バークシャー・ハサウェイの巨大な規模は、超過リターンを得る上での最大の障害となっていますか?
作成日時: 7/30/2025更新日時: 8/17/2025
回答 (1)
バークシャー・ハサウェイの巨大な規模は、超過収益獲得における最大の障害となっているか?
はい、バークシャー・ハサウェイの巨大な規模は、確かにその超過収益獲得における最大の障害の一つとなっています。この点は、ウォーレン・バフェットによる株主への手紙で繰り返し言及され、強調されてきました。以下、いくつかの観点から分析します。
1. バフェット自身の見解
- バフェットは何年も前に明確に指摘しています:「規模は超過収益の敵である(Size is the anchor of performance)」。バークシャーの資産規模が当初の数億ドルから現在の約1兆ドル規模に膨れ上がるにつれ、全体のリターンを大きく押し上げられる投資機会を見つけることはますます困難になっています。
- 2022年の株主への手紙で、バフェットは、バークシャーの現在の規模は、大企業や大規模プロジェクトへの投資を必須とし、こうした機会は市場で十分に価格付けされていることが多く、過去のような「優良企業を安値で買う」という超過収益を得ることが難しいと述べています。
- 歴史的に、バークシャーは小規模投資(コカ・コーラやワシントン・ポストなど)で数十倍のリターンを得てきましたが、現在では単一の投資が全体資産に与える影響がごくわずかなため、同様の機会は稀です。
2. バリュー投資原則への挑戦
- バリュー投資の中核は、過小評価された資産を見つけて長期保有することですが、バークシャーの規模は数十億ドル以上の巨額投資を要求し、中小企業や新興市場への柔軟な参入を制限しています。
- 例えば、バークシャーはBNSF鉄道やプレシジョン・キャストパーツのような企業全体の買収を好みますが、こうした大規模買収のリターン率は通常、初期の小規模投資を下回ります。超過収益(アルファ)は市場の非効率な領域から生まれることが多い一方で、巨大ファンドはこうした領域に参入することが困難です。
3. 歴史的データによる裏付け
- 業績面では、バークシャーは1965年から1990年代にかけて年率20%を超えるリターンを達成し、S&P500指数を大きく上回りました。しかし21世紀に入ると、その超過収益は次第に縮小し、近年では市場平均に接近しています(それでもなお若干上回ってはいます)。
- 2023年の株主への手紙によれば、バークシャーは巨額の現金(約1600億ドル)を保有していますが、その理由の一部は、十分な規模の投資機会の欠如にあり、これは規模がもたらす「機会費用」の問題を裏付けています。
4. 唯一の障害ではないが、最大級の一つ
- 競争激化、景気循環、市場評価額の高騰など他の要因も収益に影響しますが、規模は根本的な障害です。なぜなら、それは投資選択肢の多様性と柔軟性を直接制約するからです。
- バフェットは、中小投資家の方が規模が小さいことから利益を得られる可能性があり、より自由に高リターンの機会を追求できると助言しています。これは、バークシャーが現在、超過収益を積極的に追求するよりも、保険の浮遊資金、自社株買い、安定配当を重視する理由も説明しています。
結論として、バークシャーの成功はバリュー投資に由来しますが、その規模ゆえに「ハンター」から「守護者」へと変容を遂げました。一般の投資家がバフェットの原則を学ぶ際には、規模の効果が両刃の剣であることに留意すべきです。すなわち、小規模は超過収益に有利であり、大規模はリスク管理と長期的な安定性を強調するのです。
作成日時: 08-05 08:27:03更新日時: 08-09 02:23:16