「株価純資産倍率」(P/Bレシオ)とは何ですか?当時、なぜ一般的に1を下回っていたのか、それはバリュー投資家にとって何を意味するのでしょうか?
作成日時: 8/6/2025更新日時: 8/17/2025
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「株価純資産倍率(P/Bレシオ)」とは?
株価純資産倍率(Price-to-Book Ratio、略称P/Bレシオ)は、株式の市場価格と1株当たり純資産(簿価)の比率を示す重要な財務指標であり、株式評価に用いられます。計算式は以下の通りです:
P/Bレシオ = 株価 / 1株当たり純資産
- P/B > 1:株価が純資産価値を上回り、株式が過大評価されている可能性を示唆
- P/B = 1:株価と純資産価値が均衡状態にあることを示唆
- P/B < 1:株価が純資産価値を下回り、株式が過小評価されている可能性を示唆
銀行や製造業など資産集約型企業の評価に特に有用で、企業資産の「清算価値」や潜在価値を反映します。
当時P/Bレシオが1を下回った背景
ウォーレン・バフェットが日本五大商社(伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅)へ投資した2020年頃、これらの企業のP/Bレシオが軒並み1を下回った主因は:
- 市場低迷と経済要因:日本の長期低成長・デフレ経済に加え、パンデミックによる世界貿易減速が株価を押し下げた
- 業界特性:商社は資源・不動産等の実物資産を保有するが収益変動が大きく、市場の成長期待値が低かった
- 会計要因:日本の会計基準では純資産価値が(取得原価資産を含め)過大評価される傾向があり、投資家のリスク懸念が株価を抑制
- 市場心理:投資家がハイテク株など成長分野を優先し、伝統的商社への関心が薄れた
例えばバフェット投資時点では、主要商社のP/Bレシオは0.5~0.8台で、純資産を下回る価格で株式が取引されていました。
バリュー投資家にとっての意味
P/Bレシオ<1はバリュー投資家(バフェットら)にとって強力な「安全域(マージン・オブ・セーフティ)」のシグナルとなり、以下の投資機会を示します:
- 過小評価の捕捉:純資産を下回る株価は「割引購入」に相当。資産活用が進めば株価回復によるキャピタルゲインが期待できる
- 下方リスク緩和:仮に企業が破綻しても、清算価値が損失緩衝材となる。「安く買い、高く売る」というバリュー投資原則に合致
- 長期的リターン:バフェットは安定配当(高配当利回り)とグローバル事業分散を評価。短期的な過小評価も、経済回復や資産再評価により是正される可能性
- 投資示唆:市場から見放された「醜いアヒルの子」株に注目し、P/Bレシオ・ROE・キャッシュフロー等を分析して潜在価値を発掘する重要性を喚起
ただし、P/Bレシオ<1は買い信号である一方、「バリュートラップ(価値の罠)」回避のため、収益性・経営品質など他の指標との総合評価が不可欠です。
作成日時: 08-06 12:17:52更新日時: 08-09 22:08:20