ブラインドテイスティングにおいて、日本のウイスキーはスコッチウイスキーとどのように異なるのが一般的ですか?

Raghav Sharaf
Raghav Sharaf
Global whisky writer and tasting competition judge.

へえ、この質問は面白いですね。ブラインドテイスティングでは、本当に面白い発見がたくさんあります。私見ですが、この二つは、まるで異なる性格の二人のようです。慣れてくると、感覚だけでほぼ見分けがつくようになります。

例えるなら、スコッチウイスキーは、個性が際立ち、型にはまらない芸術家のようです。一方、ジャパニーズウイスキーは、究極のディテールを追求し、繊細な技を持つ職人のようです。

具体的にブラインドテイスティングで、私がこの二つの違いを感じ取るポイントは以下の通りです。

1. 第一印象:香りの「表現方法」

  • スコッチウイスキー (Scotch): 香りは通常「ストレート」で、時には「圧倒的」とさえ言えます。鼻を近づけると、その個性が一気に押し寄せてきます。アイラモルトであれば、その象徴的なスモーキーさ、消毒液のような香り、潮風の風味は隠しようがありません。スペイサイドであれば、ドライフルーツ、トフィー、シェリー樽由来の濃厚な甘い香りが非常に奔放に広がります。その香りはまるで「私が来たぞ!」と大声で語りかけてくるようです。
  • ジャパニーズウイスキー (Japanese Whisky): 香りは非常に「内向的」で「多層的」です。心を落ち着けて、ゆっくりと感じ取る必要があります。一度に全ての香りをぶつけてくるのではなく、玉ねぎの皮を剥くように、一つずつ層をなして現れます。まず、ほのかな花の香りやフレッシュなフルーツの香り(メロン、白桃など)を感じ、次にクリームや蜂蜜、そして最後に微かなウッディな香りが現れるかもしれません。それはまるで、ささやくようにあなたを誘い、探求へと導くようです。

2. 口当たりとボディ:「衝撃力」か「滑らかさ」か?

  • スコッチウイスキー: 口当たりはより「力強く」、「衝撃的」です。ボディは通常、より豊かで、オイリーに感じられます。一口飲むと、様々な風味が口の中で「爆発」します。ピートのスモーキーさも、シェリー樽の甘辛さも、非常に強い存在感を放ちます。液体の力強さをはっきりと感じられるでしょう。
  • ジャパニーズウイスキー: その核心は一言で言えば「バランス」です。口当たりは極めて「滑らか」で「まろやか」で、絹のように舌の上を滑ります。様々な風味が完璧に調和しており、特定の味が際立つというよりは、全体として非常に調和がとれていて心地よいです。スモーキーなジャパニーズウイスキー(例えば余市)であっても、そのスモーキーさはより洗練されており、それほど「荒々しく」はありません。

3. 特別な「隠れたヒント」:ミズナラ樽 (Mizunara Oak)

  • これはジャパニーズウイスキーならではの「切り札」です。もしブラインドテイスティングで、白檀、お香、伽羅のような、あるいはココナッツのような非常にユニークな香りを嗅いだり味わったりしたら、それは高確率でジャパニーズウイスキーでしょう。この東洋の寺院を思わせるような静謐な香りは、スコッチウイスキーではほとんど見られません。山崎のような多くの高級ジャパニーズウイスキーがこの樽を使用しており、その特徴は非常に顕著です。

4. 余韻:「長く力強い」か「クリーンでエレガント」か?

  • スコッチウイスキー: 余韻は通常非常に長く、個性が際立っています。ピートウイスキーのスモーキーさは喉に数分間残り、シェリー樽ウイスキーのスパイスや甘みも長く続きます。
  • ジャパニーズウイスキー: ジャパニーズウイスキーの余韻も同様に長いことがありますが、それは「クリーン」で「エレガント」な印象を与えます。味わいはゆっくりと、心地よく消えていき、強い刺激を残さず、すっきりと締めくくられます。

まとめると、もしブラインドテイスティングで:

  • 奔放で、ストレートで、非常に個性的な味わい(例えば、強烈なスモーキーさ、濃厚なドライフルーツなど)を感じたら、それは高確率でスコッチでしょう。
  • あなたが感じるのが、繊細で、バランスがとれていて、絹のように滑らかで、香りが層をなして現れる、さらには言葉では表現しがたい「禅」のような感覚(特に白檀の香り)であれば、それはほぼ間違いなくジャパニーズウイスキーだと推測できます。

もちろん、これらはあくまで典型的な特徴です。現在、多くの蒸留所が互いに学び合っており、それほど「荒々しくない」スコッチウイスキーや、非常に「個性的」なジャパニーズウイスキーも存在します。しかし、全体として、この「芸術家」と「職人」のようなスタイルの違いは、ほとんどの場合、判断の助けとなるでしょう。