非居住者(日本に住んでいない外国人)の場合、購入プロセスと税務は居住者とどう異なりますか?

作成日時: 8/11/2025更新日時: 8/17/2025
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こんにちは!日本での不動産購入にご興味をお持ちのようですね。これは大きな決断であり、特に非居住者として購入する場合、居住者とは異なる点がいくつかあります。わかりやすく整理してみましょう。

端的に言えば、最大の違いは「購入できるかどうか」ではなく、「資金をどう日本に送金するか」「手続きをどう進めるか」、そして**「税金をどう納めるか」**にあります。


購入プロセスの違い

法的には、日本は非常にオープンで、国籍や居住地に関係なく、誰でも日本の不動産や土地を購入・所有する権利があり、これは居住者と完全に平等です。しかし、実際の手続きでは、いくつかのハードルに直面します:

1. 身分証明書類:「宣誓供述書」が必要

  • 居住者の場合: 不動産の所有権移転登記(名義変更)には、住民票印鑑証明書が必要です。
  • 非居住者の場合: これらの書類はありません。代わりに、お住まいの国の日本大使館または領事館で**「宣誓供述書 (Affidavit)」**を取得する必要があります。この書類が、あなたの氏名、住所、署名などの情報が有効であることを証明する、住民票印鑑証明書を合わせたような役割を果たします。登記手続きには必須の書類です。

2. 銀行融資:ほぼ不可能、現金一括払いの準備を

  • 居住者の場合: 安定した仕事と収入があれば、日本の銀行から融資を受けられます。金利も非常に低いです。
  • 非居住者の場合: これがおそらく最大の障壁です。日本に居住せず、日本の収入源がない外国人に対して、日本の銀行が融資を行うことはほぼ不可能です。銀行が信用力や返済能力を評価できないためです。したがって、非居住者のほとんどは現金一括払いとなります。
    • ヒント: 日本に支店を持つ中国系銀行(例:中国銀行東京支店など)では、条件を満たす中国籍の顧客に対して融資サービスを提供している場合があります。ただし、審査は非常に厳しく、日本の地銀よりも条件は厳しいため、あくまで選択肢の一つとして相談してみると良いでしょう。

3. 資金の国際送金:安全かつコンプライアンスに沿って送金する

  • 居住者の場合: 資金は日本の国内口座にあるので、直接振り込むだけです。
  • 非居住者の場合: 海外から購入資金を日本に送金する必要があります。この多額の送金には以下が関わってきます:
    • ご自身の国の外貨購入規制および外国為替管理政策。
    • 日本の銀行によるマネーロンダリング対策(AML)審査。 不動産仲介会社や司法書士から、給与明細、銀行取引明細、株式取引記録など、資金の出所が適法であることを証明する書類の提出を求められます。
    • 為替変動リスク。 購入を決めてから最終決済まで数ヶ月かかることもあり、為替レートの変動が最終的なコストに影響する可能性があります。

4. 契約と引き渡し:「頼れるパートナー」が必要

  • 居住者の場合: 自身が直接立ち会え、言語面でも問題ありません。
  • 非居住者の場合: 契約締結時や最終決済時に日本に来られない場合は、代理人を立てる必要があります。通常、不動産仲介会社と登記手続きを担当する司法書士が「頼れるパートナー」となります。
    • 司法書士は、不動産登記などを行う日本特有の法律専門職で、非常に重要です。海外顧客の取扱い経験がある司法書士を探しましょう。
    • **「委任状 (Power of Attorney)」**に署名し、彼らに日本での手続きを代行する権限を与えます。

税務上の違い

購入時、保有時、売却時の3つの段階で、同じ税種もありますが、非居住者に対する扱いには大きな違いがあります。

購入時:税種と税率は同じ

この段階ではあまり心配する必要はありません。居住者と非居住者が支払う税金は全く同じです:

  • 印紙税: 売買契約書に貼る収入印紙の税額。契約金額に応じて決まります。
  • 不動産取得税: 不動産を取得した際に一度だけ課税される税金。固定資産税評価額の約3〜4%です。
  • 登録免許税: 法務局で所有権移転登記を行う際に支払う税金。

保有時・賃貸時:ここが重要な違い!

