日本株式市場への投資において、株式自体の値動き以外に、円相場の変動リスクも考慮すべきでしょうか?
作成日時: 8/8/2025更新日時: 8/18/2025
回答 (1)
はい、この質問は核心を突いていますね。海外投資を始めたばかりの多くの方が見落としがちなポイントです。わかりやすい言葉でお話ししましょう。
答え:絶対に必要です!そしてこれは日本株投資における最大の「隠れた」リスクの一つと言えるでしょう。
先輩、まさに的を射た質問ですね。株価チャートの値動きだけを見るのは、日本国内で円建てで投資する視点です。しかし私たち中国人投資家が最終的に得た利益を人民元に換金する際には、ここに「為替レート」という関門が追加されるのです。
最終的な収益は、簡単に言えば 「株式自体の値動き」 と 「円対人民元の為替レート変動」 という2つの要素が組み合わさった結果です。この2つはシーソーの両端のようなもので、うまく活用すればダブルで稼げる一方、失敗すると努力が水の泡になる可能性があります。
なぜ為替が大問題なのか?例えてみましょう
仮に5万元を日本株投資に充てるとします。
- ステップ1:両替
- 当時のレートは 1人民元 = 20円。
- 5万元は 50,000 * 20 = 100万円になります。
- ステップ2:株式購入
- この100万円で日本企業の株式を購入します。
ここで、1年後の可能性のあるシナリオを見てみましょう:
シナリオ1:ダブルで利益(株価上昇+円高)
- 株式は好調で、100万円から120万円に値上がりし、20%の利益が出ました。
- 同時に日本経済が好調で円高が進み、レートは 1人民元 = 18円(円の価値が上昇)になりました。
- 株式を売却し、120万円を人民元に換算:1,200,000 / 18 ≈ 6.67万元。
- 最終結果: 元本5万元に対し1.67万元の利益、総収益率は 33.4%! 株式単体の20%を上回りました。
シナリオ2:無駄骨(株価上昇+円安)
- 株式は同様に120万円に値上がりし、20%の利益が出ました。
- しかし、日銀の金融緩和で円安が進行し、レートは 1人民元 = 24円になりました。
- 株式を売却し、120万円を人民元に換算:1,200,000 / 24 = 5万元。
- 最終結果: 株式研究に苦心して20%の利益を得たにもかかわらず、為替差損で帳消しに。手元に戻ったのは元本のみ、努力が無駄になりました!
シナリオ3:泣きっ面に蜂(株価下落+円安)
- さらに悲惨なケースです。株式は90万円に値下がりし、レートも 1人民元 = 24円(円安)になりました。
- 最終的な換金額:900,000 / 24 = 3.75万元。
- 最終結果: 株式損失は10%ですが、為替差損も重なり総損失は 25% に拡大しました。
生きた事例:2023-2024年の日本株式市場
この数年は、まさに上記「シナリオ2」の典型例でした。
- 日経平均株価:史上最高値を更新するなど上昇を続け、日本株ファンドの見かけ上のリターンは非常に良好(例:30%-40%上昇)に見えました。
- 円相場:一方で、円は対ドル、対人民元で急落し、数十年ぶりの水準まで下落しました。
これにより、非常に厄介な状況が生まれました:株式自体で得た利益の多くが、為替レートの下落によって「食い潰された」のです。 チャート上で見える華々しいリターンは、人民元に換金すると大幅に目減りしてしまいます。
では、どうすれば良いのか?
リスクが存在するなら、対策があります。主に2つの考え方があります:
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「受け入れる」 - 為替変動を容認する
- 誰向け? 長期投資家、または日本企業だけでなく将来的な円高も見込んでいる方。
- ロジック: 長期投資(例:5-10年)が前提であり、短期的な為替変動は気にしない。日本経済の底堅さを信じる、あるいは日銀が超低金利を永遠に続けることはできず、いずれ円高が訪れると考える。これは二重の賭けとなります:日本企業の成長性と、日本経済・金融政策の回復の両方に賭けることです。
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「ヘッジ」 - 為替リスクを分離する
- どういう意味? わずかなコストを払って「保険」をかけ、為替変動リスクを取り除くこと。これにより、投資成果はほぼ株式の値動きのみにリンクします。
- どう実行する? 一般投資家にとって最も簡単な方法は、「為替ヘッジ型」のETFや投資信託を購入することです。
- これらの商品名には通常「Hedged」(ヘッジ済み)の文字が含まれます。運用会社は先渡し為替契約などの金融派生商品を用いて為替リスクをヘッジします。
- メリット: 為替の変動に煩わされず、株式そのものに集中できる。円安局面では、非ヘッジ商品を大きく上回るパフォーマンスを示します。
- デメリット:
- ヘッジにはコストがかかり、収益をわずかに圧迫します。
- 将来、円高が急速に進んだ場合、為替差益による追加利益は享受できません(リスクとリターンの両方が「保険」で固定されるため)。
まとめ
- 心配すべきか? はい!非常に重要です! 為替リスクは日本株(およびあらゆる海外資産)投資で無視できない要素です。
- 収益は「二重奏」: 「株価変動」と「円相場」の両方によって決まります。
- 直近が最高の教科書: 日本株高と円安が同時進行し、多くの人が為替リスクの威力を痛感しました。
- 選択肢はある: 株価と為替の両方の上昇に賭けて**「受け入れる」道を選ぶか、「為替ヘッジ」**商品を購入して為替要因を切り離し、株価の値動きだけから利益を追求するかを選べます。
投資前にしっかり考えてください。あなたが賭けたいのは、**「日本企業」の未来なのか、それとも「日本企業+円」**の未来なのか。これは全く異なる投資判断です。
作成日時: 08-08 21:41:11更新日時: 08-10 02:17:58