ニュージーランドのインターネット速度と携帯電話の電波状況はどのような感じですか?

David Guillaume-Salmon
David Guillaume-Salmon
Former professional chef, now a New Zealand resident. | 前职业厨师,现新西兰居民。

こんにちは! この質問をされるということは、ニュージーランドに住んだり旅行したりするご準備中でしょうか? ご安心ください、私はこちらで長く生活しているので、ネット環境や携帯電話の電波事情には詳しいです。ご説明しますので、参考になればと思います。

端的に言うと、ニュージーランドのネットと携帯電話の電波事情は:街では快適に生活できるけれど、山に入ると「原始時代」に逆戻り という感じです。具体的にはこんな状態です。


一、まずはブロードバンド(家庭・会社のインターネット)について

ニュージーランドで家庭のインターネット環境が良いかどうかは、基本的にどこに住むかに大きく左右されます。

1. 光ファイバー (Fibre) - 主流の選択肢、速さは抜群!

  • これは何? 日本でよく言われる超高速ブロードバンド、光回線そのものです。ニュージーランドでは、政府が大規模なUFB (Ultra-Fast Broadband) 計画を推進し、ほぼ全ての都市と大半の町をカバーしています。
  • 速度は? 非常に高速! 最も基本的なプランでもダウンロード300Mbps / アップロード100Mbpsが一般的です。普通の家庭で4K動画視聴、ゲーム、ビデオ会議をしても全く問題ありません。ヘビーユーザーなら、900Mbps以上の「ゲーマープラン」にアップグレードも可能。光回線の高速道路を疾走するかのようで、ハイビジョン映画のダウンロードも数分で完了します。
  • カバー範囲? オークランド、ウェリントン、クライストチャーチなどの主要都市では、ほぼ家庭に普及しています。部屋を借りたり家を購入する際、不動産会社が光回線対応かどうかを通常は教えてくれます。また、キャリアのサイトで住所を入力して照会することもできます。
  • 主要キャリア: Spark, One NZ (旧Vodafone), 2degrees の大手3社です。その他、Orcon, Slingshotなどの小規模プロバイダーもあります。値段やプランは大差なく、セール期間に契約するとお得です。

2. VDSL / ADSL - 古い住宅街における過渡的な選択肢

  • これは何? 光ファイバーが新幹線なら、VDSLは在来線、ADSLは普通列車…といった感じです。どちらも古い電話回線を利用したインターネット接続です。
  • 主な使用エリア? 比較的古いアパートや、光回線が整備されていない遠隔地の町などです。
  • 速度は? VDSLはまだ使えます。日常的な動画視聴やウェブブラウジングには十分ですが、アップロード速度は遅めです。大きなファイルを頻繁に送信する必要があると不便さを感じるでしょう。ADSLはまさに「インターネットに繋がる」という最低限の機能しかありません。今ではどうしても必要な場合以外、導入する人はほとんどいません。

3. 4G/5G モバイルブロードバンド (Wireless Broadband)

  • これは何? 要するにSIMカードを挿して、携帯電話回線で自宅のWi-Fiを提供するサービスです。非常に簡単な設置で、電源を入れるだけで使用できます。
  • 誰向け? 光回線がまだ整備されていないが、携帯電話の電波が非常に良い場所にお住まいの方。もしくは、短期賃貸で長期契約をしたくない場合には非常に柔軟な選択肢です。
  • 長所・短所? 長所は手軽さ。短所は、速度と安定性が電波状況に左右されやすく、制限付き(とはいえ今は無制限プランが主流となっています)、またピーク時には速度が低下する可能性がある点です。

4. 衛星インターネット (Satellite) - 辺境での必需品

  • これは何? 山奥や農村地帯、携帯電話すら通じない場所に住む場合の唯一の選択肢となるのがこれです。マスク氏のスターリンク(Starlink)がニュージーランドでは現在広まっています。
  • 実態は? 価格は高めで、設置にも多少のスキルが必要です。しかし、これまで全くネット環境がなかった地域にとっては救世主のような存在であり、速度は一部の町のVDSLよりも速くなる場合もあります。

