取締役会の主な責務とは何ですか?また、ウォーレン・バフェットが多くの企業の取締役会は形骸化していると考えるのはなぜですか?
作成日時: 7/30/2025更新日時: 8/17/2025
回答 (1)
取締役会の主な役割
取締役会は、企業統治の中核機関として、株主の利益を代表し、会社全体の運営を監督・管理する。主な職責は以下の通り:
- 経営陣の選任・監督: 最高経営責任者(CEO)及びその他の幹部の選任、評価、解任を行い、経営陣の行動が株主利益に沿うよう確保する。
- 報酬・インセンティブ制度の決定: 幹部の報酬プランを策定し、会社の業績と連動させ、過剰報酬を回避する。
- 戦略的意思決定とリスク監視: 会社戦略、大型投資、M&A等の決定を承認し、財務・法務・運営リスク等の潜在リスクを監視する。
- コンプライアンスと透明性の確保: 法令・会計基準の順守を監督し、株主への正確な情報開示を行う。
- 株主権益の保護: 経営陣と株主の利益が対立する場合など、紛争発生時には株主の長期的価値を優先的に守る。
これらの職責は、会社の効率的な運営と株主リターンの最大化を目的とする。
バフェットが「多くの取締役会は形骸化している」と考える理由
ウォーレン・バフェットは株主への手紙で、多くの取締役会が職責を果たせず形骸化していると繰り返し批判している。主な理由は以下の通り:
- 独立性の欠如: 多くの取締役はCEOの友人・知人やビジネスパートナーであり、真に独立した代表者ではない。人間関係や自身の利益への影響を恐れて経営陣に異議を唱えず、取締役会が経営陣の「ゴム印」化し、受動的に決定を承認するだけとなる。
- 高額報酬と低い関与: 取締役は高額な報酬(数十万ドルに及ぶ場合も)を得る一方、投入する時間・労力は限定的。複数の取締役職を兼務する者も多く、会社業務を深く理解できず、数回の会議で「形式的に承認」するだけとなる。
- 選任プロセスの欠陥: 取締役は通常、経営陣が指名・推薦し、株主の影響力は弱い。これにより取締役会は株主権益よりも経営陣の利益を守る傾向が強まる。バフェットは、この「クラブ的な」文化が監督責任を軽視させると指摘する。
- 業績評価の欠落: 多くの取締役会は自身の業績評価を行わず、経営陣への厳格な審査も実施しない。業績不振時でも、非効率的なCEOの解任等の措置をほとんど取らず、企業統治が機能不全に陥る。
- 文化と動機付けの問題: バフェットは、取締役が長期の株主価値よりも短期的な名声や社会的地位を優先しがちだと指摘。これはバークシャー・ハサウェイの統治モデルと対照的であり、取締役会は「所有者のように考え行動すべき」と強調する。
バフェットは、取締役会は独立性と責任感をより重視し、真に株主利益を守るべきだと提言。さもなければ企業の長期的価値を損なうとしている。
作成日時: 08-05 08:11:56更新日時: 08-09 02:11:25