3年間のクラウドサービス契約、締結すべきでしょうか?

洋介 充
洋介 充
Startup ecosystem analyst and advisor with 7 years experience.

この件は慎重に検討すべきだ、衝動的になってはいけない。3年契約を結ぶことは、3年間オフィスを借りるようなもので、メリットもあればデメリットもある。

まずメリットから話そう。つまり、なぜクラウドサービスプロバイダーが長期契約を望むのかということだ。

  1. 安い! これが最大の魅力だ。3年契約すれば、通常は最大の割引が適用され、月払いよりも30%以上安くなる可能性もある。スタートアップ企業にとって、少しでも節約できるのは大きい。
  2. 安心感。 価格が固定されるため、今後3年間は値上げの心配がなく、予算も明確になる。

しかし、リスクや落とし穴は、特にスタートアップ企業にとってははるかに大きい。

  1. 本当に今後3年間で何が必要か、確信があるだろうか? スタートアップ企業最大の特長は「変化」だ。今日これだけのサーバーが必要だと思っていても、3ヶ月後には製品の方向性が変わり、このリソースでは全く足りなくなるかもしれない。あるいはプロジェクトが頓挫し、サーバーが空回りして無駄に費用がかかる可能性もある。契約に縛られてしまうと、構成を追加するのは非常に高価になる可能性があり、構成を減らしたいと思っても、残念ながら返金はない。
  2. 技術の進化が速すぎる。 今はこのクラウドサービスプロバイダーが素晴らしいと思っていても、1年後にはもっと優れていて、もっと安く、もっと自分に合ったサービスが登場するかもしれない。その時、契約期間がまだ残っているため、ただ指をくわえて見ているしかない。これは「ロックイン」と呼ばれる状況だ。
  3. 「ベンダーロックイン」は非常に厄介だ。 一度あるプロバイダーのサービスを利用すると、あなたのコード、データ、運用習慣はそのプロバイダーに深く紐付けられる。3年後に別のプロバイダーに乗り換えたいと思っても、それは大掛かりな作業となり、移行コストが高すぎて動きたくなくなるだろう。
  4. 万が一、会社がなくなったらどうなる? 耳障りな話かもしれないが、起業とは九死に一生を得るようなものだ。もし会社が3年も持たなかった場合、このクラウドサービスの契約債務はあなたが背負うことになるかもしれない。

だから、私の提案はこうだ。

  • スタートアップ企業は、絶対に、絶対に安易に3年契約を結ぶべきではない! 節約よりも柔軟性がはるかに重要だ。キャッシュフローと方向転換能力は生命線だ。
  • まずは「従量課金」から始めること。 使った分だけ支払うのが最も柔軟だ。単価は高いが、無駄がなく、リスクも最小限に抑えられる。
  • 最大でも1年契約に留めること。 事業が軌道に乗り、リソースの必要性が大まかに把握できたら、1年契約を検討して割引を受けるのも良いだろう。1年あれば、ビジネスモデルを検証するのに十分な時間であり、翌年に再選択する機会も与えられる。
  • どのような場合に長期契約を検討できるのか? この事業が非常に安定している場合、例えば企業ウェブサイトで、今後3年間でアクセス数に大きな変化がないと確信できるなら、長期契約を結んでそのコストを固定するのは良いだろう。しかし、コア製品やユーザーデータに関連するものは、すべて慎重に検討する必要がある。

一言でまとめると:起業においては、柔軟性が最も重要だ。わずかな割引のために、今後3年間の身動きを縛り付けてはいけない。まず走り出し、生き残ることが何よりも重要だ。