それはほとんど不可能であり、普通ではありません。
製品への情熱を恋愛に例えてみましょう。
最初は、まさに「熱愛期」。頭の中は製品のことでいっぱいで、何を見ても完璧に見えます。新機能をデザインするのは、恋人へのサプライズを用意するようなもの。最初のユーザー登録は、初めて手をつないだ時のように、何日も幸せな気分にさせてくれます。この時期は、毎朝目覚めるたびに、すぐにでも製品のために何かしたいと、うずうずするでしょう。
しかし、時が経つにつれて、「日常」の段階に入ります。
製品には様々な欠陥(バグ)があり、いくら直してもキリがないことに気づくでしょう。理不尽なユーザーに遭遇し、苦労して作った機能に対して罵声を浴びせられることもあります。さらに、真夜中のサーバーダウン、競合他社による模倣、多額のプロモーション費用をかけたのに効果が出ないなど、些細ながらも頭を悩ませる問題に対処しなければなりません。
そんな時、情熱は湧きません。ただイライラし、疲れ果て、人生を疑うことさえあるでしょう。「今日誰が皿を洗うか」とか「またトイレが詰まった」といったことに情熱を感じないのと同じです。
では、何があなたを続けさせるのでしょうか?
それは毎日ある「情熱」(Passion)ではなく、あなたの心の奥底にある、そのことへの「愛情」(Love)と「責任」(Responsibility)です。
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愛情とは、あなたがこの製品をなぜ作り始めたのか、その原点です。それは、あなた自身も苦しんでいた問題を解決するためでしたか?それとも、より良い世界を創造するためでしたか?この「初心」こそがあなたの精神的な支えとなります。現実に打ちのめされ、傷だらけになった時、それはあなたがなぜ出発したのかを思い出させてくれるでしょう。
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責任とは、ユーザーへの約束、チームへの約束、そしてあなた自身が掲げた目標への約束です。ユーザーはあなたの製品を使っています。彼らが問題に直面したら、あなたは解決しなければなりません。チームはあなたについてきています。あなたは簡単に諦めることはできません。
情熱は花火のように華やかですが、短命です。一方、愛情と責任は、毎日食べる食事のようなもので、地味ですが、あなたを生かし続ける力となります。
だから、毎日情熱に満ちていることを自分に強要しないでください。気分が落ち込んだり、文句を言いたくなったり、諦めたくなったりする時があってもいいのです。これらはすべて、起業という「スーパーマラソン」においてごく自然な一部です。
本当の成熟とは、常に情熱を保ち続けることではなく、情熱が薄れた時でも、愛情と責任によって、なすべきことをきちんとやり遂げることです。たまに、あなたの製品が誰かの役に立ち、心からの感謝の言葉を受け取ったり、チームと大きな課題を乗り越えたりした時、あの懐かしい情熱が充電されたかのように突然戻ってきて、「ああ、これまでの苦労も報われたな」と感じさせてくれるでしょう。