ウォーレン・バフェットは、コングロマリットへの投資における評価割引が大きすぎると考えていますか?
作成日時: 8/6/2025更新日時: 8/17/2025
回答 (1)
バフェットのコングロマリット評価割引に対する見解
はい、ウォーレン・バフェットは、日本の五大商社のようなコングロマリット(複合企業)に通常存在する評価割引が過大であると考えており、これが彼がこれらの企業へ投資する主要な理由の一つです。以下に詳細な分析を示します:
1. 背景:コングロマリットの評価割引
- コングロマリット(持株会社など)は多様な事業、子会社、投資ポートフォリオを保有していますが、市場評価額はしばしば内在的価値(純資産価値または再調達価値)を下回ります。
- この割引は、複雑な構造、市場の偏見、流動性不足、短期的な業績変動などが原因で発生し、投資家が長期的な潜在力を過小評価する結果となります。
- バフェットが投資した日本の五大商社(伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅)は典型例であり、これらの企業の時価総額は資産価値のわずか50%~70%であることが多く、顕著な割引が存在します。
2. バフェットの見解
- 割引の過大評価:バフェットはバークシャー・ハサウェイの株主への手紙やインタビューで、これらのコングロマリットの評価割引が市場によって過度に拡大されており、「安全域(マージン・オブ・セーフティ)」を提供すると明言しています。実質価値が市場価格を大幅に上回るため、彼はこれをバリュー投資の機会と捉えています。
- 投資理由:
- 低評価と高配当:これらの企業は低い株価収益率(P/E)と高い配当利回りで取引されており、バフェットはその安定したキャッシュフローと優れた経営を強調しています。
- 長期保有戦略:バフェットはこれらの投資をバークシャー自身の持株モデルと同様に「永久保有」と位置付けています。時間の経過とともに割引が縮小し、複利によるリターンが得られると考えています。
- 具体例:2020年以降、バフェットはバークシャーを通じてこれらの商社へ投資し、8%~9%の株式を取得。2023年の株主への手紙では「法外に過小評価されている(ridiculously cheap)」と称賛し、割引が妥当な水準を大幅に超えていると述べました。
- バリュー投資原則との整合性:バフェットはベンジャミン・グレアムの「葉巻の吸い殻(シバーストック)」戦略(低価格・高価値資産の探索)に従っており、コングロマリットの評価割引はこの戦略に合致します。
3. 潜在リスクとバフェットの対応
- 割引が過大である一方、バフェットはコングロマリットが地政学リスクや景気循環の影響を受ける可能性を認めています。彼は複数社への分散投資と長期的視点でこれを緩和しています。
- バフェットは短期的な裁定取引を追求せず、優れた経営陣が(自社株買いやガバナンス改善などにより)徐々に価値を解放すると確信しています。
総括すると、バフェットの投資行動は、コングロマリットの評価割引を市場の非合理性が生んだ機会と捉え、本質的欠陥とは見なしていないことを示しています。これは彼のバリュー投資の中核—過小評価された優良資産を購入し、価値実現を忍耐強く待つ—を体現するものです。
作成日時: 08-06 12:20:46更新日時: 08-09 22:10:17