株価収益率(PER)を用いて株式の魅力を評価する方法は?
友よ、株価収益率(P/E)について語り合おう。複雑な金融用語に惑わされてはいけない。実際には、思っているよりもずっとシンプルだ。
株価収益率(P/E比率)を使って株式の魅力を評価する方法
街角の雑貨店を買収したいと想像してみよう。
- その店は毎年10万ドルの純利益を上げている。
- オーナーは今、それを100万ドルで売ると言っている。
この取引は割に合うだろうか?あなたは心の中で計算するだろう。100万ドルで買って、毎年10万ドル稼ぐなら、飲まず食わずで10年で元が取れる(100万ドル / 10万ドル = 10年)。
この「10年で元が取れる」という考え方が、今日のテーマである株価収益率の核となる考え方だ。
株式の場合:
- P (Price):株を1株買うのにかかる費用(株価)。上記の例で言う「雑貨店の売値」に相当する。
- E (Earnings):会社が1株あたり毎年どれだけ稼ぐか(1株当たり利益)。上記の例で言う「雑貨店の年間利益」を1株あたりに割り振ったものに相当する。
株価収益率(P/E)= 株価 (P) / 1株当たり利益 (E)
したがって、P/Eが20倍の株は、会社の利益が変わらないと仮定すると、配当または会社価値の成長によって、元を取るのに約20年かかるということを通俗的に説明している。
株価収益率の高さと低さは何を意味するか?
- 低いP/E:通常、「元を取る」年数が短く、株価が比較的「安い」ことを意味する。市場がその良さに気づいていないか、会社の成長が停滞している可能性が考えられる。
- 高いP/E:通常、「元を取る」年数が長く、株価が比較的「高い」ことを意味する。市場がその将来を非常に高く評価しており、将来もっと稼ぐと信じているため、その「成長性」に対して高い代金を支払うことをいとわない可能性がある。
あの雑貨店のように、その隣に巨大な住宅地が建設され、将来的に商売が繁盛するなら、あなたは150万ドル(P/E 15倍)や200万ドル(P/E 20倍)を払ってでもそれを買いたいと思うかもしれない。
株価収益率という「ものさし」で株を「測る」方法とは?
株価収益率自体に絶対的な良し悪しはなく、比較ツールである。どのように比較するか、誰と比較するかが重要だ。
1. 縦軸比較:自分自身と比較する
その会社の過去5年、10年の株価収益率の範囲を調べる。
- 例:「老王牌」醤油会社は、歴史的にP/Eが20〜30倍の間で推移していると仮定する。もし現在そのP/Eが15倍に下がっていて、会社の業績が悪化していないなら、それは研究する価値のある「お買い得」な機会かもしれない。逆に、50倍に急騰しているなら、少し高すぎるのではないかと注意する必要がある。
これは、普段500ドルの服が300ドルに値下げされていればお得だと感じるが、800ドルに値上がりしていれば割に合わないと感じるようなものだ。
2. 横軸比較:同業他社と比較する
購入を検討している会社を、同じ業界の競合他社と比較する。
- 例:家電メーカーA社を購入したいと考えており、P/Eは15倍。業界内の他の会社を見ると、B社はP/E 12倍、C社はP/E 18倍。
- なぜA社はB社よりも高いのか?A社の技術が優れている、ブランド力が高い、あるいは成長が速いからか?
- なぜA社はC社よりも安いのか?C社に何か特別な利点があるのか、あるいは単に市場によって過度に煽られているだけなのか?
- 注意:業界によってP/Eは大きく異なる。P/E 20倍の銀行株を、P/E 100倍のテクノロジー企業と比較してはいけない。これはリンゴと船の重さを比較するようなもので、意味がない。銀行業界は通常安定した成長をしており、P/Eは低い。テクノロジー業界は将来性が大きく、P/Eは高い。
3. 市場全体との比較
株式市場全体の平均株価収益率(たとえば上海総合指数やCSI 300のP/E)を参照することもできる。市場全体が歴史的な高値にあり、ほとんどの株が非常に高価である場合、掘り出し物を見つける可能性は低く、より慎重になる必要がある。
グレアム翁は株価収益率をどう見ていたか?
