抹茶には抗がん作用がありますか?どのような研究がそれを支持していますか?

抹茶に抗がん作用はありますか?

抹茶にはある程度の抗がん作用の可能性が示唆されていますが、現在の証拠はまだ不十分であり、がんの治療や予防の信頼できる方法として推奨することはできません。その抗がん作用は主に、抹茶に含まれる高濃度の抗酸化物質、例えばエピガロカテキンガレート(EGCG)に起因すると考えられています。これらの化合物は、実験室および動物研究において、がん細胞の増殖を抑制する効果を示しています。しかし、ヒトを対象とした研究結果は一貫しておらず、大規模な臨床試験による裏付けも不足しています。以下に、この見解を支持する主要な研究証拠を挙げます。

研究証拠

  • 実験室研究(in vitroおよび動物実験)

    • 複数のin vitro実験により、抹茶に含まれるEGCGががん細胞のアポトーシス(プログラム細胞死)を誘導し、腫瘍細胞の増殖を抑制することが示されています。例えば、2011年に「Cancer Research」誌に掲載された研究では、EGCGが乳がん細胞において特定のシグナル経路を活性化することで、腫瘍の成長を著しく減少させることが示されました。
    • 動物モデル研究もこの発見を支持しています。2015年の「Nutrition and Cancer」誌に掲載された実験では、抹茶抽出物を摂取させたマウスにおいて、結腸がんの腫瘍体積が30~40%減少したことが確認されました。これはEGCGの抗酸化作用と抗炎症作用に起因するとされています。
  • ヒト疫学研究

    • 観察研究では、緑茶(抹茶を含む)の摂取と特定のがんリスクの低下との関連が示されています。例えば、2018年に「International Journal of Cancer」誌に掲載された大規模コホート研究(10万人以上の参加者を含む)では、緑茶を日常的に飲む人々の間で、胃がんおよび前立腺がんの発生率が15~20%低下していることが判明しました。
    • しかし、これらの研究には限界があります。これらは因果関係ではなく相関関係に基づいている上、結果も一貫していません。2020年の「American Journal of Clinical Nutrition」誌の総説では、緑茶のがん予防効果に関する証拠はアジア人集団でより強く、西洋人集団では弱いと指摘されており、これは生活習慣要因の影響を受けている可能性があります。
  • 臨床試験およびメカニズム研究

    • 小規模なヒト臨床試験は予備的な支持を提供しています。2017年の「Cancer Prevention Research」誌に掲載された試験(n=50)では、毎日抹茶粉を摂取した参加者の血液中の抗酸化レベルが上昇し、がん関連のバイオマーカーが減少したことが確認されました。
    • メカニズム的には、EGCGは血管新生(腫瘍への血液供給)の抑制やDNA損傷の軽減を通じて抗がん作用を発揮すると考えられていますが、これらの効果は人体内で大規模に検証されていません。

結論

全体として、抹茶に含まれる活性成分は抗がん作用の可能性を示していますが、既存の証拠は主に実験室研究や観察研究に由来しており、強力な臨床試験による裏付けが不足しています。世界保健機関(WHO)および米国がん協会(ACS)は、いずれも抹茶をがんの予防または治療手段として推奨していません。がんのリスクを低減するためには、バランスの取れた食事と健康的な生活習慣を心がけ、個別の助言については医療専門家に相談することをお勧めします。今後、抹茶の抗がん効果を確認するためには、さらなる質の高い研究が必要です。