こう考えてみてください。経済全体を一人の人間の体に例えるなら、銀行システムはその体の「心血管系」にあたります。お金(つまり「血液」)を、企業や家庭など、必要なあらゆる場所に送り届ける役割を担っています。
そう考えると、金融危機は体が重篤な心血管疾患、例えば心臓病や広範囲な血栓を患うようなものです。その中で銀行が果たす役割は少々複雑で、病気の原因でもあり、症状でもあり、最終的には救命される対象でもあります。
具体的には、以下のような役割があります。
1. 「トラブルメーカー」と「ギャンブラー」——危機の製造者
危機が勃発する前は、往々にして銀行が「やりすぎた」結果です。
- 安易な融資: 市場が好調な時、銀行はより多くの利益を得るために融資条件を緩和します。本来なら信用があり、返済能力のある人に貸すべきところを、返済能力がほとんどない人にも融資してしまいます。最も典型的な例は2008年の米国サブプライムローン危機で、銀行は信用力の低い人々に大量の資金を貸し付けて住宅を購入させました。これは、運転があまり得意でない人にフェラーリを与えるようなもので、事故が起こるのは時間の問題です。
- 高リスクなゲーム: 銀行は融資利息という「わずかなお金」を稼ぐだけでは満足しません。彼らは上記の「当てにならない」融資をまとめて、一見すると高度な金融商品(MBSやCDOといった聞き覚えのある言葉など)を作り、他の人々に販売します。さらに厄介なことに、彼らはしばしば「レバレッジ」、つまり借りたお金を使ってより大きなゲームを仕掛けます。ひとたび市場の風向きが変わると、これらの複雑で高リスクな投資が爆発し、莫大な損失を被ることになります。
2. 「ドミノ倒し」——危機の増幅器
一つの銀行が問題を起こすと、なぜ世界中が巻き込まれるのでしょうか?それは、銀行同士が密接に繋がっているからです。
- 相互の債務: 銀行間も互いに資金を貸し借りしています。A銀行が破綻すれば、B銀行への債務が返済できなくなり、B銀行も問題に直面し、C銀行、D銀行へと連鎖します……まるで最初のドミノ牌が倒れると、次々と多くの牌が倒れていくかのようです。2008年にリーマン・ブラザーズが破綻した際、ウォール街全体がその寒気を肌で感じたのは、このためです。
- 「血液供給」の遮断: 危機が訪れると、銀行は皆恐れをなし、誰もが資金を貸し渋るようになります。彼らは直ちに融資を引き締め、これを「信用収縮」と呼びます。これは、体内の血管が突然収縮し、血液が流れなくなるようなものです。企業は生産拡大のための資金を借りられず、事業の維持さえ困難になり、人員削減を余儀なくされます。一般の人々も住宅や車のローンを組めなくなり、消費は落ち込みます。こうして経済活動全体が「凍結」されてしまうのです。
3. 「救助を待つ患者」——危機の被災者
やりすぎた結果、銀行自身も最大の被害者となります。彼らが抱える資産(例えば回収不能な融資)は無価値になり、株価は暴落し、破綻の危機に直面することさえあります。
しかし問題は、銀行というこの「患者」が非常に特殊で、「大きすぎて潰せない」ということです。もし大手銀行が倒産するに任せれば、国全体の「心血管系」が麻痺し、経済は完全に崩壊してしまいます。そのため、この時、政府(つまり「医者」)は介入せざるを得なくなるのです。
- 政府による救済(Bailout): 政府は納税者の資金を投入して銀行に資本注入し、彼らが困難を乗り越えるのを助けます。この件は大きな議論を呼びます。なぜなら、まるで問題を起こした子供が自分で責任を取らず、皆が尻拭いをさせられるように感じるからです。しかし、国全体の体(経済)が死んでしまわないように、心臓(銀行)を先に救うしかないのです。
- 規制の強化: 病気が治った後、「医者」(つまり金融規制当局)は、この「患者」に対して多くの規則を設けます。例えば、今後はそんなに脂っこいもの(高リスクな投資)を食べてはいけない、もっと体を鍛えなさい(自己資本比率の向上)、定期的に健康診断を受けなさい(より厳格な監督を受ける)など、彼が今後再び問題を起こさないようにするためです。
まとめると:
このように、金融危機において銀行は、貪欲さゆえに火薬庫に火をつけた「トラブルメーカー」であり、最初のドミノ牌を倒し危機を蔓延させた「ドミノ倒し」の元凶でもあり、最終的には病床に横たわり救助を待つ、さらには皆を巻き込む「巨大な赤ちゃん」のような存在となります。それは原因でもあり、伝播の連鎖でもあり、そして最終的な問題の核心でもあるのです。