まとめ: 都市や主要な町で生活するなら、ニュージーランドのネット環境は日本の大都市と何ら変わりなく快適です。むしろ、容量無制限のプランが一般的なので、ストレスなく使えるかもしれません。農場や遠隔地へ行く予定があれば、しっかり事前調査が欠かせません。


二、次は携帯電話の電波・エリア事情

携帯電話の電波事情は、ニュージーランドの「広大で人口密度が低い」という特徴が特に顕著に現れる分野です。

1. 都市と主要な町

一言:電波・ネットとも良好で高速!

オークランドやウェリントンなどの都市では、4Gのカバー率は高く、5Gの開通も急速に進んでいます。都心部、住宅街、大半のビーチでも電波はほぼ確実に入ります。動画視聴、ネットナビ、モバイル決済も全く心配いりません。

2. 主要な高速道路沿い

基本的には電波あり、しかし「急に途切れる」ことも。

1号線(南北島をつなぐ幹線道路)などの主要道路をドライブしている間は、ほとんどの区間で電波は入ります。しかし! ニュージーランドは山が多いので、山の中でカーブを曲がった途端に、満タンだった電波が圏外になり、しばらくして復活…ということが起こり得ます。長距離ドライブの際は、必ず事前にオフラインマップをダウンロードしておくことを強くお勧めします!

3. 国立公園・僻地・トレッキングルート

大事なことなので3回:ほぼ電波なし! ほぼ電波なし! ほぼ電波なし!

これは全くの冗談ではありません。フィヨルドランド国立公園、アオラキ/クック山国立公園などの有名な国立公園に足を踏み入れれば、あなたのスマートフォンはほぼ確実に、撮影と時計としてのみ使える“文鎮”と化します。

  • トレッキングや野外探検に行く場合? 必ず、友人や家族にルートと予定帰宅時間を伝えておいてください。紙の地図とコンパスは必需品です。もしくは、個人用位置情報ビーコン (Personal Locator Beacon, PLB) の購入を検討しましょう。非常時には命綱となる装置です。

4. 携帯キャリアはどこを選ぶ?

携帯キャリアも3大キャリアが中心です:

  • Spark: 僻地も含めたネットワークカバーが最も網羅的と言われています。元国営通信会社だっただけあり、インフラの基盤が強固です。
  • One NZ (旧Vodafone): Sparkの長年のライバルで、ネットワークのカバーや品質も非常に良好。都市部での使用感は遜色ありません。
  • 2degrees: 新興勢力で、コストパフォーマンスに重点を置いています。都市部では通信環境が良い一方、一部の僻地カバーは上記2社に比べるとやや弱くなることがあります。

アドバイス:

  • 都市部での滞在がメインの方: どれを選んでも問題ありません。料金プランとサービスでお得なところを選びましょう。各社の格安サブブランドも選択肢の一つです。例えば、Spark傘下のSkinnyや、One NZ傘下のMyRepublic Mobileは、親会社のネットワークを使用しながら料金は安めに設定されています。
  • アウトドア活動が多かったり、地方に住む予定の方: Sparkを優先候補に検討すると良いでしょう。

総まとめ

  • ネット速度: 都市に住んで光回線なら快適快適! 地方に住むなら様子見、ワイヤレスか衛星が必要かも。
  • 携帯電話の電波: 都市なら電波満タン、5G快適。街を一歩出れば電波は運次第、山の中なら完全に孤立状態。

このリアルな情報がお役に立てば幸いです! ニュージーランドは本当に素晴らしい場所です。ネットと電波の問題さえ事前に手を打っておけば、この美しい国での素敵な生活を全く邪魔することはありません。ご滞在が順調で素晴らしいものとなりますように!