同じ抹茶でも風味が異なるのはなぜ?
同じ種類の抹茶製品であっても、風味は様々な要因によって異なることがあります。主な原因は以下の通りです。
1. 点て方の影響
- 水温: 水温が高すぎると(80°C以上など)、抹茶に含まれる苦味成分(カテキンなど)が過剰に抽出され、苦みが強くなります。逆に水温が低すぎると(70°C以下など)、抹茶の旨味や甘みが十分に引き出されません。
- 混ぜ方(点て方): 茶筅(ちゃせん)で混ぜる際、力加減や速度が不均一だと、抹茶粉が十分に溶けず、ざらつきや風味のムラが生じます。理想的な状態は、素早く、かつ優しく点ててきめ細やかな泡を立てることです。
- 水量比: 水量が多すぎると抹茶の濃度が薄まり、風味が希薄になります。水量が少なすぎると濃くなりすぎ、抹茶の繊細な香りを覆い隠してしまう可能性があります。標準的な比率は、抹茶粉1gに対して水60~80mlが目安です。
2. 保存条件の変化
- 酸化と光: 抹茶は抗酸化物質を豊富に含みますが、空気、光、または高温にさらされると酸化が促進され、風味が薄れたり、古くなったような匂いや青臭さが出たりします。理想的な保存方法は、密閉し、光を避け、冷蔵することです。
- 湿度: 環境の湿度が高すぎると、抹茶が湿気を吸って固まり、溶けにくくなったり風味の放出が妨げられたりします。逆に湿度が低すぎると、抹茶が乾燥して風味が失われる可能性があります。
- 保存期間: 同じバッチの抹茶であっても、保存期間が長くなる(3~6ヶ月以上)と、徐々に抹茶の鮮度や香りの強度が低下します。
3. 品質要因の変動
- バッチごとの違い: 同じ種類の抹茶でも、製造バッチによって、茶葉の原料(摘採時期、茶園の場所など)や加工工程(石臼の挽き具合など)のわずかな違いが、風味の微妙な差となって現れることがあります。
- 鮮度: 抹茶は生のお茶の粉であり、鮮度が非常に重要です。開封後、空気に触れる回数が増えるにつれて、揮発性の香り成分が徐々に失われていきます。
- 不純物や汚染: 保存中や点てる過程で、他の物質(油分、異臭など)が混入すると、風味を変化させる可能性があります。
4. その他の外的要因
- 水質: 硬水(ミネラル分が多い水)は抹茶の渋みを強める可能性があり、軟水は旨味を引き出しやすいです。
- 個人の味覚: 飲む人の味覚の感度、健康状態、または食習慣(甘いものを食べた直後など)が、主観的に風味の感じ方に影響を与えることがあります。
風味の一貫性を保つためには、新鮮な抹茶を使用し、点てる際の条件(水温75~80°C、十分に混ぜる)を厳密に管理し、密閉して光を避けて保存することが推奨されます。