博 周
博 周
Entrepreneur, leveraging first principles for innovation.
良い質問ですね。これはそれほど難しいことではありません。いわゆる「第一原理」とは、簡単に言えば、皆が口にする概念、レッテル、物語をすべて剥ぎ取り、そのビジネスの本質が何であるかを見極め、そして最も基本的な常識と論理に基づいて、自分で計算してみることです。
「SaaS」「Web3」「メタバース」といった話は抜きにして、それを街角の果物屋台として見てみましょう。
あなたがこの果物屋台に投資したいとして、店主が「私の屋台は100万元の価値がある」と言ったとします。あなたは「第一原理」を使って、彼があなたを騙しているかどうかをどう判断しますか?
ステップ1:この屋台はどんな「本当の」問題を解決しているのか?
- それは「近くのオフィスビルの会社員が果物を買う時間がなく、健康的な軽食を食べたい」という問題を解決しているのか、それとも「店主自身が何か仕事をしたい」という問題を解決しているのか?
- 前者は本当のニーズであり、後者は自己満足です。ニーズの「硬さ」(必須性)が、あなたのビジネスの基盤の強さを決定します。「あなたがいなければ困る」のか、それとも「あなたがいてもいい」のか?この違いは大きいです。
ステップ2:このビジネスの「天井」はどこか?
- この果物屋台は、最も理想的な状況で、どれくらいの規模まで成長できるのか?
- まず、近くにどれくらいの潜在顧客(オフィスビルの総人数)がいるか?彼らはどれくらいの頻度で果物を買うか(消費頻度)?毎回どれくらいのお金を使うか(客単価)?を計算してみましょう。
- 潜在顧客数 × 消費頻度 × 客単価 = 市場総規模(TAM)。
- 例えば、近くに5000人がいて、平均して週に2回、毎回20元使うとします。すると理論上、この市場は週に5000 × 2 × 20 = 20万元の規模になります。これが天井であり、あなたの想像力はこの数字を超えることはできません。週に20万元のビジネスしかできないものに、100万元の評価額をつけるのは明らかに不合理です。
ステップ3:彼はなぜビジネスを獲得できるのか?(堀)
- 市場は皆のものなのに、なぜ彼だけが儲かるのか?
- 彼の果物が特別新鮮で、独自の仕入れルートがあるからか(サプライチェーンの優位性)?それとも彼が作るフルーツポンチが特別美味しくて、他の人が真似できないからか(製品/技術の障壁)?あるいは、彼がすべてのビルの管理会社と強固な関係を築いていて、他の人が参入できないからか(チャネル/ライセンスの障壁)?
- もし彼の核となる強みが「価格が安い」だけなら、明日もっと安い店が現れたら、彼は終わりです。このような「堀」のないビジネスはリスクが高く、評価額をつける際には慎重になるべきです。
ステップ4:このビジネス自体は儲かるのか?(ユニットエコノミクス)
- 店主の物語を聞くのではなく、直接詳細な計算をしましょう。
- 20元の果物を1つ売るとして、果物の原価はいくらか?包装箱はいくらか?配達員の労務費はどれくらいか?屋台の賃料はどれくらいか?
- 売上 - 変動費 = 粗利益。もし1つ売るごとに赤字で、将来規模が大きくなれば儲かるだろうと期待するなら、大きな疑問符がつきます。「規模が大きくなれば、本当にコストは下がるのか?なぜそう言えるのか?」多くの場合、これは単なる甘い幻想です。
- 健康なビジネスは、最小単位で利益を出すべきです。
ステップ5:なぜ「彼」がこのビジネスをやるのか?(チーム)
- 最後に、そして最も重要なのは、人を見ることです。
- この店主は以前何をしていたのか?果物のことを理解しているか?小売を理解しているか?計算ができるか?勤勉か?チーム構成は適切か?
- 良いアイデアでも、頼りにならない人が実行すれば、高確率で失敗します。普通のアイデアでも、優秀な人が実行すれば、素晴らしい結果を出すかもしれません。創業チームの能力、決意、誠実さが、すべての将来の可能性の基盤となります。
まとめ:
投資家が第一原理を適用するとは、複雑な会社をこれら5つの最も基本的な問題に分解することです。
- ニーズは本当か?
- 市場は十分に大きいか?
- 優位性は十分に強いか?
- 収支は合うか?
- チームは信頼できるか?
これらの問題を明確にすれば、自然と心の中に判断基準ができます。この評価額は、将来稼ぎ出す可能性のあるお金を現在価値に換算したものです。もし上記の分析を通じて、それが将来的に年間数千万元の利益を上げる「果物の大王」になる可能性が非常に高いと分かれば、今日100万元の評価額をつけるのはむしろ安いかもしれません。しかし、それがいつ倒れてもおかしくない小さな屋台だと分かれば、10万元でも高すぎると感じるでしょう。
これは、「これは次のXX社だ」とか「XXの分野は今とても熱い」といった他人の言葉を聞くよりも、はるかに信頼できます。