日本の海外資産と収入は申告が必要ですか?
はい、問題ありません!海外資産や所得に関する日本の税務問題は、日本に来たばかりの方や移住を検討中の方々が最も気にするトピックの一つです。できるだけ分かりやすい言葉で説明しますので、お役に立てれば幸いです。
私の海外資産や所得は日本で申告が必要ですか?
こんにちは!この質問は、在日中国人コミュニティで最もよく議論され、頭を悩ませやすいトピックの一つです。シンプルで直接的な答えは:場合によります。
日本で税金を納めるか、どれだけ納めるかは、一つの重要な要素で決まります:あなたの**「納税者としての居住区分」**です。この区分はビザの種類(就労ビザ、経営・管理ビザ、永住権など)に関係しますが、完全に一致するわけではありません。
日本の税務当局は個人を大きく3つのカテゴリーに分けています。一つずつ見ていきましょう:
1. 非居住者 (Non-resident)
これは、日本に来たばかり、または1年のうち日本に住んでいる期間が1年未満の人を指します。
- 所得の申告: **「日本国内で生じた所得」**のみを申告・納税します。例:日本の会社で働いて得た給与、日本の不動産からの家賃収入など。
- 海外資産と所得: 海外(例えば中国)の預金、投資収益、株式売却益、家賃収入などは、日本とは一切関係がなく、日本で申告する必要は全くありません。
簡単に理解する: 来日したばかりの段階では、日本の税務当局は「日本の領土内で稼いだお金」だけを管理対象とします。
2. 非永住者 (Non-permanent resident)
これは在日外国人の大多数が該当するステータスです。判断基準は:
- 日本に「住所」(生活の本拠が日本にあると解釈)があること。
- 過去10年間のうち、日本に居住していた期間の合計が5年未満であること。
この2つの条件を満たせば、「非永住者」となります。最も注意が必要な区分です!
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所得の申告:
- 日本国内で生じた所得: 上記と同様、必ず申告・納税が必要です。
- 海外で生じた所得: ここに重要なポイントがあります——**「送金ルール」**です。
- 海外所得が日本に送金されていない場合: 例えば、母国にアパートを持っていて家賃が直接現地の銀行口座に入金される場合、そのお金が日本に送金されなければ、日本で税金を納める必要はありません。
- 海外所得が日本に送金された場合: その場合は残念ながら、日本に送金された分の金額は、あなたの所得として日本で申告・納税する必要があります。例:母国で得た家賃収入10万円を三菱UFJ銀行の口座に送金した場合、この10万円に課税されます。
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海外資産の申告:
- ここで非常に重要な制度があります。「国外財産調書」 (Report of Overseas Assets) です。
- ルール:あなたが「非永住者」または「永住者」であり、年末(12月31日) 時点での海外資産(預金、株式、投資信託、不動産、信託など)の合計価額が5000万円を超える場合(その日の為替レートで計算)、翌年の3月15日までに税務署へこの報告書を提出する必要があります。
- 注意: この報告書の提出は、これらの資産にすぐに税金を納めることとはイコールではありません! あくまで「申告」義務であり、税務当局に「海外にこれだけの資産を持っています」と報告するものです。主に将来の脱税を防止するための制度です。
簡単に理解する: 「非永住者」になると、日本の税務当局は「日本の領土内で稼いだお金」だけでなく、海外所得にも「目を光らせ」始めます。お金が日本に入ってくれば課税対象になる可能性があります。同時に、海外資産が多額(5000万円超)の場合、税務署に報告する必要があります。
3. 永住者 (Permanent resident)
この区分の判断基準は:
- 日本に「住所」があること。
- 過去10年間のうち、日本に居住していた期間の合計が5年を超えていること。
- または、日本の「永住者」の在留資格を既に取得していること。
「永住者」になると、税務上は日本人と同等の扱いになります。
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所得の申告:
- 「全世界所得」 に対して日本で納税する必要があります。
- つまり、所得が日本国内で生じたものか海外で生じたものか、海外のお金を日本に送金したかどうかに関わらず、全ての所得を合算して日本で申告・納税します。
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海外資産の申告:
- 「非永住者」と同様に、年末時点の海外資産が5000万円を超える場合、「国外財産調書」 の提出が必要です。
簡単に理解する: 「永住者」になると、地球規模での日本の納税者となります。どこでお金を稼いでも、日本政府にその分を納める必要があります。
まとめ:私はどうすればいい?
以下のステップで判断できます:
ステップ1:自分の区分を確認する
- 来日して1年未満? -> 非居住者
- 来日して1年以上、ただし通算5年未満? -> 非永住者
- 来日して通算5年以上、または既に永住ビザを取得済み? -> 永住者
ステップ2:区分に応じて、自分の所得と資産をチェックする
納税者区分 | 日本国内所得 | 海外所得 (日本未送金) | 海外所得 (日本送金) | 海外資産5000万円超 |
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非居住者 | 申告必要 | 不要 | 不要 | 申告不要 |
非永住者 | 申告必要 | 不要 | 申告必要 | 申告必要 (国外財産調書) |
永住者 | 申告必要 | 申告必要 | 申告必要 | 申告必要 (国外財産調書) |
ステップ3:必要に応じて「確定申告」の準備をする
申告が必要と判断した場合は、毎年2月16日から3月15日の間に「確定申告」(年間の所得税申告)を行います。
最後の重要な注意点
- 私はプロの税理士ではありません。上記の内容は、私の経験と公開情報に基づく一般的な説明です。税務法規は非常に複雑であり、変更される可能性もあります。
- 強くお勧めします: あなたの状況が複雑な場合(例:会社株式の保有、多額の資産、所得や資産価値の計算方法が不明など)、ぜひプロの税理士に相談する費用をかけてください。彼らは最も正確で合法的なアドバイスを提供し、後日税務署の調査で追徴課税や不要なトラブルが生じるのを防ぐことができます。
- 記録の保管: いずれにせよ、すべての銀行送金記録、所得証明書、資産証明書などの書類は、万が一に備えて必ず保管してください。
この情報があなたの理解の助けになれば幸いです!日本での生活において、税務コンプライアンスは非常に重要です。しっかり理解して、安心して生活しましょう。