狂犬病に罹患した動物の肉(生または加熱済み)を摂取することで感染しますか?
はい、この問題は重要ですので、詳しく説明しますね。できるだけ分かりやすくお伝えします。
狂犬病に感染した動物の肉(生または加熱済み)を食べると、狂犬病に感染する可能性はあるのか?
結論から言いましょう:
理論的なリスクはあります。特に生肉では。しかし実生活で最大の危険は「食べること」自体ではなく、肉を「処理する」過程にあります。したがって、最も安全なのは:絶対に食べないことです!
以下、なぜこの結論になるのか詳しく説明します。
まず狂犬病ウイルスについて理解しましょう
狂犬病ウイルスは「神経系を好む」性質があり、動物の 脳、脊髄、唾液腺 に最も多く存在します。筋肉(通常私たちが食べる「肉」の部分)でのウイルス量は非常に少なく、ほぼ無視できるレベルです。
感染経路も特徴的です。単に食べただけでは感染しません。皮膚や粘膜の傷口(口内炎、歯茎からの出血、目や鼻の粘膜など)から体内に入り、神経を伝って脳に到達することで初めて感染が成立します。
この2点を踏まえて、肉を食べる場合を考えてみましょう。
1. 加熱した肉 を食べる場合
多くの方が気にするシナリオです。良いニュースは、狂犬病ウイルスは熱に非常に弱いということです。
普段の調理温度、例えば沸騰水(100℃)、揚げ物、強火での炒め料理などは、数分でウイルスを完全に死滅させることができます。
したがって、狂犬病に感染した犬の肉でも、完全に、隅々まで十分加熱した状態(※表面だけではなく、中まで完全に火が通っていることが重要です。中が生焼けでは危険)であれば、ウイルスは死滅しているため、食べても安全です。
しかし! ここに重大な「しかし点」があります。詳細は後述します。
2. 生肉 を食べる場合
これは危険性が高まります。筋肉内のウイルス量は少ないとはいえ、全くゼロではありません。さらに危険なのは、動物を屠殺・解体する過程で、ナイフやまな板に、脳や唾液に含まれるウイルスが付着し、それが肉の部分に交差汚染されるリスクがあることです。
そのような汚染された生肉を食べた際に、口腔内、食道、胃の中に傷(口内炎、胃潰瘍など)がたまたまあれば、ウイルスがその傷口から体内に入る可能性があります。
この経路での感染例は世界的に見ても極めて稀ですが、理論的なリスクは明確に存在します。誰も「万が一」の事例にはなりたくないでしょう。
真のリスク源:「食べる」ことより、「処理する」過程のリスクがはるかに高い
さて、ここが最も重要な点です。なぜ全ての保健機関が食べることを強く推奨しないのでしょうか?
その理由は、肉を加熱して食卓に届けるまでの過程に、極めて危険なステップ——屠殺と処理——があるからです。
以下の状況を考えてみてください:
- 屠殺時:狂犬病を発症し狂暴化した動物にかまれたり、引っかかれる危険があります。これは最も直接的で危険な感染経路です。
- 解体処理時:解体処理の過程で、手のささくれや小さな傷から、動物組織(特に神経組織)内のウイルスに接触する危険があります。
- 裁く時:切れ味の良いナイフが手を切る恐れがあります。そしてそのナイフには、ウイルス濃度が最も高い頭部や脊椎に触れた直後である可能性があります。
- 洗浄時:内臓や頭部を処理する際に、ウイルスを含む組織液が目や口の中に飛沫として飛び散る恐れがあります。
これらのリスクは、たとえどれか一つでも「加熱調理後の肉を食べる」リスクの何千倍、何万倍も大きいのです。食材を安全に加熱して食べる段階に至る前に、処理過程で既にウイルスが体内に入るチャンスを得ている可能性が高いのです。
まとめと重要ポイント
- 完全に火を通した肉を食べる場合:理論的には高温でウイルスが死滅するため安全です。しかし、その肉を処理した人が、その過程で感染していないという保証はありません。
- 生、または不十分な加熱の肉を食べる場合:感染リスクが存在します。確率は極めて低いものの、確かにリスクはあります。
- 最大の危険源:肉を「食べること」そのものではなく、病気の動物を「屠殺・解体・洗浄する」という一連の過程です。この過程での曝露リスクが極めて高いです。
- 最善のアドバイス:**** ** 不明、異常行動がある、もしくは狂犬病感染が確認された動物(犬、猫、その他の野生動物を問わず)を、いかなる形であれ食べることは絶対に避けてください!
覚えておいてください。狂犬病は発症すれば致死率は100%で、治療法はありません。ひと口の肉のために、これほどの取り返しのつかない災難のリスクを負う価値は全くありません。おかしな行動をする動物を見かけたら、距離を置き、関連当局に報告して処理を依頼することが、最も安全な選択です。**