もちろん可能です。しかし、これは急ぐべきことではなく、無理強いするものでもありません。むしろ、電灯をつけるというよりは、木を植えるようなものです。
「自来水(じらいすい)」という言葉は非常に的を射ています。これは、ユーザーがまるで水道の蛇口から出る水のように、自ら進んで次々とあなたの製品を宣伝してくれる、という意味です。考えてみてください。あなたは通常、どのような状況で、特に何かを友人に勧めたいと思いますか?
おそらく、以下の2つのケースでしょう。
- 「うわ、これ、すごい!」 —— 製品があなたの期待をはるかに超えて使いやすく、大きな課題を解決してくれたり、あるいは、自分自身が賢くなった、あるいは有能になったと感じさせてくれたりする時です。あなたがそれを共有するのは、一つには心から友人のためを思ってのことですが、もう一つは、実は自分のセンスや良いものを見つける能力をアピールしているのです。
- 「これは私を表している。」 —— 製品があなたの価値観と一致し、その理念に共感し、それを使うことがアイデンティティの一部となっている時です。あなたがそれを共有するのは、「ねえ、見て、私はこういう人間なんだ」と他人に伝えているようなものです。
ですから、ユーザーに「自来水」になってもらいたいなら、「グロースハック」のような奇抜な手法ばかりを研究しようとしないでください。それらはあくまで「錦上添花(きんじょうてんか)」、つまり、すでにある良いものにさらに彩りを加えるものです。あなたは最も根本的な部分に戻り、2つのことをしっかり行う必要があります。
第一に、あなたの製品を徹底的に磨き上げ、少なくとも一つ「絶叫ポイント」を持たせることです。
この「絶叫ポイント」とは、ユーザーが体験した時に思わず「うわー!」と声が出てしまうような瞬間です。あなたの製品の機能は多くないかもしれませんが、核となる機能は他社のものより10倍使いやすくあるべきです。驚くほど速いかもしれませんし、画面を舐めたくなるほど美しいデザインかもしれませんし、あるいは、問題解決の方法が巧妙すぎて、思わず膝を打つほど素晴らしいものかもしれません。
率直に言えば、あなたの製品は、砂漠で喉が渇き死にそうな人の手に差し出された一杯の冷たい水のようなものでなければなりません。その人は一口飲んだら、間違いなく周りのすべての人に「早く飲みに行け!そこに水があるぞ!」と言うでしょう。あなたはまず「喉が渇き死にそうな人」を見つけ、それから彼らに「冷たい水」を一杯与える必要があります。
第二に、ユーザーが「思わず共有したくなる」ような状況を作り出すことです。
良い製品があるだけでは不十分です。ユーザーに共有する理由ときっかけを与える必要があります。
- 結果志向の共有: ユーザーがあなたの製品を使ってクールなものを作り出した時、例えば、美しいデザイン画、興味深いデータ分析レポート、ゲームでのハイスコア記録などです。この時、便利な「共有」または「自慢」ボタンを提供すれば、彼は自然とソーシャルネットワークに投稿したくなるでしょう。
- コラボレーションの必要性: Feishu(飛書)やNotionのようなツールでは、他の人と一緒に使いたい場合、相手にリンクを送る必要があります。これが自然な形で拡散を生み出します。
- 利益による動機付け: これは最も直接的ですが、最も注意が必要です。例えば、「友人を招待すると、両者に1ヶ月の無料会員期間をプレゼント」といったものです。この方法は有効ですが、前提としてあなたの製品自体が有料の価値があることです。そうでなければ、無料で提供しても誰も欲しがらず、かえって安っぽく見えてしまいます。
- アイデンティティと感情的なつながり: あなたの製品を最も愛してくれる最初のユーザーを見つけ、彼らを(例えばWeChatグループを作るなどして)集め、彼らの意見に真剣に耳を傾け、参加意識と帰属意識を持たせることです。彼らはあなたの最も忠実な「自来水」となるでしょう。なぜなら、彼らはこれを「私たち」の製品だと感じるからです。
まとめると、ユーザーをあなたが利用すべき「トラフィック」としてではなく、あなたがサービスを提供すべき「人間」として扱ってください。彼らに大きな価値をもたらし、驚きを与える製品を心を込めて作り、そして、彼らと誠実に友人関係を築いてください。彼らが心からあなたとあなたの製品を認めた時、「自来水」は自然と現れるでしょう。