狂犬病不活化免疫製剤(RIG、ヒト由来HRIGおよびウマ由来ERIGを含む)の役割は何ですか?どのように使用すべきですか?
作成日時: 8/15/2025更新日時: 8/18/2025
回答 (1)
はい、狂犬病の受動免疫製剤、いわゆるRIGについて話しましょう。専門用語に聞こえますが、実は原理は結構分かりやすいものです。
狂犬病受動免疫製剤(RIG)とは?
分かりやすい例えで説明しましょう。
あなたの体を一つの国と想像し、狂犬病ウイルスを侵入する敵とします。
- 狂犬病ワクチン:これはあなたの国に「敵の設計図」と「武器の製造マニュアル」を届けるようなものです。自国の軍隊工場(免疫システム)がその敵専用の武器(抗体)を生産し始めます。ただし、この過程には時間がかかり、効果的な戦闘力を得るには7日以上必要です。
- 狂犬病受動免疫製剤(RIG):これは、あなたの国に直接空輸される「特殊部隊」や「傭兵」のようなものです。彼らはすでに武装した、即戦力となる抗体であり、着地直後に「侵入口」(つまりあなたの傷口周辺)で敵と戦い、ウイルスを中和します。
したがって、RIGの役割は:
あなた自身の体の「軍隊工場」が十分な武器を製造するまでの間、最も直接的で迅速な「即時防護」を提供することです。
RIGは傷口周辺のほとんどの狂犬病ウイルスを瞬く間に中和し、それらが神経を伝って脳へ侵入するのを防ぎます。これにより、ワクチンを打って自身の抗体を産生するための貴重な時間を確保し、このタイムラグがまさに命を救う鍵となります!
使用方法は?
ここは少し詳しく、ポイントを押さえて覚えましょう。
1. どのような場合に必要?
犬や猫に噛まれたり引っかかれたりしたすべての場合に、これを打つ必要はありません。一般的に傷の深刻度に基づいて「III度曝露」と分類される症例では、必ず使用されます。
- III度曝露:
- 単一または複数の皮膚が咬まれたり引っかかれたりして出血した場合。
- 損傷した皮膚が(動物に)舐められた場合。
- 粘膜(唇や目など)が動物の唾液に汚染された場合。
- 簡単に言うと、「出血した」または「粘膜が舐められた」 場合です。
- II度曝露:
- 皮膚が軽く噛まれたが出血していない場合、または出血を伴わないひっかき傷がある場合。
- この場合、本人の免疫力が特に低い場合(例:HIV/AIDS患者、化学療法中等)、医師はRIGの使用を勧めることがあります。
基本原則: 曝露が深刻になるほど、ウイルスが体に接触するリスクが高くなるため、この「特殊部隊」RIGの緊急投入がより必要になります。
2. どう打つ?——これが最も重要!
RIGの打ち方は普通の注射とは異なり、単に腕に注射するだけでは終わりません。
- 第一原則: 傷口周囲への浸潤接種
- 医師はあなたの体重に基づいて必要なRIGの総量を計算します。
- 次に、そのRIGを可能な限り多く、すべての傷口の周囲に注射し、傷口を「包囲」します。特殊部隊は戦場の最前線に降下させるべきだという考えです!
- これはウイルスが神経内に侵入する前に、侵入点で破壊するためです。
- 残ったらどうする?
- 傷口が小さくて薬液を使い切れない場合、または指など薬液を多く注入できない部位がある場合、残りのRIGは体の他の部分の深部筋層(反対側の腕の三角筋や大腿外側など)に打たれます。
- 非常に重要な禁忌!
- 絶対にRIGと狂犬病ワクチンを同じ腕に接種してはいけません! RIGは完成された抗体であるため、ワクチン(ウイルスの「設計図」)と同じ場所に注射すると、「設計図」を直接破壊し、体が自身の抗体を産生する効果を妨げます。
3. いつ打つ?
できるだけ早く! 理想的には負傷後24時間以内。
- 当日に接種できなかった場合、初回ワクチン接種から7日以内にRIGを打てば有効です。速やかに接種しなければなりません。
- なぜ7日? 通常7日後には、ワクチンの刺激によりあなた自身の体も抗体の産生を開始しているからです。この時期に外部からRIGを投与してもあまり効果が期待できず、逆に不要な免疫反応が起こる可能性も出てくるためです。
ヒト由来(HRIG)とウマ由来(ERIG)の違いは?
この二つは「特殊部隊」の供給源が異なります。
特徴 | ヒト免疫グロブリン (HRIG) | ウマ免疫血清 (ERIG) |
---|---|---|
供給源 | 健康な献血者の血漿から抽出。 | 免疫処置を施したウマの血清から抽出。 |
安全性 | 高い。 ヒト由来のためアレルギー反応はまれ。使用前の皮内テストは不要。 | 相対的に低い。 異種タンパクであるためアレルギーを起こしやすく、接種前の皮内テストが必須。 |
価格 | 非常に高い! 時々入手困難になることも。 | はるかに安価。 供給も比較的安定している。 |
用量 | 体重あたりの必要使用量は少ない。 | 体重あたりの必要使用量が多い。 |
どちらを選ぶ? シンプルです。ヒト由来(HRIG)が使用可能であればそれを優先し、安全かつ手間も省けます。病院にヒト由来がなく、または高価すぎる場合は、ウマ由来(ERIG)も完全に有効です。皮内テスト結果が陰性であれば効果は同じように確かです!
まとめ
- RIGとは? —— 応急処置用の「抗体という特殊部隊」。自身の免疫システムが反応する前に、ウイルスの第一波を支え、時間を稼ぐもの。
- いつ使用? —— 咬まれて出血したケース(III度曝露)、必須です!
- 使用方法? —— できるだけ早く(初回ワクチンから7日以内に有効)、大切なのは薬液を傷口周囲に打つこと。残りは臀部や反対の腕に打つ。絶対にワクチンと同腕に打たないこと!
- HRIG vs ERIG? —— HRIGは安全だが高価、ERIGは安価だが皮内テスト必要。効き目は同じ。医師の指示に従い、どちらか入手できるものを使用する。
この説明であなたも完全に理解できているといいのですが!
作成日時: 08-15 04:23:27更新日時: 08-15 09:05:25