ピラティスにおける「パワースハウス」(体幹)とは、具体的にどの身体の部位を指すのでしょうか?

Sarah Andrews
Sarah Andrews
Certified Pilates instructor with 10 years experience.
ピラティスを始めたばかりの友人よ、「パワーハウス」—あなたの体の“発電所”—について話そう
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ピラティスを始めた人なら、ほぼ例外なくインストラクターから「**パワーハウス**」(=「**コアパワーゾーン**」)という言葉を聞かされることでしょう。多くの人の第一反応は「ああ、腹筋を鍛えるってことね!」というもの。

それは正解ですが、**完全には正しくありません**。

「パワーハウス」を単に腹筋と同じと考えるのは、ケーキのことを「小麦粉」と言うようなもので、ほんの一部分しか説明できていません。実はこれは**立体的な、“箱”または“円筒”のような領域**であり、胴体の中央部全体を包み込んでいます。安定した力強い動作はすべて、この「発電所」から生み出されるのです。

この「箱」をイメージしてみましょう:

### 1. 箱の前面ドア - 腹部筋群
ここは見える「シックスパック」や腹筋ライン(**腹直筋**)だけではありません。ピラティスでは、より深層にある部分を重視します:

*   **腹横筋(Transverse Abdominis)**: これが最重要!これは**天然の、最も深層にあるコルセット**のようなものと考えてください。背中からお腹をぐるっと囲んでいます。これを引き締めるときは、きついジーンズを穿いてファスナーを上げようとする時、お腹を軽く内側に引き込むような感覚です。腰椎と骨盤を安定させ、「腰のダメージ」から守る大功臣です。
*   **内腹斜筋・外腹斜筋(Obliques)**: 体の両側にあり、体のひねりや横曲げを担当します。箱の斜め方向の支柱のような役割です。

### 2. 箱の後壁 - 背中の深層筋
強固な「前面ドア」だけでは不十分で、「後壁」が崩れれば箱全体が不安定になります。主に含まれるのは:

*   **多裂筋(Multifidus)**: 背骨の骨に付着している幾層もの小さな深層筋です。これらは背骨を安定させる一本一本の**ミニチュア鋼鉄ケーブル**のように、各椎骨を正しい位置に保ちます。
*   **腰方形筋(Quadratus Lumborum)など**: 腰下部の安定を補助します。

強靭な背中は、姿勢をシャンとさせ、腰痛とサヨナラする鍵です。

### 3. 箱の天井 - 横隔膜(呼吸筋)
これは最も見落とされがちですが、ピラティスでは極めて重要!横隔膜は胸腔と腹腔を隔てる筋肉の層です。

*   **吸気時**: パラシュートが開くように下がります。
*   **呼気時**: 上昇し、お腹を内側・上方へ引き締めやすくし、コアの起動をサポートします。

ピラティスのインストラクターが呼吸の重要性を常に強調する理由はここにあります!正しい呼吸はポンプのように、コアの「箱」へ内圧と安定性を高めるのです。

### 4. 箱の床 - 骨盤底筋群
骨盤底筋群は**強力な筋肉のハンモック**のように、骨盤内の内臓器官すべてを支えています。

*   ピラティスでは、排尿を我慢するような(ただしよりソフトな)感覚で、意識的かつ優しくこの筋肉を引き上げることを学びます。これにより下方からコアの「箱」を閉じて安定させると同時に、上半身と下半身の力をより効果的に繋げることができます。

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### まとめ:
インストラクターが「**パワーハウスを引き締めて**」と言った時、実際に求められているのは:

> **胴体の中央部全体が堅固な樽であるとイメージしてください。深く息を吸い込み、吐く息とともに、“天然のコルセット”(腹横筋)が周囲から内側に締まり、おへそを背骨の方に軽く引き寄せる感覚を。同時に、骨盤底の“ハンモック”を軽く引き上げ、背中の“鋼鉄ケーブル”(多裂筋)も安定させます。このプロセス全体では、呼吸は流れるように続き、肩はリラックスしています。**

この領域を活性化すると、以下の効果を実感できるでしょう:

*   身体がこれまでにないほど安定します。
*   手足を動かす際、胴体がぐらつかず、動作効率が向上します。
*   姿勢が改善し、より高く、よりシャンと見えます。
*   脊椎を強力に保護し、スポーツ障害や腰痛を予防します。

この説明が概念理解の助けになれば幸いです。次回のレッスンでは、ぜひこの「力の箱」の存在を感じ取ってみてください。ピラティスの練習が全く新しい段階に入ることでしょう!頑張ってください!