投資ポートフォリオにおける債券の役割をどうお考えですか?

作成日時: 8/15/2025更新日時: 8/17/2025
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こんにちは、投資仲間よ!この質問を見て、まさに同志に出会った気がしました。多くの人は投資を始めたばかりの頃、株にしか目が行かず、債券というものは「地味で物足りない」「大儲けできない」と思いがちです。でも、長くやっているとわかるんですよ。成熟した投資ポートフォリオにおいて、債券の役割はまさに「船のバラスト(安定の要)」であり「定海神針(大海原を鎮める針=不動の支柱)」、とてつもなく重要なものなんです。

難解な金融モデルの話は抜きにして、わかりやすい言葉で話しましょう。

あなたの投資ポートフォリオを車に例えてみよう

  • 株式はエンジンだ:それは車の動力源であり、車がどれだけ速く走れるかを決める。相場が良い時には、アクセルを踏み込めばリターンがグングン上がり、スリル満点です。でも、路面状況が悪い時(例えば市場大暴落)、エンジンのかかりが良すぎると、転覆の危険も高まります。
  • では、債券は何か?これは車のブレーキとサスペンション(懸架装置)にあたるんです。

ブレーキやサスペンションのない車で、運転できますか?おそらくちょっとした揺れでバラバラになりそうですね。債券の役割は、あなたの「投資号」という車をもっと安定させ、安全に走らせること。様々な路面状況でも安心して目的地に届けてくれるのです。

では具体的に、債券という「ブレーキとサスペンション」がどう作用するのか、詳しく見ていきましょう。


1. 資産全体の「安定化装置」である

これが債券の最も核となる、古典的な役割です。

株式市場の特徴は変動が激しいことで、ブルマーケット(上昇相場)では皆が浮かれ、ベアマーケット(下降相場)では悲鳴が上がります。一方、特に信用度の高い国債や金融債といった債券は、その価格変動は株式市場との連動性が低く、しばしば逆方向に動くこともあります(これを「負の相関」と言います)。

想像してみてください:

2022年、株価がどんどん下落し、あなたの株式口座は20%も損失が出ていたかもしれません。でも、もし資産の半分が債券であれば、債券部分の下落は1~2%程度、場合によってはプラス収益だったこともあるでしょう。こうして平均すると、元本全体の損失は-20%から-10%程度になります。気分的にかなり楽になりますよね?

こうした市場パニック時に提供される安定性は、あなたが精神的に追い詰められ、非合理的な決断を下すのを防げます。これがグレアム(ベンジャミン・グレアム)の言う「安全域(マージン・オブ・セーフティ)」の考え方が、資産配分に反映された形なのです。

2. 継続的に「給料」を生むキャッシュフロー源である

債券とは、平たく言えば、あなたが国や大企業にお金を貸し、彼らが定期的に利息を払い、満期に元本を返すと約束するものです。

  • 安定した利息収入:この利息はあらかじめ決められており、会社の業績や株価の変動とはほぼ関係ありません。これは固定された「給料」のようなもので、毎年、もしくは四半期ごとに口座に入ってきます。このお金は日々の生活費に充てることも、再投資の元手として使って複利を狙うことも可能です。
  • 心理的な安心感:株式口座が相場変動で乱高下している時でも、債券口座には四半期ごとに必ず利息が入金されるのを見ると、心がずっと落ち着きます。この確実性は、不確実性に満ちた市場において、言葉にならないほど貴重な宝物です。

3. メンタルの「マッサージ師」かつ運用の「安全クッション」

この点が極めて重要、特に一般投資家にとってはそうです。

投資における最大の敵は市場ではなく、自らが制御できない感情です。株式だけを持っている人は、低迷相場において資産が大幅に目減りするのを見て、恐怖から「夜明け前(底)に損切り」してしまいがちです。

しかし、ポートフォリオに債券が含まれている場合は、状況が異なります。市場が暴落しても、債券という「安定化装置」によって資産全体の後退(ドローダウン)幅を抑えられます。「あら?思ったより下がってないな」と思えれば、心が落ち着き、保有する良い株をしっかり保持し続けられ、場合によっては買い増す勇気も湧いてきます。

債券は、あなたがパニックの中、売ってしまうという最悪の決断を避けさせてくれるのです。

4. 好機到来の瞬間における最良の「弾薬庫」

「人が恐怖する時に私は貪欲になる」、誰もが口にしますが、本当にチャンス(訳注:バーゲン価格で買える場面)が訪れた時、そのお金はどこから工面するのでしょうか?

典型的な場面を想像してみましょう:

何らかの予想外の出来事(ブラックスワン)で株価が30%も暴落し、多くの優良企業の株が割安に叩き売られている。これは千載一遇の買い場だ。

  • もし、株式に全額投資していたら:あなたはただ呆然と見ているしかない。全ての資金が含み損に縛られ、身動きが取れないだろう。
  • もし、株式と債券のバランスをとっていれば:この時こそ、落ちず、場合によっては値上がりさえしている債券を落ち着いて売却できる。そしてそれを「弾薬」に変え、不当に過小評価された優良株に正確に「射撃(投資)」できるのです。

わかりましたか?債券は普段は守備を担当している選手のように見えますが、決定的瞬間、それは即座にあなたの「戦略予備部隊」へと変じ、守勢から攻勢へと転じさせてくれるのです。


まとめ(グレアムに立ち返ろう)

『賢明なる投資家(The Intelligent Investor)』の中で、グレアム氏が繰り返し強調したのは、市場を予測する方法ではなく、様々な市場環境に対応できる「投資の規律」(ポリシー)を構築する方法でした。彼が提唱した古典的な「50/50」株式・債券バランス戦略(または市場状況に応じて25/75の間で調整するもの)の本質がまさにここにあります。

投資ポートフォリオにおける債券の役割は、最高のリターンを稼いでもらうためではなく、むしろ:

  1. 変動性を低下させるため – 資産を長く保持し続けられるようになる。
  2. 安定したキャッシュフローを提供するため – 心の底に安心感を持てる。
  3. 極端な市況下であなたの元本を保護するため – 「ゲーム」から退場しなくて済む。
  4. 「底値買い」のための弾薬を確保しておくため – 危機に潜むチャンスを掴める。

だから、債券を単なる高齢者向けの「つまらない」資産だとみなすのはやめましょう。賢明な投資ポートフォリオにおいて、それは欠かせない、知恵が詰まった役回りなのです。一夜にして大金持ちにしてくれるとは限りませんが、長い長い投資マラソンの中で、より安定して、より遠くまで走り抜けられるようにしてくれるものなのです。

作成日時: 08-15 15:58:52更新日時: 08-18 07:46:52