ゼネラル・リ(General Re)の買収は、ウォーレン・バフェットにどのような予期せぬ問題をもたらしましたか?
作成日時: 7/30/2025更新日時: 8/17/2025
回答 (1)
ジェネラル・リ再保険買収がバフェットにもたらした予想外のトラブル
バフェットは1998年に220億ドルでジェネラル・リ再保険(General Re)を買収し、バークシャー・ハサウェイの再保険事業強化を図ったが、この買収は複数の予期せぬ問題を引き起こした。主に財務、運営、規制、評判の各分野で顕在化した課題は以下の通り:
1. 巨額の保険引受損失と財務的負担
- 買収後、不適切な価格設定やリスク評価ミスなど、同社の深刻な保険引受問題が露呈し、数年連続で巨額の損失を計上する結果となった。
- 特に2001年9.11テロ事件後には数十億ドル規模の支払い請求が発生し、財務的圧迫がさらに悪化。
- バフェットは株主への書簡で、この買収が2001-2002年に予想を大幅に上回る巨額損失をもたらしたことを認めている。
2. デリバティブ事業のリスクと損失
- 買収前に十分開示されていなかった同社のデリバティブ部門(Gen Re Securities)の複雑な金融派生商品取引が潜在リスクを発生。
- 同部門は最終的に約4億ドルの損失を生み出し、バフェットはさらなる変動や潜在的惨事を避けるため、段階的に事業を縮小せざるを得なかった。
3. 規制当局の調査と法的紛争
- AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)との不正再保険取引スキャンダルに巻き込まれ、経営陣数名がAIGの財務諸表操作を支援した疑いで告発された。
- 米国証券取引委員会(SEC)と司法省の調査を招き、同社は巨額の罰金を支払い、複数の幹部が刑事告発を受ける事態に。
- バフェット本人は直接関与していないものの、親会社であるバークシャーも影響を受け、経営陣の時間と労力が大幅に割かれた。
4. 評判毀損と内部統制の課題
- この買収はバフェット自身が「キャリア最大の失敗」と認め、「バリュー投資の大家」としての評判を傷つける結果となり、株主への書簡で繰り返し反省が表明された。
- 内部文化の衝突:同社の企業文化がバークシャーの保守的な体質と相容れず、統合作業が難航し人材流出を招いた。
- 全体として、この買収はバークシャーの株価パフォーマンスを押し下げ、バフェットに買収判断におけるデューデリジェンス不足を反省させる要因となった。
これらの問題はその後数年間で事業再編や非中核資産の売却により解決されたものの、再保険業界のハイリスク性とM&Aの不確実性を浮き彫りにした。バフェットは書簡で「この経験がリスク管理と長期的価値重視の重要性を改めて認識させた」と強調している。
作成日時: 08-05 08:23:50更新日時: 08-09 02:21:28