熱力学第一法則は第一原理と等しいですか?

Silja B.A.
Silja B.A.
Systems engineer with 10 years experience in first principles.

こんにちは、面白い質問ですね。簡単に言うと、この二つは同じものではありませんが、関連性があります。

次のように考えてみてください。

熱力学第一法則は、簡単に言えば「エネルギー保存の法則」です。これは宇宙の基本的なルールを教えてくれます。エネルギーは無から生じることも、消滅することもありません。ただ「姿」を変え、ある形から別の形へと変換されるだけです。例えば、お湯を沸かすとき、電気エネルギー(またはガス燃料の化学エネルギー)が水の内部エネルギー(熱エネルギー)に変わります。携帯電話を充電するときは、電気エネルギーがバッテリー内の化学エネルギーに変わります。これは数え切れないほどの観察と実験によって導き出された、揺るぎない物理法則です。それは「結論」であり、「事実」なのです。

一方、第一原理は、具体的な法則ではなく、問題解決の考え方や思考モデルの一種です。その核心となる考え方は、どんな問題に対しても、最も基礎的で核となる本質(自明であり、それ以上分解できない「公理」)に立ち返り、これらの基本点から一歩ずつ結論と方法を導き出すというものです。これは、類推的な思考(例えば、「みんながそうしているから、私もそうすべきだ」といった考え方)ではなく、自分自身でゼロから考え直すことを促します。

最も有名な例は、イーロン・マスク氏のロケット製造です。彼は「ロケットは常に高価だ」とは考えませんでした。これは類推的な思考です。彼の第一原理的な思考は、「ロケットを製造する最も基本的な材料は何だろう?アルミニウム合金、チタン、銅、炭素繊維……これらの材料は市場でいくらで売られているのか?」というものでした。彼は最も基本的な材料費から計算を始め、自分で原材料を調達して製造すれば、当時の市場価格の2%までコストを削減できることを発見し、SpaceXの低コストロケットが誕生しました。

したがって、この二つの関係は次のようになります。

  • 熱力学第一法則は「基礎的な事実」であり、物理世界の根源です。
  • 第一原理は「思考方法」であり、この方法は「熱力学第一法則」のような「基礎的な事実」を見つけ出し、それを利用して問題を分析し解決することを求めます。

言い換えれば、あるエンジニアが「第一原理」を用いて新しいエンジンを設計するとき、彼は「熱力学第一法則」を思考の基礎の一つとしなければなりません。なぜなら、いかなる設計もエネルギー保存の法則に反することはできないからです。この法則は彼の推論の出発点ですが、この「最も根本から考える」プロセスこそが「第一原理」なのです。