なぜ2型糖尿病患者の中には、診断時に全く症状を自覚していない人がいるのでしょうか?
はい、問題ありません。この疑問は実に多くの方が持たれるものです。病気なのに自覚症状がないのはなぜだろう?と。いくつか例え話を交えてご説明しましょう。
なぜ2型糖尿病患者の中には、診断時に全く症状を自覚していない人がいるのか?
これは非常に良い質問で、多くの人が抱える疑問です。端的に言えば、その理由は 「2型糖尿病の進行が非常に緩やかで“じわじわ”と進むため、体が知らぬ間に適応してしまうから」 です。
まるでカエルの温水煮のように、水温は徐々に上昇するため、カエルは心地良さを感じ、異常に気づいた時には手遅れです。2型糖尿病はまさにその“じわじわ温められるお湯”なのです。
具体的には、主に以下の理由が挙げられます:
1. 2型糖尿病は「のんびり屋」で「忍び寄る達人」
風邪や発熱のように、ウイルスが来ればすぐに体が警報を発し、熱や鼻水といった症状が出るわけではありません。2型糖尿病の進行過程は数年、時には十数年にも及びます。
- 血糖値は徐々に上昇する:今日正常値で明日突然急上昇するわけではなく、長期間かけて正常範囲の上限から、ほんの少しずつ上昇していきます。例えば今日6.2、数ヶ月後6.5、半年後7.0…というように、その過程は非常に緩やかです。
- 体の代償作用:初期段階では、膵臓(血糖値を下げるインスリンを分泌する器官)が懸命に働き、残業してでもより多くのインスリンを分泌し、血糖値を正常レベルに“抑え込もう”とします。したがって、長い間、体内では既に問題(「インスリン抵抗性」と呼ばれます)が起きていても、血糖値は正常または境界域内に収まっている可能性があり、当然ながら何も感じません。
2. 人体の「耐性」が強く、次第に適応してしまう
人体には非常に高い適応能力があります。血糖値がわずかに上昇しただけなら、体は「うーん、まあ大丈夫そうだ、受け入れられる」と判断し、この少し高い状態に徐々に慣れてしまうのです。
これらの軽微な初期サインは、簡単に見逃されたり、他の理由に帰結されたりしがちです:
- 少し喉が渇いた? → 今日は水分摂取が少なかったのか、あるいは空気が乾燥しているせいだろう。
- 少し疲れた感じ? → きっと最近仕事が忙しくて、よく眠れていないからだ。
- トイレの回数が少し増えた? → 水を飲みすぎたんだろう。
ご覧の通り、これらの「症状」はあまりにも典型的ではなく、まさか病気だとは思いもよらないでしょう。血糖値が一定以上に高くなり、体が本当に「耐えられない」状態になって初めて、典型的な「三多一少」(多飲・多尿・多食・体重減少)の症状が現れるのです。
3. 「症状が爆発する」ポイントに達していない
無症状の患者の多くは、「症状が爆発する」前に、他の経路で発見されています。彼らの血糖値は既に糖尿病の診断基準(例:空腹時血糖値 ≥ 7.0 mmol/L)に達しているものの、体に深刻な不快感を引き起こすほどには高くなっていないのです。
これは、タイヤがゆっくりと空気漏れしているようなものです。毎日見ていても変化に気づかず、空気圧計で測ってみて初めて基準値を下回っていることがわかります。タイヤがペシャンコになって運転に支障が出る頃には、問題は既に深刻化しているのです。
では、これらの無症状の患者は、通常どのように発見されるのか?
これが肝心です!彼らの多くは、以下のような方法で「偶然」発見されます:
- 職場や地域の定期健康診断:これが最も一般的な発見経路です。血液検査で血糖値が基準値を超えていることが判明します。
- 他の病気で医師を受診した際:例えば皮膚感染症、視力低下、あるいは心血管系の問題で受診した際、医師がついでに血糖値を測り、糖尿病が発覚するケースです。
- 手術前のルーチン検査:手術前には一連の検査が行われ、その中に血糖値検査も含まれます。これにより多くの人がスクリーニングされます。
まとめ
だからこそ、「私はとても健康だし、何でもおいしく食べられるから、絶対に病気じゃない」と思い込むのはやめましょう。
2型糖尿病は初期段階では“沈黙の殺し屋” なのです。それは静かに忍び寄り、あなたが全く気づかないうちに、血管や神経をじわじわと傷つけていきます。明らかな症状が現れた時には、多くの場合、血糖値が長期間にわたって制御不能な状態にあり、体に既に何らかの不可逆的なダメージを与えている可能性が高いのです。
したがって、症状が出てから血糖値を気にするのでは遅すぎます。 定期的な健康診断は本当に非常に重要です!特に家族歴がある方、肥満気味の方、40歳以上の方々は、年に一度血糖値を検査することが、ご自身の健康に対する最良の保険となるのです。