チャーリー・マンガーがデイリー・ジャーナル社を通じてアリババに投資した際、その意思決定プロセスにはどのような判断ロジックが反映されていましたか?
チャーリー・マンガーがアリババへの投資を決めたプロセスについてですね、これはなかなか興味深い話です。専門家というわけではありませんが、長年株をやってきて、マンガーやバフェットの考え方から多くを学んできたベテラン個人投資家としてお話しします。マンガーは自身が率いるデイリー・ジャーナル社(小さな新聞社)を通じて2021年にアリババ株を購入し、その後株価が大暴落した際にはさらに買い増しました。これは彼の「バリュー投資」のスタイル——流行を追わず、長期的な視点に立つ姿勢——を表しています。彼の核心的な判断ロジックを、できるだけ平易な言葉で、堅苦しくなくお茶を飲みながら話すように説明してみましょう。
1. 企業の本質を見る、短期的なノイズに惑わされない
マンガーがアリババに投資した第一の理由は、この会社の「強さ」を見抜いたからです。アリババは中国EC市場の王者であり、アメリカのアマゾンとeBayを合わせたような存在で、膨大なユーザーとデータを掌握しています。マンガーは同社が「堀(モート)」——他者が真似できない優位性、例えばタオバオや天猫(Tmall)のネットワーク効果(ユーザーが増えれば増えるほど便利になる)——を持っていると確信していました。中国政府の規制(独占禁止法調査など)や米中貿易摩擦といった短期的な悪材料は気にしません。これらは彼の目には一時的な「ノイズ」に過ぎず、アリババの中核ビジネスを破壊するものではないと考えたのです。簡単に言えば、彼は家を買う時に、立地や構造を見て判断し、壁のひび割れにはこだわらないようなものです。
2. 割安な価格で仕掛け、安全域(マージン・オブ・セーフティ)を追求する
マンガーはバフェットの影響を受けた筋金入りのバリュー投資家です。彼がアリババを買った時、株価は高値から大幅に下落していました(2021年初頭の購入時、時価総額は半値以下に)。市場が過剰にパニック状態に陥り、株価が会社の真の価値(本質的価値)を大きく下回っていると彼は判断しました。これが「安全域」——何か問題が起きても大きく損をしないほど十分に安い価格で買うこと——です。マンガーは「投資はポーカーのようなもの、良い手札が来るのを待ってから賭けに出るべきだ」と言っています。彼はアリババのクラウド事業や海外展開といった長期的な収益力が過小評価されていると考え、ためらいなく買いを実行したのです。一般の人には、繁盛期に人気商品を奪い合うのではなく、スーパーのタイムセールで良品を買うイメージで考えればいいでしょう。
3. 逆張りの思考:他人が恐れる時に貪欲になる
これはマンガーの代名詞とも言える考え方です。2021年にアリババ株が暴落し、誰もが中国の政策リスクを恐れていた時、マンガーは逆に買い増しました(デイリー・ジャーナル社の保有報告書で確認できます)。彼はバフェットの言葉「他人が恐れる時に貪欲に、他人が貪欲な時に恐れよ」を引用しています。マンガーは流れに乗らず、市場が感情的になっている時こそ、お買い得品を拾うチャンスだと考えたのです。彼は中国経済に自信を持ち、アリババが「国の代表企業」として簡単につぶれることはないと確信していました。BYD(ビーワイディー)への投資と同じく、マンガーはリスクがあっても新興市場の将来性に賭けることを厭わないのです。
4. 長期保有、値動きは気にしない
マンガーの投資は「株の売買」ではなく「ビジネスの買収」です。彼はアリババ株を数年保有し続け、株価が200ドル超から70ドル台まで落ち込んでも慌てませんでした(2023年時点でも保有継続)。彼のロジックはこうです:優良企業は時間が経てばその価値を証明する。100歳に近いマンガーは数えきれないほどの市場暴落を経験しており、短期的な値動きは当たり前で、重要なのは企業が持続的に利益を生み出せるかどうかだと知っています。一般の投資家へのアドバイス:毎日株価をチェックするな。木を育てるように、成長を辛抱強く待て。
要するに、マンガーの決断は運ではなく、会社の本質、価格、そして人間心理に対する深い洞察に基づいています。彼自身がこの投資について詳細を公に説明したことはありません(マンガーは控えめです)が、彼の発言やデイリー・ジャーナル社の動きから、これらのロジックは明らかです。もちろん、投資にはリスクが伴い、アリババはその後政策の影響で大きく値を下げ、マンガーも損失を被りました。しかし、彼のスタイルはまさにこれ——短期決戦を求めず、長期的な勝利を目指すことです。もしバリュー投資を学びたいなら、マンガーの著書『Poor Charlie's Almanack: The Wit and Wisdom of Charles T. Munger』(邦題:『となりの億万長者 知恵と富を生み出す「マンガーの哲学」』)から始めるといいでしょう。このような知恵が詰まっていますよ。何か質問があれば、また聞いてください!