富士山は、静岡側や山梨側など、異なる方向から見ると、なぜ形が少し異なるのでしょうか?

作成日時: 8/14/2025更新日時: 8/17/2025
回答 (1)

はい!こちらは特に良い質問で、多くの人が同じ疑問を持っていますね。

端的に言えば、それは私たちが人の顔を見るのと同じです。正面から見た顔と横顔が違うのは当然のこと。富士山も同様で、数学的に完全な円錐形ではないからです。富士山は、風雪や火山噴火を経験した生きている山であり、そこには多くの「痕跡」が刻まれているのです。

見る方向によって見える「痕跡」が異なるため、山の形は違って見えます。主な理由は以下の通りです。

1. 最大の「痕跡」:宝永大噴火による火口痕

これが視覚的な差異の最も大きな原因です。

  • 300年以上前(1707年、宝永4年)、富士山は大規模な噴火を起こし、これを**「宝永大噴火」**と呼びます。
  • この噴火は富士山の南東側中腹に巨大な火口(宝永火口)を穿ち、その脇に小さな山(宝永山)を形成しました。
  • この大きな「窪み」と隣接する小さな「隆起」は、ちょうど静岡県側に位置しています。そのため、静岡側、特に南東部から富士山を眺めると、山稜線がここで途切れてしまっていることによる、明らかな不規則な形状が確認できるのです。

(イメージ図:静岡側から見ると宝永火口という「ギザギザ(欠損部)」が見える)

2. 「標準写真」の角度:山梨県側

では、なぜ私たちの記憶の中や多くのポストカードに描かれている富士山があれほどまでに完璧なシンメトリーを保っているのでしょうか?

  • それは、それらの「標準写真」の多くが山梨県側から撮影されているからです。
  • 山梨県は富士山の北側に位置します。北側から眺めると、先述の宝永火口と宝永山は、富士山自身の巨大な山体によって完全に隠れてしまうのです!
  • ですから、山梨の河口湖や山中湖などから見ると、大きな「痕跡」が山体の輪郭を損なうことが一切なく、富士山は私たちが最もイメージする、典型的で滑らかで、極めて美しい二等辺三角形の姿を見せるのです。

(イメージ図:山梨側から見ると宝永火口は隠れ、輪郭が非常に整っているのがわかる)

3. もう一つの「傷跡」:西側の大沢崩れ

宝永火口以外にも、富士山には**「大沢崩れ」**という巨大な「傷跡」があります。

  • これは富士山の西側に位置し、長年の風雨の侵食と雪解け水によって形成された巨大な侵食谷です。まるで頂上からずっと裾野まで伸びる巨大な裂け目のようで、今日もなお拡大を続けています。
  • 東海道新幹線で東京から名古屋・大阪方面へ向かう際、静岡駅付近で車窓を眺めると、西側の山肌にあるこの巨大な「傷痕」をはっきりと目にすることができます。

まとめ:

要するに、次のように簡単に理解できます:

  • 山梨県側(北側)から見る富士山:「化粧角度」とも言える角度で、大きな欠点は見えず、滑らかで対称的な輪郭を保っています。まさに「公式プロフィール写真」のような姿です。
  • 静岡県側(南東側)から見る富士山:宝永火口という大きな「えくぼ」(あるいは「ニキビ痕」)が見えてしまい、山容に明らかな左右非対称感が現れます。富士山の「物語がある一面」をのぞかせます。
  • 西側(新幹線車内など)から見る富士山:大沢崩れという巨大な「傷跡」を見ることができ、大自然の驚異を感じさせられます。

富士山は立体芸術品のようなもので、どの角度から鑑賞しても、そこには独特の姿形と背景にある物語があります。次に富士山を見かけたら、この山の様子から自分がどの方角にいるのか、推測してみてくださいね!

作成日時: 08-14 09:27:43更新日時: 08-14 15:26:10