安易に流行に乗らない: SNSや動画で「スーパーフード」が流行っているからといって、慌てて買い込まないこと。芸能人やインフルエンサーに合っても、自分に合うとは限りません。
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自分の体のサインに耳を傾ける: これが一番大事!自分の体の名探偵になりましょう。
- ある食べ物を摂取した後、元気が出た?それとも眠くなった?
- 胃腸の調子は快調?お腹が張ったり、不快感はない?
- 肌や気分に何か変化はあった?
- あなたの体が一番正直な答えを教えてくれます。例えば私だと、牛乳で気分が悪くなるので、牛乳がどれだけ栄養価が高いと知っていても、私にとっては「スーパーフード」とは言えませんね。
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多様性こそ王道: 特定の食べ物に頼りすぎないこと。毎日チアシードばかり食べるより、今日は亜麻仁パウダー、明日はクルミ、明後日は魚…というように、食事の多様化こそが「リスク分散」につながり、栄養バランスを保証してくれます。仮に数種類の食べ物が自分に合わなくても、大きな影響を回避できます。
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興味を持ちつつ、あまり固執しすぎない: 遺伝子や代謝の違いを理解することは面白く、自分を深く知る助けになります。でも、今すぐ高額な遺伝子検査(現在の多くの市販検査は実用的なアドバイスには限界あり)を受けて、その結果で厳しく食事制限するのは考えものです。何より大切なのは、自分の感覚に立ち返ることです。
このお話しが、「スーパーフード神話」の霧を晴らし、あなたに本当に合った健康的な食生活を見つける一助になれば嬉しいです!