「賢明なる投資家」の父、グレアムを取り上げたからには、彼の見解を語らなければならない。彼はバリュー投資の祖であり、良質で安いものを買うことを好んだ。
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シンプルな基準:グレアムは初期の著書で、株価収益率が15倍以下の株を探すことを推奨した。これは彼に最初のスクリーニング基準を提供し、重要な安全域(Margin of Safety)の源となった。安く買うことは、自分の投資に保護クッションを追加するようなもので、会社の業績が期待を下回っても、ひどく損をすることはない。
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成長性の考慮:グレアムは後に、一概に適用できないと認識した。成長ゼロの企業には、P/E 8.5倍くらいが適切だろう。しかし、成長している企業には、より高いP/Eを与えることができる。彼は推定式さえ提示しており、その核心的な考え方は次のとおりである。適切なP/E = 基準P/E + 将来の成長に対する期待。
したがって、グレアムは私たちに教えてくれる。低い株価収益率は良い出発点だが、なぜ低いのかを明確にする必要がある。 みんなが見過ごしている宝物なのか(バリュー株)?それとも誰も触れたがらないゴミなのか(バリュートラップ)?
⚠️ 注意!PER は万能ではない、これらの「落とし穴」に注意!
PERは非常に便利だが、それだけを見て判断すると、簡単に落とし穴にはまってしまう可能性がある。
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「E」の罠:収益の質 会社の利益(E)は、時に「ごまかし」がある。例えば、会社がビルを売却し、その年の利益が急増してPERが非常に低く見えることがある。しかし、このような利益は次の年にはなくなり、この「偽りの」低いPERで意思決定をすれば、必ず損をすることになる。見るべきは、非経常的な損益を除外した「本業の利益」である。
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景気循環株の「錯覚」 鉄鋼、石炭、化学などの業界は、その収益が景気循環に大きく左右される。景気が良い時は、製品がよく売れて利益が高く、PERは非常に低く見えるが、これは往々にして好景気のピークであり、その後は下り坂になる可能性がある。逆に、業界が赤字でPERが異常に高い、あるいはマイナスの時には、業界の谷であり、チャンスが近づいている可能性がある。
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「バリュートラップ」対「成長株」 一部の企業はPERが長年低いままだが、株価は全く上がらない。なぜなら、その企業が属する業界が縮小しているか、または企業経営がうまくいっておらず、成長の見込みがないためである。これが「バリュートラップ」である。逆に、一部のハイテク企業のように、初期には利益がなかったり(PERがマイナス)、PERが極端に高かったりするが、未来の市場のために資金を投入している可能性があり、成功すれば、利益は爆発的に増加するだろう。
まとめ
友よ、株価収益率(P/E)を投資ツールボックスの一番目のツールとして考えなさい。ただし、唯一のツールではない。
- 予備的な判断:それを使って、株が「高い」のか「安い」のかを素早く判断する。
- 詳細な調査:自分自身にいくつかの「なぜ」と問いかける。
- なぜ安いのか?(チャンスなのか、落とし穴なのか?)
- なぜ高いのか?(本当の成長なのか、単なるバブルなのか?)
- その利益(E)は真実なのか?持続可能なのか?
- 他の指標との組み合わせ:それをPBR(株価純資産倍率)、配当利回り、キャッシュフローなどの他の指標と組み合わせて見ると、より包括的な全体像が得られるだろう。
数字は冷たいものだが、投資の背後には生きたビジネスがあることを忘れてはならない。株価収益率の背後にあるビジネスロジックを理解することによって初めて、優れた魅力的である企業を真に見つけることができるだろう。