ユーザーの方が私よりも賢いのでしょうか?

Anthony Smith
Anthony Smith

兄貴、その質問は本当に良い質問だ。多くのプロダクト開発者や技術者が考え込んできたことだよ。

この件は分けて考えるべきだ。どちらが賢いかという問題ではなく、役割分担と視点が全く異なるんだ。

例を挙げてみよう。君は世界最高のエンジンを作れるトップクラスの自動車エンジニアで、部品一つ一つの原理やパラメーターの意味を知っている。一方、君のユーザーは、毎日長距離を運転するトラック運転手だ。

「車の作り方」に関しては、君が間違いなく専門家で、彼とは比べ物にならない。

しかし、「車の運転の仕方」や「この車が実際に使いやすいかどうか」に関しては、彼こそが専門家だ。どのブレーキパッドがより摩耗しにくいか、シートをどの角度に調整すれば一日運転しても腰が痛くならないか、君がデザインしたクールに見えるタッチスクリーンが、でこぼこ道でどれほど使いにくいかを知っている。彼は君が全く考えもしなかった方法で車を使うことさえあるだろう。例えば、シガーソケットで卵を茹でるなんてことまで(笑わないでくれ、本当にそういうことがあるんだ)。

この時、彼が君より愚かだと言えるだろうか?言えない。なぜなら、彼自身の領域では、彼のニーズと状況においては、彼の方がはるかにプロフェッショナルだからだ。

我々がプロダクトを作る場合も同じことだ。

君はエンジニアであり、「ソリューション」の専門家だ。機能の実現方法、最も安定したアーキテクチャ、最も効率的なアルゴリズムを知っている。

一方、ユーザーは「問題」の専門家だ。彼自身の仕事の流れがどうなっているか、どのステップが最も面倒か、どこが最も時間を無駄にしているかを最もよく知っている。彼は技術を全く理解していないかもしれないが、最も直感的に君にこう伝えることができるだろう。「このソフトウェア、レポートをエクスポートするたびに5分も待たされるんだ。もう上司に散々怒鳴られたよ。」

ほら、彼は解決策を提示できないが、最も致命的な問題を指摘できるんだ。

だから、「ユーザーは自分より賢いのか?」などという考えは決して持たないでほしい。そんな考えでは、ユーザーの声に耳を傾けられなくなる。君の賢さは、ユーザーの「不器用なやり方」や「単純な要求」をいかに深く理解し、そして君の技術力で、彼を唸らせるような解決策を提示することに使うべきだ。

覚えておいてほしい。ユーザーは常に自分自身のことを君よりよく知っている。君の仕事は、この「専門家」にしっかり奉仕することだ。