もちろん必要です、薬は飲み続けなければなりません!痛みがなくなったからといって自己判断で服用を中止するのは絶対にやめてください。これは多くの痛風患者さん(痛風持ちの方々の愛称)が陥りやすい大きな間違いです。
例え話で説明しましょう。
私たちの体はコップのようなもので、尿酸はその中に注がれる水です。健康な人は、水が注がれると同時に漏れていくので、水位が上がることはありません。しかし、痛風患者さんの場合、水が「漏れる」のが遅く、「注がれる」のが早いため、水(尿酸)が溜まりやすく、警戒線を超えてしまいます。
**痛風発作(関節の痛み)**は、コップの水がいっぱいになって、一気に溢れ出し、「水害」を引き起こしたようなものです。この時に服用する鎮痛剤(コルヒチンやイブプロフェンなど)の役割は、急いで「水害対策」を行い、床の水を拭き取り、痛みを和らげることです。
**寛解期(痛みがなくなった時)**は、「水害」が一時的に収まり、床の水が拭き取られた状態に過ぎません。しかし、コップの中の水(体内の尿酸値)はまだ満タンのままで、いつでも再び溢れ出す可能性があります。
そして、あなたが長期的に服用する尿酸降下薬(アロプリノールやフェブキソスタットなど)の役割は、「床を拭く」ことではなく、根本的にコップの中の水を減らすことです。これにより、水位を安全なレベル以下に下げることができます。
なぜ飲み続ける必要があるのでしょうか?
高尿酸は、単に関節が痛くなるだけではありません。痛みがなくても、余分な尿酸は体内で針のような小さな結晶に変わり、これを「尿酸塩結晶」と呼びます。これらの小さな結晶は、体内に埋められた「地雷」のようなもので、以下のような影響を及ぼします。
- 関節に沈着する: 自覚症状がなくても、ゆっくりと軟骨を摩耗させ、時間が経つと関節が変形し、痛風結節を形成してしまいます。こうなると大変です。
- 腎臓に沈着する: これは関節の問題よりも恐ろしいことです。ゆっくりと腎機能を損傷し、最終的には腎不全を引き起こす可能性があります。
ですから、寛解期に薬を飲み続ける目的は、すでに埋められたこれらの「地雷」をゆっくりと溶かし、新たな「地雷」の発生を防ぐためです。このプロセスは非常に長く、尿酸値を目標値(通常は360μmol/L未満、痛風結節がある場合はさらに低く)に維持し続ける必要があり、数ヶ月から数年かかるのが一般的です。
まとめると:**鎮痛剤は対症療法であり、尿酸降下薬こそが根本治療です。**痛みがなくなったのは、「症状」がなくなっただけで、「根本原因」はまだ残っています。尿酸降下薬を飲み続け、尿酸値を適切にコントロールして初めて、次の発作を本当に防ぎ、関節と腎臓を保護することができます。決して自己判断で服用を中止せず、必ず医師の指示に従い、定期的に検査を受け、医師に尿酸値に基づいて薬の量を調整してもらいましょう。