1. 「納税管理人」の指定が必須
  • 居住者の場合: 納税通知書が自宅に届き、自分で納付します。
  • 非居住者の場合: 日本に居住していないため、日本政府は納税通知書を海外に送付できず、納税されないリスクを懸念します。そのため、法律で非居住者の不動産所有者は、日本国内に**「納税管理人」**を必ず指定することが義務付けられています。
    • 役割: この個人または法人が、あなたの日本の税務連絡先となり、毎年の固定資産税などの納税通知書を受け取り、納付を通知し、税務署への手続きを代行します。
    • 誰がなるか: 通常、不動産管理会社、税理士、または専門のサービス会社に有償で委託できます。
2. 賃貸物件:家賃は「源泉徴収」される

物件を賃貸する場合、その税務処理は居住者とは全く異なります。

  • 居住者の場合: 家賃を全額受け取り、翌年に確定申告を行い、所得(利益)を計算して所得税を納めます。
  • 非居住者の場合: 日本税務当局は確実に徴税するため、**「源泉徴収」**制度を適用します。
    • 簡単に言うと: 入居者(法人の場合)またはあなたの不動産管理会社が、家賃を支払う際に、必ず20.42%の税金を差し引き、直接国に納付します。あなたが受け取るのは残りの79.58%です。
    • 例: 月額家賃10万円の場合、実際に受け取るのは 100,000 * (1 - 20.42%) = 79,580 円です。20,420円は入居者または管理会社によって税務署に納められています。
    • これが最終税額ではない! この20.42%はあくまで前払い(予納)です。翌年には必ず**「確定申告」**を行い、総賃料収入から各種経費(管理費、修繕費、減価償却費、納税管理人費用など)を差し引いて実際の所得(利益)を算出し、その利益に基づいて本当に支払うべき税額を計算します。過不足があれば精算(還付または追加納付)されます。多くの場合、実際の税率は20.42%より低くなるため、確定申告後に還付金を受け取れることが多いです。

売却時:売却代金も「源泉徴収」される

  • 居住者の場合: 売却代金を全額受け取り、翌年に確定申告を行い、譲渡益(売却価格から取得費・譲渡費用を差し引いた利益)を計算して税金を納めます。
  • 非居住者の場合: 家賃収入と同様、売却時にも源泉徴収があります。
    • 規定: 買主が個人(自住用)の場合は通常源泉徴収されませんが、買主が法人または個人(投資用)の場合、買主は売却代金を支払う際に、売却価格の10.21%を必ず差し引き、直接税務署に納付しなければなりません。
    • 例: 3,000万円で物件を売却した場合、買主は税務署に 3,000万 * 10.21% = 306.3万 円を直接納付します。あなたが受け取るのは2,693.7万円のみです。
    • 同様に、これが最終税額ではありません。 その後、確定申告を行い、実際の譲渡所得税額を計算します。算出された税額が306.3万円より少なければ、還付を申請できます。

まとめ

段階比較項目居住者非居住者 (あなたの場合)
プロセス身分証明書類住民票、印鑑証明書宣誓供述書 (Affidavit)
融資受けやすいほぼ不可能、現金一括払い要準備
資金国内送金海外送金、資金源泉証明が必要
税務不動産保有自身で納税通知書処理「納税管理人」指定が必須
賃貸収入全額受取後、確定申告家賃20.42%源泉徴収後、確定申告
売却全額受取後、確定申告売却代金10.21%源泉徴収後、確定申告

この説明がお役に立てば幸いです!非居住者としての核心的なアドバイスは、海外顧客対応の経験が豊富な不動産仲介会社と司法書士のチームを見つけることです。彼らが全プロセスを案内し、落とし穴を避ける手助けをしてくれるでしょう。

作成日時: 08-11 11:55:57更新日時: 08-12 01:55:35