看護師が自身の病気になった場合、どう対処しますか?

作成日時: 8/9/2025更新日時: 8/18/2025
回答 (1)

はい、この質問は本当に素晴らしいですね。毎日病院で患者さんの世話をしている私たちが、自分自身が病気になったらどうするのか、多くの方が気にされていることでしょう。実はこれ、私たちにとっては結構複雑な問題なんです。詳しく説明しましょう。


看護師が病気になった時、どう対応するのか?

正直に言うと、看護師が体調不良を自覚した時、頭の中では確実に一大内心ドラマが繰り広げられています。これは単なる「気分が悪いから休みたい」という話ではなく、責任感、専門性、そして個人の健康の間でのせめぎ合いなのです。

総じて、対応は以下の段階に分けられます:

第一段階:内心の葛藤「行くべきか、行かざるべきか?」

これは最初の、そして最も悩むステップです。頭の中では二人の小さな自分が戦っています:

  • 「天使」の自分(職業的責任感)

    • 「同僚たちはもうてんてこ舞いなのに、私が休んだらどうなる?シフトも決まっているし、代わりの人を急に探すのは大変すぎる」
    • 「今日は担当の患者さんに薬の交換/処置の予定がある。他の人に任せるのは不安だ」
    • 「ただの軽い風邪かもしれない。我慢すれば治る。今までだってそうしてきたじゃないか」
  • 「悪魔」の自分(実は理性的な声)

    • 「熱があるじゃない!もしインフルエンザだったらどうする?患者さん、特に免疫力の低い高齢者、子供、がん患者さんにうつしたら、取り返しのつかないことになる!」
    • 「今、頭がぼーっとしているのに、もし薬の量を間違えたり、注射を間違えたりしたら?それは医療事故だ!」
    • 「あなたも人間だ。体が資本なのに、自分を壊してしまったら、どうやって他の人の世話ができるというの?」

この段階の葛藤は、外からはなかなか理解しにくいものです。しかし最終的には、患者の安全が常に何よりも優先される絶対的な基準です。

第二段階:理性的な自己評価「自分の状態は実際どうなのか?」

一旦冷静になると、私たちは「プロフェッショナルモード」に入り、患者を評価するのと同じように自分自身を評価します。このプロセスは非常に重要で、次の行動を決定づけます。

  1. 症状の重症度と感染性の評価

    • 発熱はあるか? これは重要な指標です。一般的に、体温が38℃を超え、特に咳や喉の痛みなどの呼吸器症状を伴う場合は、絶対に出勤できません。これは自分自身のためというより、病院全体の環境と全ての患者さんのための責任です。
    • 嘔吐や下痢はあるか? 胃腸疾患(ノロウイルスなど)は感染力が非常に強く、病院内で広がれば大惨事です。この場合も隔離が必要です。
    • 軽い頭痛や鼻水だけで、熱はない? この場合は「グレーゾーン」で、後述します。
  2. 業務遂行能力への影響評価

    • 集中力は保てるか? 看護業務、特に薬の調剤、医師の指示の確認、静脈注射などには高い集中力が必要です。頭がぼんやりしてまとまらないと感じるなら、リスクを冒すことは絶対にできません。
    • 体力はあるか? 看護師の仕事は肉体的にハードです。走り回ったり、患者さんを動かしたりするのは日常茶飯事です。体が弱っていて、立っているのも辛い状態では、到底務まりません。

第三段階:休むと決めた後の標準的な「対応手順」

評価の結果「出勤できない」と判断した場合、私たちは直ちに標準的な手順を開始します:

  1. 早期報告:すぐに看護師長またはその日の担当責任者に電話します。「熱が38.5℃で全身が痛い」など、具体的な状態を明確に伝え、「気分が悪い」といった曖昧な表現は避けます。これにより、管理者が早急に代わりの人員を手配し、部署への影響を最小限に抑えることが目的です。
  2. 自己隔離と治療
    • 休息が最優先:自分自身を患者として扱い、自宅でしっかり横になって休み、水分を十分に取り、睡眠を確保します。
    • 症状に応じた服薬:医療知識を活かし、まずは市販薬で症状を緩和します。
    • 必要に応じ受診:症状が悪化したり、自己判断が難しい場合は、医師の診察を受けます。通常は勤務先の職員診療所や地域のクリニックを利用し、救急外来のリソースを圧迫しないようにします。
  3. 復職規定の遵守:体調が回復しても、すぐに復帰できるわけではありません。多くの病院では明確な規定があり、例えば、解熱後24~48時間経過し、かつ他の症状が明らかに改善してからでないと復職できません。特定の感染症の場合は、医師の復職証明書が必要な場合もあります。

特別なケース:もし…軽い症状で無理をして出勤したら?

こうしたケースは確かに存在しますが、それは厳格な自己評価を経て、発熱がなく、感染リスクがなく、重要な業務の安全に影響がないと確認できた場合に限られます。例えば:

  • 軽度のアレルギー性鼻炎だけの場合。
  • 風邪がほぼ治りかけで、わずかな咳(痰を伴わない)が残っている場合。
  • 思考に影響しない程度の軽い頭痛。

このような状態で「病気を押して出勤」する場合でも、私たちは最高レベルの予防策を講じます:

  • マスクを装着し続ける:終日、医療用サージカルマスクまたはN95マスクを正しく着用し、絶対に外しません。
  • 手洗いを徹底する:手指衛生の頻度と基準を普段以上に高く守ります。
  • 同僚との接触を自ら控える:食事や水分補給は人のいない場所で行い、同僚への感染を防ぎます。
  • 同僚と上司に伝える:看護師長や一緒に勤務する同僚に「今日は少し体調が優れませんが、熱はありません。特に予防には気をつけます。避けるべき処置があれば教えてください」と伝えます。そうすることで皆が状況を把握し、互いに気を配ることができます。

まとめると:

看護師が病気になった時、まず考えるのは自分がどれだけ辛いかではなく、患者さんにリスクを与える可能性はないかということです。これは骨の髄まで染みついた職業的本能です。強い責任感から時には「無理をしてしまう」こともありますが、専門的な知識が教えてくれるのは、自分自身を守ることが、患者さんをより良く守ることにつながるということです。

ですから、次に病院でマスクをして、少し疲れた様子の看護師を見かけたら、どうか理解を示してあげてください。その看護師は、自分の専門性と意志力で、健康と責任の間のバランスを必死に保とうとしているのかもしれません。

作成日時: 08-09 02:57:20更新日時: 08-10 02:47:59