長期臥床のご家族の在宅介護で最も重要な注意点は何ですか?

作成日時: 8/9/2025更新日時: 8/18/2025
回答 (1)

この質問を見て、心に深く響きました。自宅で長期臥床のご家族を介護することは、重い愛情であり、同時に非常に大変な責任です。これは単なる肉体労働ではなく、細やかな気遣いと誠実さが求められる仕事です。最も重要な注意点は、単独のポイントではなく一連のシステムですが、あえて核心を挙げるなら、以下のいくつかの側面にまとめられます。お役に立てれば幸いです。


最大の敵:床ずれ(褥瘡)の予防

臥床介護において最も重要であり、「命を守る最前線」 と言えます。長時間同じ部位が圧迫されると、皮膚や筋肉の血流が滞ります。私たちが長時間座って足が痺れるのと同じです。しかし動けない状態が続くと、その部分の皮膚や筋肉が「壊死」し、潰瘍や壊死に至ります。これは患者に多大な苦痛をもたらすだけでなく、感染のリスクが非常に高く、命に関わることもあります。

  • 頻繁な体位交換を絶対に:床ずれ予防の最も根本的で効果的な方法です。
    • 頻度2時間ごとに体位を変えてください。日中・夜間を問わず、アラームを設定するのがおすすめです。
    • 姿勢:左側臥位、右側臥位、仰臥位(あおむけ)の3姿勢をローテーションします。横向きの時は、背中と両膝の間に枕やクッションを挟み、骨と骨が直接当たらないように支えます。
  • 皮膚の観察は細心の注意を:体位交換のたびに、圧迫されやすい部位を必ずチェックします。
    • 重点部位:背中、尾てい骨、腰骨の両側、かかと、ひじ、後頭部など骨が突出している部分。
    • チェックポイント:皮膚が赤くなっていないか確認します。赤みがある場合、指で軽く押してみて、離した後に赤みがすぐ消えるなら問題ありません。押した部分が白くなり、離しても赤み(または紫色)が残る場合は危険信号です! その部分が虚血状態にある証拠です。すぐに除圧用のクッションを使用するなど対策を講じ、その姿勢を一時的に避けてください。
  • 清潔・乾燥を保ち、摩擦を減らす
    • シーツは常に平らで清潔、乾燥した状態に保ちます。しわになったシーツは洗濯板のように摩擦を増します。
    • 排泄後は必ず速やかに清潔にし、湿った皮膚は非常に傷つきやすいため、特に注意が必要です。

「命は運動にあり」、肺も例外ではない:沈下性肺炎の予防

ずっと横になっていると肺の活動が減り、肺の底部にたまった痰や分泌物が排出されにくくなります。淀んだ水のように細菌が繁殖しやすく、肺炎を引き起こします。これは高齢者にとって特に危険です。

  • 頻繁な背部叩打で排痰を促す
    • 方法:介護される方を横向きにし、手を軽く丸めて空洞を作り(クラッピング)、下から上へ、外側から内側へ向かってリズミカルに軽く叩きます。「ポンポン」という空洞音がするのが適切で、平手で強く叩かないように。
    • 時間:1日数回、1回あたり5~10分程度。食後1時間以内は避け、嘔吐を防ぎます。
  • 水分補給で痰をサラサラに:嚥下に問題がなければ、温かいお湯やお茶を十分に摂取するよう促します。水分が足りていると痰の粘り気が減り、排出しやすくなります。
  • 頭部を適度に高く:可能であれば、ベッドの頭側を15~30度程度上げます。完全な仰臥位より呼吸が楽になります。

清潔でさわやかな状態は、尊厳を守るケア

個人の衛生は健康に関わるだけでなく、その人の尊厳にも直結します。臥床していても、清潔で尊重されていると感じられることが大切です。

  • 毎日の清拭:温かいタオルで全身、特にわきの下や股の付け根など皮膚の重なる部分を毎日拭きます。
  • 口腔ケア:朝晩行います。自分で歯磨きができるのが最善ですが、難しい場合は、ガーゼや綿棒を洗口液または薄めた食塩水に浸し、口腔内、歯、舌苔を丁寧に拭き取ります。口腔内が不潔だと細菌が繁殖し、食欲低下や感染の原因になります。
  • 排泄ケア:最も忍耐力が試される部分です。
    • こまめな交換:おむつやパッドを使用する場合は、「濡れたら即交換」を徹底します。
    • 清潔保持:排泄のたびに、温水で前から後ろに向かって丁寧に洗浄します。その後、柔らかいタオルで「こすらずに押さえるように」水分を取り、最後に臀部保護クリームを塗布し保護膜を作ります。

しっかり食べて飲んで、抵抗力を維持する

臥床患者は消費カロリーは少ないですが、身体の修復や病気への抵抗力を保つためには栄養が不可欠です。

  • 栄養バランス:食材は柔らかく煮込むなど、消化しやすい調理を。筋肉維持や皮膚修復に重要なタンパク質(魚、肉、卵、乳製品)を十分に摂取させます。
  • 便秘予防:長期臥床で腸の動きが鈍り、便秘はよくある問題です。食物繊維が豊富な食材(ペースト状にした野菜や果物)を摂取させ、水分補給を心がけます。お腹を時計回りに優しくマッサージするのも効果的です。
  • 安全な食事介助:食事や水分補助の際は、必ず座らせるか上半身を起こした姿勢(ファウラー位)にします。絶対に寝たままの姿勢で与えないでください。気管に入りやすく、窒息や誤嚥性肺炎の危険があります。食後もすぐに寝かせず、しばらくは起きた姿勢を保ちます。

最後に、そして最も大切なこと:あなた自身のケア

これはしばしば見落とされがちですが、すべての介護を持続可能にする基盤です。

  • あなたも人間です:介護は短距離走ではなくマラソンです。あなたが倒れたら、誰が代わるのでしょうか? たとえ10分でも、目を閉じて一息つく時間を必ず作りましょう。
  • 助けを求める:全てを一人で背負い込まないでください。家族で分担するか、経済的に可能であれば、ヘルパーを利用して清掃や清拭などの基本的な作業を手伝ってもらい、息抜きの時間を作りましょう。
  • 心のケア:この過程はとても大変で、無力感、いらだち、時には悔しさを感じることもあるでしょう。それは当然のことです。誰かに話を聞いてもらい、心の内を打ち明けてください。溜め込まないことが大切です。あなた自身の心の状態をケアしてこそ、ご家族に愛情と温もりを届けられるのです。

まとめると、床ずれと肺炎の予防は絶対に守るべき健康の生命線であり、日々の清潔ケア、栄養管理、そして心のケアは生活の質(QOL)と尊厳を維持する鍵です。これらの経験が少しでもお役に立てば幸いです。頑張ってください!

作成日時: 08-09 02:55:25更新日時: 08-10 02:45:16