日本は太平洋に水没するのでしょうか？

この問題は、海面上昇と地殻変動の二つの側面から考える必要があります。全体として、日本という国全体が太平洋に沈んでしまう可能性は、私たちが予見できる未来においては、ほぼゼロだと言えます。

まず、海面上昇についてです。これは確かに世界的な問題で、地球温暖化により氷河が融解し、海面は少しずつ上昇しています。日本のような島国、特に東京や大阪のような沿岸部の主要都市は標高が非常に低いため、将来的にさらに大きな洪水リスクに直面し、高額な費用をかけてより高い堤防を築く必要が出てくるでしょう。しかし、これは浴槽の蛇口がしっかり閉まっておらず、水位がゆっくりと上昇し、排水口に近い低い場所から浸水していくようなものです。浴槽全体のおもちゃのアヒル（日本全体）を水没させるには、想像を絶する水量と時間が必要です。日本国土の大部分は山地や丘陵地帯で、十分な標高があるため、海面上昇は沿岸地域を「侵食」するだけで、国全体を水没させることはできません。

次に、地殻運動です。多くの方が『日本沈没』という映画や小説をご覧になったことがあるかもしれません。その物語では、地殻の激しい変動により日本全体が海溝に滑り落ちるという筋書きです。この発想の源は、日本が地球上で最も活発なプレート境界、すなわち太平洋プレートがゆっくりとユーラシアプレートの下に「沈み込んでいる」場所に位置しているという事実にあります。このプロセスは「沈み込み」と呼ばれます。

しかし、「沈み込み」は「沈没」とは異なります。この地質プロセスは非常にゆっくりと、毎年数センチメートルの速度で進行します。さらに、プレートが押し合う過程では、沈み込みと同時に陸地プレートの隆起や褶曲も引き起こします。これこそが日本が山が多く、地震や火山が多い理由です。それは「持ちつ持たれつ」の動的なプロセスであり、一方的に日本を下に引きずり込むものではありません。日本列島のような規模の陸地プレートを短期間でマリアナ海溝に沈めるには、必要なエネルギーと地質変動は壊滅的なレベルであり、現実的にはほぼ起こりえません。

したがって、まとめると以下のようになります。

• 海面上昇は現実的な脅威ですが、日本の沿岸低地帯にのみ影響を与え、全土を水没させることはありません。
• 地殻運動による「日本沈没」はSFの設定に近いものであり、現実の地質変化は百万年単位で計算されるため、私たちの生きている間にこれを心配する必要は全くありません。