もしウォーレン・バフェットの投資原則を用いて、彼の主要な投資の一つに反論するとしたら、どれを選びますか?また、その理由は何ですか?
選んだ投資
ウォーレン・バフェットによるIBMへの投資(2011年約107億ドルで株式を取得、2017-2018年にかけて段階的に売却)。
理由
バフェットの投資原則は「理解できる事業への投資」「持続的な競争優位性(経済的堀)の追求」「安全域」を重視するが、IBMへの投資はこれらの原則に反する例として分析できる:
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「理解できる事業」との不一致:バフェットは技術変化が激しく予測困難なため、一貫してテクノロジー株を避けてきた。自らを技術専門家ではないと認め、IBMの中核事業(クラウド、AI、企業向けソフトウェア)は技術革新が速く競争が激しいため自身の「能力圏」を超えると述べている。IBMのブランド力や企業向けサービスを評価したものの、後年に自社の変革課題を正確に予見できなかったことを認めており、「シンプルで理解しやすい企業のみに投資」という原則に反する。
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持続的堀の欠如:バフェットはコカ・コーラのブランド障壁やアップルのエコシステムのような強固な経済的堀を重視する。しかしIBMはアマゾンAWSやマイクロソフトAzureとの激しい競争に直面し、特許や技術力といった堀が技術の潮流の中で急速に弱体化。長期競争優位性を維持できなかった点は、彼のバリュー投資理念と矛盾する。後にIBMのビジネスモデルが期待したほど「持続的」でないことを認めている。
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安全域の不足:バフェットは内在価値より大幅に低い価格での購入(安全域)を強調する。IBMは当初割安に見えたが、収益悪化と株価低迷により実際のリターンは低調だった(バークシャー・ハサウェイは小幅損失で売却)。「機会を逃しても、過ちは犯すな」という慎重原則に反し、業界動向を軽視したリスクを露呈した。
総じて、この投資はバフェットが稀に手がけたテクノロジー分野への進出であり、後に失敗例と見なされている。彼自身の原則で検証すると、核心哲学からの逸脱が代償を生んだ事例と言える。