「マクロ経済の予測は無駄である」とされていますが、ウォーレン・バフェットが2008年の金融危機の際に米国経済に公然と賭けたことは、この原則に反するのではないでしょうか?

作成日時: 7/30/2025更新日時: 8/17/2025
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バフェット「マクロ経済予測は無益」の原則と2008年行動の分析

バフェットは複数の株主への手紙で、金利・インフレ・景気循環などのマクロ経済動向を予測しようとする行為は無益だと繰り返し強調している。彼は投資家が短期のマクロ変動ではなく、企業の本源的価値と長期的競争力に集中すべきだと主張する。例えば1987年の株主への手紙でこう記している:「我々は株式市場や経済の動向を予測しようとはしない。それは時間の無駄だ」

2008年金融危機における「公の賭け」

2008年金融危機のピーク時、バフェットは10月にニューヨーク・タイムズ紙へ『Buy American. I Am.(米国株を買え。私がそうしている)』と題した記事を寄稿。米国経済への自信を公に表明し、バークシャー・ハサウェイがゴールドマン・サックスやゼネラル・エレクトリックなど米国株を購入中であることを明かした。当時市場は極度の恐慌状態でダウ平均は暴落、多くの専門家が長期不況を予測する中で、これは米国経済への「賭け」と見なされた。

原則との矛盾か?

矛盾しない。一見矛盾するが、本質的にバフェットの投資戦略に合致する。理由は以下の通り:

  • 短期予測ではなく長期信念:バフェットの「賭け」は危機収束時期やGDP回復時期といったマクロ経済の短期予測に基づくものではなく、「短期的には悪材料があっても長期的に米国経済は繁栄を続ける」という確固たる楽観論に根差す(記事内で明言)。これは「マクロ予測を避けつつ歴史的趨勢と複利の力を信じる」という自身の原則と一致する。

  • バリュー投資の核心:典型的な「恐怖の中で貪欲になれ」の実践。彼はマクロ経済学者ではなくバリュー投資家であり、過小評価された優良資産に注目する。2008年の買いは経済予測ではなく企業評価(例:ゴールドマン・サックスの本源的価値)に基づく行動で、「マクロノイズを無視し企業本質に集中せよ」という株主への提言と整合する。

  • 歴史的一貫性:同様の行動はバフェットの経歴で繰り返し見られる。1973-74年のベアマーケットでも大規模買いを行ったが、経済予測を主張したことはない。2011年の株主への手紙でこう回顧している:「我々は経済予測を試みたことはないが、米国が前進し続けると常に想定している」

投資戦略への示唆

バフェットの事例が示す教訓:

  • マクロ予測は感情や不確実性に左右され信頼性が低い
  • 成功投資は長期視点・忍耐力・優良資産の見極めに依存する
  • 危機における機会は精密予測ではなく市場の恐慌から生まれる

結論として、バフェットの2008年行動は彼の原則と矛盾せず、むしろ強化するものだ。これはマクロを予測せずに、信念と価値に基づいて投資する方法を体現している。

作成日時: 08-05 08:03:12更新日時: 08-09 02:06:50