日本の麦芽処理にはどのような独自の方法がありますか?

太郎 晃
太郎 晃
Japanese whisky historian and avid collector.

日本のウイスキーにおけるモルト処理の独自性について話すのは、非常に興味深いことです。彼らが何か神秘的な独自の技術を持っていると思うかもしれませんが、その核心は新しい方法を「発明」したことではなく、「選択」と「精密な操作」を極限まで追求したことにあります。

簡単に言えば、主に以下の点に現れています。

1. カラーパレットのようにモルトを選ぶ

これは最も核心的な点と言えるでしょう。スコットランドの多くの蒸留所、特にシングルモルトウイスキーの蒸留所は、象徴的な「蒸留所スタイル」を確立することに注力しており、そのため使用するモルトの配合は長年変わらないかもしれません。

しかし、日本は異なります。特にサントリーやニッカのような大企業は、一つの蒸留所で様々な風味の異なる原酒を生産し、最終的にブレンダーが複雑で奥深い製品をブレンドすることを目指しています。

ですから、彼らは画家が単一の絵の具しか持たないのとは異なり、巨大なカラーパレットを持っています。

  • 多様な供給源: 彼らのモルトの大部分は、スコットランドやオーストラリアなどから輸入されています。彼らは異なる産地、異なる品種の大麦から作られたモルトを慎重に選びます。
  • 異なるピートレベル: 彼らはノンピート、ライトピート、ミディアムピート、さらにはヘビーピートスタイルのモルトを同時に調達します。同じ蒸留所内で、今週はノンピートのフレッシュな原酒を生産し、来週はスモーキーなピート原酒を製造するといったことが行われます。これはスコットランドでは比較的珍しいことです。

率直に言えば、彼らはモルトという源流から、最終的な「ブレンド」の芸術のために準備をしており、可能な限り多くの異なる風味の「パーツ」を生み出しているのです。

2. 「ピート」の抑制と精密な使用

日本ウイスキーの祖である竹鶴政孝はスコットランドで学び、ピート技術も持ち帰りましたが、日本人はただ「ヘビーな味わい」を追求したわけではありません。

彼らはピートの使用において非常に抑制的かつ正確です。スコットランドのアイラ島のような、消毒液や正露丸のような香りが押し寄せる日本ウイスキーを飲むことはほとんどありません。日本のピートフレーバーは、多くの場合「アクセント」であり、料理に風味を加えるスパイスのように、全体の風味に優雅に溶け込み、深みと複雑な背景の香りを提供し、主役ではありません。例えば、余市(Yoichi)のピート香は比較的はっきりしており、男性的な力強さがありますが、山崎(Yamazaki)では、わずかにスモーキーなモルトを使用して酒体の複雑さを増すことがあります。

3. 極限のディテールコントロール

日本人の、ほとんど偏執的とも言える職人精神は、モルト処理の次の工程である糖化(Mashing)において遺憾なく発揮されています。

  • 粉砕精度: モルトを粉砕(Grist)する際、彼らは異なる粗さの粉末の比率を正確に制御します。これは糖化効率と最終的な麦汁(Wort)の風味に直接影響するためです。
  • 水質と温度: 日本は良質な軟水で知られており、これはクリアで純粋な酒体を醸造する上で極めて重要です。糖化の過程では、彼らは注水温度の制御を非常に厳しく行い、段階的な昇温などの複雑な工程を採用して、モルトから糖分と風味物質を最大限に抽出します。
  • 麦汁の清澄度: これは非常に重要な技術点です。彼らはろ過速度を制御することで、異なる清澄度の麦汁を得ることができます。非常にクリアな麦汁を発酵させると、より軽やかでフルーティーな香りの豊かな酒が得られます。一方、わずかに濁った麦汁は、より豊かで穀物の油分を感じさせる酒体をもたらします。一つの蒸留所が意図的にこれら2種類、あるいはそれ以上の異なるスタイルの麦汁を生産するのは、やはり多様な原酒を生み出すためです。

したがって、まとめると、日本のモルト処理における独自性は、彼らが「秘伝のモルト」を持っていることではなく、「どのようにモルトを選び、使用するか」という哲学にあると言えます。彼らは熟練のシェフのようです。自分で野菜を育てるわけではありませんが、世界中の最高の食材を手に入れ、非常に繊細な調理法で様々な風味の料理を組み合わせ、最終的にそれらの料理の粋を集めて完璧な饗宴を創り出すのです。