こんにちは!この質問は核心を突いていますね。多くの人が「和牛」と聞くと「サシ」や「脂身」だけを思い浮かべ、「脂肪で勝負している」と思いがちです。しかし、あの美しい脂肪を取り除いても、和牛の赤身(日本ではよく「赤身」と呼びます)自体が持つ素晴らしい特徴こそが、和牛が「神格化」される決め手なのです。
では、口の中でとろける脂肪以外に、その赤身のどこがすごいのか、詳しく説明しましょう:
1. 脂肪の「質」が特に高い。「量」だけではない
これが最も重要です!
私たちが見る「霜降り」は脂肪の量を示していますが、和牛の赤身のすごさは、筋肉繊維に溶け込み、肉眼ではほとんど見えない脂肪の「質」が極めて高い点にあります。
- 「オレイン酸」が豊富: この言葉に馴染みがなくても、オリーブオイルはご存知でしょう。オレイン酸は、オリーブオイルに含まれる健康的で良質な一価不飽和脂肪酸です。和牛の赤身にはこのオレイン酸が特に多く含まれており、いくつかの大きな利点をもたらします:
- 融点が非常に低い: 普通の牛肉の脂肪の融点は約40-50℃ですが、和牛の脂肪の融点は25℃前後まで下がります。これはほぼ「口どけ」レベルです。だから和牛の「赤身」でさえもあんなに滑らかに感じるのです。これらの微細な脂肪が口の中で瞬時に溶け、まるで一本一本の筋繊維に潤滑油を塗ったかのようになるからです。
- 風味がより爽やか: オレイン酸のおかげで、和牛の脂の風味は濃厚でありながら、普通の脂身の多い牛肉のように脂っこくなく、後味はすっきりと爽やかです。
つまり、和牛の赤身部分は、「赤身」と「超良質な見えない脂肪」の完璧な融合体なのです。
2. 独特の「和牛香(わぎゅうこう)」と濃厚なうま味
和牛を焼くとき、非常に独特な、甘くてココナッツとナッツを混ぜたような香りが漂ってきたことはありませんか?
- 和牛香(わぎゅうこう): これは神秘的なものではなく、科学的な現象です。加熱すると、和牛の脂肪と赤身が独特の香気成分を生み出し、日本人はこれを「和牛香」と呼びます。この香りは普通の牛肉には全くない、和牛の血統を証明する「身分証明書」のようなものです。
- うま味物質が豊富: 和牛の赤身部分には、「うま味」の源となるアミノ酸、特にグルタミン酸とアスパラギン酸が非常に豊富に含まれています。これは昆布や椎茸で出汁を取るのと同じ原理です。だから、和牛の赤身を食べるとき、非常に深みのある、濃厚な肉の風味と甘みを感じるのです。これが「うま味」と呼ばれるものです。
したがって、和牛の赤身は食感が良いだけでなく、風味と香りの面でも圧倒的なのです。
3. 肉質の繊維自体が非常に細かい
脂肪はさておき、筋肉そのものについて言えば、 品種改良と飼育方法の精密化により、和牛の筋繊維は生まれつき、ほとんどの普通の肉牛よりもはるかに細かいのです。
同じ太さのロープを想像してみてください。一方は数本の太い麻糸でより合わせたもの、もう一方は数百本の細い糸でより合わせたもの。どちらがより柔らかく、よりしなやかでしょうか? 間違いなく細い糸の方です。
和牛の赤身はまさにこれです。筋繊維が十分に細かいため、その食感は生まれつきより柔らかく、噛み切れないような「パサつき」感がありません。
まとめ
だから、和牛は「脂身が美味しい」だけだと思わないでください。その赤身こそが真の宝なのです:
- 食感: 超低融点のオレイン酸と細かい筋繊維のおかげで、赤身も非常に滑らかです。
- 風味: 独特の「和牛香」と豊富なうま味アミノ酸により、味わいの層が豊かです。
この最高級の赤身と、均一に分布した華麗な脂肪が、強力に組み合わさることで、和牛は唯一無二で人を魅了する体験を生み出しているのです。次に和牛を食べるときは、特に赤身の部分を味わってみてください。新たな世界を発見するでしょう!