君の質問はまさに核心を突いているね。こう考えてみよう。君が技術パートナーとして解決するのは「どうやって物を作るか」という問題だ。一方、ストーリーを語れるパートナーが解決するのは「どうやって他人に私たちを信じてもらうか」という問題だ。この二つは同じくらい重要なんだ。
「うちの製品はすごい、機能も強力だ、それで十分じゃないか?」と思うかもしれない。いや、それでは全く足りない。
考えてみてほしい。良い製品が誕生してから成功するまでに、いくつのハードルを越える必要があるだろうか?
第一のハードル:投資家を見つける。 投資家は一日に何十ものプロジェクトを見る。そのほとんどが技術畑出身の創業者で、「うちのアーキテクチャはマイクロサービスで、技術スタックはXXX、QPSは数十万に達します」とばかり話す。投資家はうんざりしてしまうだろう。彼らが聞きたいのは何だろう?それは彼らをワクワクさせるストーリーだ。例えば、「私たちは巨大な市場のペインポイントを発見しました。毎年XXX億円もの市場が見過ごされており、私たちの製品はそれを完璧に解決できます。今後3年で、この分野のNo.1になります。」 ほら、これがストーリーだ。彼らが投資するのは君のコードではなく、このストーリーが持つ未来の可能性なんだ。ストーリーを語れるパートナーは、君の技術を投資家が聞きたい「夢と金」に翻訳することができる。
第二のハードル:コアメンバーを募集する。 創業初期は、お金も知名度もない。なぜ優秀な人材が大企業の高給を捨てて君と一緒に働くのか?ストックオプションに頼る?それも未来の「絵に描いた餅」だ。どうすればこの「餅」を大きく、丸く、美味しそうに見せられるか?ストーリーに頼るんだ。 君のストーリーパートナーは彼らにこう語るだろう。「私たちはまだ小さいが、業界を変えるようなことをしている。今参加すれば、君は創業メンバーだ。想像してみてほしい。3年後に上場し、君は経済的自由を手に入れるだけでなく、自らの手で伝説を築いたことになる。」他人の心に火をつけ、苦労を共にすることをいとわないと思わせられるかどうかは、ストーリーの語り方にかかっている。
第三のハードル:最初のユーザーを見つける。 ユーザーは君の技術的な詳細では購入しない。彼らが気にするのは、君の製品がどんな問題を解決してくれるのか?私の生活や仕事をどれだけ良くしてくれるのか?ということだけだ。 「うちのアプリは最新のAIモデルを使っています」としか言えない創業者よりも、「毎日2時間もかけて表を整理するのにうんざりしていませんか?私たちのツールを使えば、ワンクリックで1分で完了。残りの時間はコーヒーでも飲んでください」と言える創業者の方がはるかに魅力的だ。後者は「あなた」についてのストーリーを語り、共感を呼ぶ。
では、ストーリーを語れるパートナーとは一体どんな役割なのか?
彼はただの口達者な詐欺師ではない。彼はむしろ「翻訳者」であり「増幅器」だ。
- 翻訳者:君の複雑でハードコアな技術を、投資家、ユーザー、従業員が理解でき、信じたくなるような言葉に翻訳する。
- 増幅器:君の製品の80点の長所を、120点の魅力に増幅させ、君が見ている未来を他人も見られるようにする。
君たち二人の関係は、まるで最高の監督(君、作品を作る担当)と最高のプロデューサー兼宣伝担当(彼、投資を集め、役者を見つけ、宣伝をする担当)のようだ。どちらが欠けても、映画は失敗に終わるかもしれない。
だから、ためらわないでほしい。もし君自身がこれが苦手なら、そのような人を見つけることは、間違いなく創業の成功率を倍増させる選択だ。その人は君の製品を本当に理解し、心から成功を信じているのが一番だ。誠実なストーリーだけが、最も人の心を動かすのだから。